大きな音にさらされていることによって進行する耳の病気の一つに「音響性難聴(音響性聴器障害)」があります。職場で長時間騒音にさらされていたり、ロックコンサート等、短時間でも特に大きな音を聞いている方には、聞こえ辛さや耳鳴りが生じることがあるのです。この記事では、音響性難聴(音響性聴器障害)について説明していきます。

目次

人が聞くことのできる音域

音の大きさはdB(デシベル)で表されます。また、一秒間に繰り返される音の振動回数を音の周波数といい、単位はHz(ヘルツ)を使います。人が聞こえる音域は20Hz~20,000Hzといわれており、その中でも会話で実際に使われている周波数域は500Hz~2,000Hz程度と考えられています。

音響性難聴(音響性聴器障害)とは

大きすぎる音を聞いたことによって起こる難聴です。音が大きくなればなるほど音響性難聴を招く危険性も高まり、連続的な音よりも衝撃音の方が発生率が高いと考えられています。

音響性難聴は、大きな音が出る場所に長い間いたことによって生じる「慢性音響性難聴(騒音性難聴)」と、突然大きな音を聞いた場合に生じる「急性音響性難聴(音響外傷)」に大きく分けることができます。

慢性音響性難聴(騒音性難聴)

工事現場、鉄工所など大きな音のする環境で長い間働いていた人がだんだんと耳が悪くなってしまう状態のことです。「職業性難聴」という呼び方もあります。職場以外でもパチンコ店ヘッドホンで音楽を一日中聞き続ける習慣など、長い時間、音に晒されている状況では難聴が起きている可能性があります

耳の蝸牛の中にある有毛細胞が徐々に消耗して音を感じにくくなってしまいます。この難聴の場合、両耳ともに症状が出ていることが多いです。

初期には4,000Hz程度の周波数から聴力の損失が現れます。この程度であれば、会話の聞き取りにはほとんど影響がないので、本人が気づかないことも多いです。しかし症状が進行するにつれて会話も聞き取りにくくなっていきます。早期発見が難しく、回復が難しいこともあります。

急性音響性難聴(音響外傷)

大音量のロックコンサート、運動会のピストルの音やスピーカーの故障音など突然大きな音を聞いた衝撃で、直後に聴力の低下がおきている状態です。「ライブハウス難聴」「ヘッドホン難聴」などと呼ばれることもあります。

症状は片耳に現れることが多く、聞こえにくさの他に耳鳴り耳のつまり軽いめまいなどが出ることもあります。この場合の音は強い衝撃をもたらすため、全周波数にわたって障害が起きる傾向にあり、早い段階で本人が耳の違和感に気づけるケースが多いです。

治療方法や予防方法は?

薬

早めに耳鼻咽喉科を受診することで、治療による改善が見込めます。神経の修復を助けるホルモン剤、ビタミン剤循環改善剤などを使用します。
しかし受診が遅れて難聴が固定されてしまっていると、元の状態まで回復することが難しくなってきますので、まずは日ごろの予防対策が重要となってきます。

音響性難聴(音響性聴器障害)の予防方法

  • 騒音のあるところでは耳栓やイヤーマフを使用する
  • 音楽プレーヤーを使用する際には最大音量の60%程度で、毎日1時間程度にとどめる
  • 健康診断などで聴力検査を受ける
  • 規則正しい生活を心掛ける

まとめ

大きな音にさらされることで音響性難聴(音響性聴器障害)を発症することがあります。初期には症状に気づかず、難聴が固定されてしまう可能性もあるため、予防と、定期的な聞こえの検査が大切です。耳に違和感があった時には、早目に耳鼻咽喉科を受診しましょう。