風邪をひいたりすると鼻水の影響で耳が詰まるような感覚がして聞こえなくなる、という経験がある方も多いのではないでしょうか。この場合、風邪が治れば自然と耳も聞こえるようになります。しかし、ふとした瞬間に耳が聞こえなくなったという場合、それは突発性難聴かもしれません。予兆なく襲ってくる突発性難聴について今回はまとめてみました。

<【図解】「突発性難聴ってなに?」はこちら>

目次

突発性難聴とは

耳の構造-図解
あるとき突然に耳が聞こえにくい・聞こえないという症状が起こる病気です。

難聴には、伝音性難聴と呼ばれる外耳・中耳の障害により音が伝わらないことで起こるものと、感音性難聴という内耳、聴神経、あるいは脳が原因で音をうまく感じられないために起こるものがあります。突発性難聴は、後者の感音性難聴にあたります。

また、「突発性」という文字のとおり突然に起こる難聴で、徐々に聴力が低下していく難聴や悪化と改善を繰り返す難聴とは区別されています。

ウイルス感染や血液の循環障害との関連も示唆されていますが、現在はまだ原因不明の病気です。

2001年の調査では、全国受療者数は推定年間35,000人(人口10万人あたり27.5人)(難病情報センター(6)耳鼻科疾患分野|突発性難聴(PDF))と報告されています。

あらわれる症状

片方の耳が聞こえなくなることに加えて、耳鳴り耳が詰まったような感じめまいといった症状が現れます。ひどい場合には激しいめまい嘔吐を伴う場合があります。

突発性難聴の原因部分となる内耳には痛覚がないため、耳の痛みは発症しません。通常めまいの症状は繰り返すことはなく、顔がマヒする・話しづらくなるといった他の症状もおこりません。

難聴の程度が軽度のケースでは、耳の聞こえの異常に気づかなかったり、耳が聞こえなくなるという症状が現れずに耳鳴りや耳の閉塞感のみが起こったりこともあります。

診断の方法

鼓膜に異常がないか、中耳に異常がないかを確認してから聴力検査を行います。また、他の疾患の可能性を除外するために、CTやMRIなどの画像検査を行う場合もあります。

聴力の変動がある・めまいを繰り返すなどあれば、突発性難聴ではなくメニエール病やほかの疾患が疑われます。

どんな人に起こりやすい?

突発性難聴3-写真
中年層の方に多く、疲労睡眠不足生活リズムの乱れストレス風邪などがきっかけで突発性難聴を引き起こすことが多いとされています。

どんな治療を行うの?

通常は安静にしつつ、外来で通院しながら内服薬・点滴を使用して治療していきます。難聴が重症の場合やめまいがひどい場合、治療に副腎皮質ステロイド剤を使用するため高血圧糖尿病の方の場合には入院治療が必要なこともあります。

薬の種類としては、ビタミン製剤や血管拡張薬、副腎皮質ステロイド剤を使用します。治療には全体で2~3か月かかるとされています。耳に薬剤を直接投与する鼓室内注入療法や高圧酸素療法が行われる場合もあります。

この突発性難聴は発症してから二週間以内に治療を始めると治る可能性が高くなり、逆に一か月以上たつと治る可能性が低くなるとされています。そのためもし耳の聞こえが悪い、などの症状を感じたら、ためらわず早めにお近くの耳鼻咽喉科を受診されることをおすすめします。

残念ながら全員が完治するわけではなく、完全治癒:改善はするが完全には治癒しない:改善がみられない=3:5:2とされています(慶応義塾大学病院KOMPAS|難聴、耳鳴り)。

ここまでの内容を、1枚の図にまとめました。

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突発性難聴ってなに-図解

まとめ

内耳に異常が生じ、かつ原因不明の突然起こる難聴を突発性難聴と呼びます。

この病気は早期に発見し早期に治療を開始できれば、治る可能性は高くなります。疲れているときなどにかかりやすいとされているので、できる限り生活リズムを整えてみるなどを心がけるとよいでしょう。少しでも聞こえないな、と感じたら受診されることをおすすめします。