血液を全身に送り出すという、人が生きていく上で不可欠な役割を果たす臓器「心臓」。実は、ある特定のスポーツに打ち込んでいる人たちの心臓には「スポーツ心臓」という、一般の方たちと少し異なった特徴がみられます。今回はこのスポーツ心臓について、どういった特徴があるのか、危ないのかなどについて紹介していきます。

目次

スポーツ心臓とは

人がトレーニングすると、筋肉が鍛えられて足や腕が太くなっていきます。それと同様に心臓もトレーニングしていく過程で大きくなっていくことがあり、そういった心臓をスポーツ心臓と呼びます。心臓そのものが大きくなる以外に、心臓の壁が厚くなったりするケースもあります。

スポーツ心臓は誰にでも起こり得るわけではなく、非常に高いレベルで持久力を鍛える練習をメインに行っている人に限られています。

スポーツ心臓の症状

スポーツ心臓の症状として、徐脈、不整脈、心雑音、心電図異常などが挙げられます。

この中でも特徴的なのは徐脈です。心臓の壁が厚くなったり心臓が大きくなったりすると、1回の拍動(心臓の収縮運動)で送り出す血液量が多くなり、心臓の心拍数も必然的に少なくなります。これがスポーツ心臓で徐脈が起こる原因です。

スポーツ心臓は危険なのか?

徐脈など上記に挙げた症状を耳にすると、「危険では?」と思う人がいるかもしれません。しかし、スポーツ心臓自体はトレーニングの一環で現れるもので病気ではなく、危険ではありません。そのため治療の必要はなく、トレーニングを止めた場合、数年かけてスポーツ心臓は一般の方と同じ状態に戻っていくとされています。

しかし、高負荷のかかるスポーツを続けていた人が辞めた後も徐脈や不整脈などの症状がみられる場合は、他の病気が原因である可能性があります。

スポーツ心臓と同様に心臓が大きくなる・厚くなる疾患には次のようなものがあります。

心筋症

心臓の壁が厚くなる肥大型心筋症と心臓が大きくなる拡張型心筋症は、スポーツ心臓と状態が似ているため見分けがつきにくいです。症状は息切れや動悸などで、最悪の場合死につながるケースもあるので、しっかりとした鑑別が必要となります。

まとめ

スポーツ心臓は症状だけ見ていると治療が必要に思えますが、病気ではなく、スポーツ選手の証ともいえる心臓の変化です。また、運動を辞めた後しばらくすると大きさも通常に戻るとされています。しかし、スポーツ心臓だと思っていたら実は心筋症などの心疾患だったという可能性もあります。

以前持久力を鍛えるトレーニングを高負荷で行っていて、辞めた後でも徐脈などが気になる方がいた場合は、自己判断で放置せず必ず医師の診察を受けるようにしましょう。