春は花粉も気になりますが、実は、他にも大気中に様々な物質が飛散する季節です。中でも気になるのが、中国から飛んでくるPM2.5。天気予報などでもPM2.5の飛散状況が発表されるなど、危険性はよく話題にのぼりますが、そもそもPM2.5って何なのかちゃんと知っていますか？今回は、PM2.5の正体と、人体に与える様々な影響に迫ります。
PM2.5の正体って？
PM2.5は、直径2.5マイクロメートル以下の非常に小さな粒子をさします。PMは「Particulate Matter（粒子状物質）」の略です。スギ花粉が30～40マイクロメートルですから、花粉と比較しても非常に小さな粒子であることがわかります。
成分は、炭素成分、硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなどです。
PM2.5には、一次生成粒子と二次生成粒子の2種類があります。一次生成粒子はボイラーや焼却場でものを燃やしたときに直接排出されます。一方、二次生成粒子は火力発電所や工場、自動車などから排出された硫黄酸化物や窒素酸化物などが、大気中の光やオゾンと反応して生成されます。
環境破壊や大気汚染との関連性が高いイメージがあるPM2.5ですが、一次生成粒子は家庭内でも発生することがあります。たばこ、調理などによっても発生し、特にたばこの煙には多くの有害な微小粒子が含まれているので注意が必要です。
中国では国を上げた大問題に
PM2.5は、主に中国で深刻な問題となっています。中国では2013年に国務院が「大気汚染防止行動計画についての通知」を発表し、2017年までに主要な都市の大気中のPM2.5濃度を10％以上低下させることを目標に設定しました。そのための環境保護法の改正や高汚染燃料の使用禁止など、さまざまな政策が実施されています。
日本では大丈夫？
日本では2013年、一時的にPM2.5の濃度が非常に高くなりました。これは、中国から入ってきたPM2.5と、日本国内での大気汚染との両方の要因が重なった結果だと考えられています。
現在は、工場や事業場などばい煙発生施設に対する規制を行ったり、環境に対する取り組みを強化した結果、日本国内でのPM2.5の濃度は徐々に減少傾向にあります。しかしPM2.5の濃度は季節によって変動がみられ、3月から5月にかけては濃度が上昇します。また、この時期は大気汚染物質が地表付近に溜まりやすく、また東アジアからの西風に乗って中国からのPM2.5が日本に入ってきやすいため、日本国内でもPM2.5の濃度が高くなるのです。
人体への影響は？
PM2.5は、非常に小さな粒子です。そのため、肺の奥深くまで入りこみやすく、喘息や気管支炎をはじめ、肺や心臓の疾患の原因となります。さらに、肺がん・循環器系疾患による死亡リスクが高まることも知られています。
高齢者や小さな子供、肺や心臓に既往症のある人は特に注意が必要です。細かい粒子を防ぐマスクをする、空気清浄機を使うなど、PM2.5を体内に入れないための対策を行うと良いでしょう。
最後に
中国も日本も国をあげて対策に取り組んでいるとはいえ、まだまだPM2.5は深刻な問題です。特に、春先の今の季節は西風に乗って黄砂も飛んでくるため、呼吸器系を守る対策は必須といえます。正しい知識を得て、しっかりと健康を守りましょう。