知らない間に虫に刺されてかゆくてかゆくてしょうがない!といった経験をされた方は多いと思います。かゆみを抑えるためにはどのような薬を使えばよいのか、ドラッグストアなどに行くとたくさんの虫刺されの商品があって悩んでしまいますよね。

そこで今回は、かゆみの症状に使用する虫刺されの薬について詳しくお伝えしたいと思います。

目次

そもそも虫刺されとは?

蚊や蜂、ダニ、ムカデなどに刺されるとかゆみを伴う赤いはれや、痛みが生じることがあります。これらの症状は虫自体が持っている「むし毒」による中毒反応アレルギー反応によるもので、対策としてはかゆみ止めやステロイドの入った塗り薬をぬったり、かゆみがひどい場合は飲み薬などを用いたりする場合もあります。

また刺される虫の種類(蜂など)や回数によってはアナフィラキシーショックといった非常に強い全身性のアレルギー反応を引き起こす恐れがあり、最悪の場合死に至るおそれもあります。症状がひどく全身にじんましんが出たり息苦しくなったりした場合はすぐに病院に行ってください。

虫刺されに使われる塗り薬

それでは虫刺されの塗り薬に入っている薬の成分と、実際の商品についてみていきましょう。

1.抗ヒスタミン薬

かゆみの元となる「ヒスタミン」という物質の働きを抑えてかゆみを改善します。塗り薬だけではなく、飲み薬としてもよく見られる成分で、かゆみ止め、鼻水止め、アレルギー薬、かぜ薬などとして幅広く用いられています。

具体的な成分名(成分が含有されている商品名)

  • クロルフェニラミンマレイン酸塩(アレルギールクリーム)
  • ジフェンヒドラミン塩酸塩(液体ムヒベビー、新レスタミンコーワ軟膏)
  • ジフェンヒドラミン(ムヒS、ムヒパッチA)

2.ステロイド剤

炎症の元となる物質の合成を抑えることで、抗炎症作用を発揮します。

市販では塗り薬にのみ配合されており、炎症を抑える強さによって5段階に分けられています。炎症の程度や塗る部位、使用する方の年齢などによって強さを使い分ける必要があります。

強めのステロイドを用いるのは基本的に成人のみで、炎症がひどいときや、刺された箇所が足の裏や腕など比較的皮膚が厚くステロイドの吸収率が低い場所に使用します。お子さんや、刺された箇所が顔や首などステロイドの吸収率が高い場所には、弱めのステロイドを用いた方が良いでしょう。

またステロイドは免疫反応を抑える効果もあるため、かきむしって傷ができていたりジュクジュクになってしまった部位に用いる際には注意が必要です。このような場合には自己判断で対処するのではなく、皮膚科で相談するようにしましょう。

Strongest(最も強いステロイド)

市販薬では販売されていません。処方薬として以下の商品が存在しています。

  • クロベタゾールプロピオン酸エステル(デルモベート軟膏)
  • ジフロラゾン酢酸エステル(ジフラール軟膏) など

Very strong(やや強いステロイド)

市販薬では販売されていません。処方薬として以下の商品が存在しています。

  • ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(アンテベート軟膏)
  • ジフルプレドナート(マイザー軟膏)
  • フルオシノニド(トプシム軟膏) など

Strong(強いステロイド)

市販で販売されているステロイド外用剤で最も強いものです。

  • フルオシノロンアセトニド(フルコートF ※抗生物質入り)
  • ベタメタゾン吉草酸エステル(ベトネベートN軟膏AS ※抗生物質入り)

Medium(普通中間クラスの強さのステロイド)

  • プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(ムヒアルファEX, オイラックスPZクリーム
  • ヒドロコルチゾン酪酸エステル(セロナクリーム)

Weak(弱いステロイド)

  • デキサメタゾン酢酸エステル(液体ムヒSウナコーワジェル
  • ヒドロコルチゾン酢酸エステル(オイラックスA

虫刺されに市販薬で使われる、そのほかの成分

アンモニア

皮膚などの感覚を麻痺させ、痛み・かゆみを感じにくくさせると考えられています。キンカンの主成分がこのアンモニア水であり、昔から虫刺されの定番薬としてよく用いられています。

昔は虫の酸性毒性をアルカリ性であるアンモニアが中和して解毒作用を発揮し虫刺されに効くとされていましたが、虫の毒は酸性のものだけではないため、解毒作用を期待して使用するのは注意が必要です。

キンカンを使用しても赤味やかゆみがひどい場合は上記でご紹介したステロイド・抗ヒスタミンが入った虫刺され薬をつかった方が良いでしょう。

l-メントール、dl-カンフル

塗ったときにスーッとさせる効果があり、清涼感によりかゆみを抑えます。

虫刺されの塗り薬には入っていることが多いです。

傷口が沁みるなど刺激を強く感じる場合は、治りを悪くすることもあるので使うのは控えましょう。

虫刺され後のケア

かゆい

かゆみの症状から「虫に刺された!」と気づいても、すぐに薬を用意できないこともあります。その場合、薬を塗るまでの間に皮膚を掻いてしまうと悪化してしまうこともあります。対処法として、以下のことを行い悪化を防ぎましょう。

  1. 刺された部位をきれいに洗い清潔にする
  2. 毛虫や毒蛾などに刺された、もしくは毛を触れてしまった場合は泡立てた石鹸と洗い流したり、セロハンテープなどを用いて取り除きます。
  3. かゆみなどを感じにくくさせるために氷水などを患部に当てます

また、屋外へ遊びに行く際はなるべく長袖にしたり、虫よけのスプレーを用いたり、すぐに虫刺されの薬が塗れるよう薬を持ち歩いたりなど、事前準備を怠らないようにしましょう。

まとめ

夏が近づくと虫刺されでかゆい思いをすることが増えてくると思います。しかし、ちょっとした工夫で虫刺されを防げたり悪化を抑えたりすることができます。最近ではヒアリなども注目され、虫刺されといえども命にかかわる恐れもあります。

まずは虫に刺されないような準備をし、さらに刺された後の対処方法も事前に知っておくことで、より夏を楽しむことができるでしょう。