目次

広告を読み込み中

暖かい季節になって、体を動かす機会が多くなった人も多いのではないでしょうか。健康を保つために適度な運動はとても重要です。

そんなスポーツ愛好家、特にランナーの中ですね付近に痛みを感じている人はいませんか?ひょっとすると、その痛みはスポーツ障害「シンスプリント」かもしれません。

今回はシンスプリントについて、東京医科歯科大学スポーツ医歯学診療センターの柳下和慶センター長にお話をお伺いしてきました。

お話を伺った先生の紹介

シンスプリントとは?どんな症状が出るの?

シンスプリントの定義は「硬い地面でのランニングやジャンプ着地によって足部屈筋群が強制的かつ過度にしようされることで生じた下腿部の痛みと不快感」となっています。

詳しく説明すると脛骨(すねの骨)の後内足部にはヒラメ筋や後脛骨筋、長趾屈筋(総称して足部屈筋群)が付着しています。その3つの筋肉が過度に何回も引っ張られることで、骨膜(骨を覆う膜)にストレスを与えます。

骨膜には神経と血管が通っているため、骨膜に障害が及ぶと痛みを感じます。

明確な診断基準はありませんが、足の裏側、脛骨(すねの骨)の下から3分の1ほどに痛みなどを覚えます。普段出ない痛みがあったり、痛みがなかなか取れなかったりしたときは疑ったほうがいいでしょう。

似たような症状が出るスポーツ障害に疲労骨折があります。疲労骨折の場合は痛む箇所を軽く叩くと響きます。またその箇所から少し離れた踵(かかと)を叩いても響くことがあります。

広告を読み込み中

なりやすい人は?

シンスプリントはランナー部活に取り組む中高生などに起きやすいです。時期は新しく運動を始める春先や、年が変わって心機一転する1月に多いです。

体の構造の問題

シンスプリントになりやすい因子(引き起こしやすい要素)はいくつかあります。

体の問題(内的因子)では扁平足気味の人は当てはまります。足の形は縦と横がそれぞれアーチ上になっていて、そのアーチがしっかりあるといいクッションになります。偏平足気だとそのアーチがつぶれてしまうため、後脛骨筋にストレスがかかって引っ張られてしまいます。

また体重が重い女性や、体の節々や関節が十分に動かず柔軟性に欠ける人はなる可能性があります。このほか股関節が内側を向いた(内旋)状態で膝関節は外側を向いていたり(外反)屈筋群がうまく使えていなかったり、走るフォームがしっかりしていなかったりする人も当てはまります。

環境、練習量の問題

歩道などは陸上競技場と違い、場所によっては傾斜があります。そういう場所で走っていると無理な力が屈筋群にかかることがあります。

また中高生でよくみられる理由に過度な練習が挙げられます。部活は学校生活を送る限られた時間で結果が求められます。その中でレギュラーを掴むために追い込んでしまい、痛んでしまいます。

新しく運動を始めることはいいことですが、注意も必要です。気持ちは前向きになっていますが、体は少しずつ慣れていくものです。走り始めて疲れが出てくると、フォームは崩れてきます。そうすると足にアンバランスな力がかかってしまいます。

広告を読み込み中

治療法や予防法は?

治療法

痛みが出た直後で熱を持っていたり腫れぼったくなっていたりするときは、患部を冷やすといいでしょう。時間が経っても痛むときは血流を良くしたり柔らかくするために温めてあげたりします。

偏平足気味の人はしっかり足にアーチができるようなインソールを入れることで改善することがあります。

また安静にしたり練習の負荷(距離や頻度)を減らしたりしながら、後で紹介する柔軟性や屈筋群の教育を行うことで痛みが再発するのを防ぎます。

予防

理想は運動を始める段階で、専門家に走り方やシューズの選び方などを見てもらうのがいいでしょう。

そして練習をしっかりと受け止める体ができていないと痛んでしまいます。怪我をしないためには屈筋群の力強さ、しなやかさは大切です。

柔軟性については、脛骨の下3分の1の位置を表から裏側にかけて触っていき、骨が終わったあたりに筋肉との境目を感じます。そこを指の腹で押し込んであげると、筋肉が伸びてマッサージになります。このとき痛むようであれば、シンスプリントの前々段階くらいだと考えてください。

屈筋群の力強さに関しては、筋肉を付けることは難しいためその場所を意識して使うことで補います。例えば足の指でタオルを握ったり、ゴムを片側だけ固定し、反対方向に足首を引っ掛けて内側に動かすことを繰り返したりします。

また中高生は限られた時間でレギュラーを掴もうとするため練習が過度になりがちです。本人はもちろん、保護者や教育関係者の配慮が必要になります。

広告を読み込み中

最後に

シンスプリントは実際に痛くなってから治療することがメーンかと思います。その前から痛みやすいことを意識し、実際に痛くなったらどういうケアができるのか考えておきましょう。

※医師の肩書・記事内容は2017年6月2日時点の情報です。