薬局での問診や予防接種の時にアナフィラキシーという言葉を耳にすることがありますが、どんな症状なのか詳しく理解できていますか?もし曖昧なようでしたら、正しい知識を身につけましょう。一旦発症すると急激に進むので、知らなかったでは済まされない事態が起こることもあります。今回はアナフィラキシーの4つの原因と5つの症状についてご紹介します。
アナフィラキシーってなんのこと?
原因となるものを食べる、触る、吸い込む、注入されるなどによって身体の中に入った時に、突然、急激に進む全身に起こるアレルギー反応です。
- 皮膚症状
- 消化器症状
- 呼吸器症状
などが同時に、また急激に現れます。
その中でも血圧が低下して意識が混濁し、脱力するようなショック状態に陥る場合をアナフィラキシーショックと呼んでおり、すぐに対応しないと生命の危険を伴うこともあります。
なにが原因で起きるの?
様々なアレルゲンと触れた時に全身にアレルギー反応が起きアナフィラキシーが起こります。
初めてアレルゲンと触れたときにはアナフィラキシーは発症しないことが多く、二度目の接触で症状が起きる可能性が高まります。
アレルゲンってどんなものがある?
日常生活の様々な場所にアレルゲンはあります。
原因となる代表的なものを4つ見ていきましょう。
1.食品

食物アレルギーの原因となる食品を食べて症状が現れます。
- 鶏卵
- 牛乳
- 小麦
は、三大アレルゲンといわれており、乳幼児期の食物アレルギーの原因となることが多くあります。
このほかは、
- ピーナッツ
- そば
- 大豆
- えび、かに
- 魚卵
- いくら
など、個人によって様々なものがアレルゲンとなります。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーって?
原因となる食品を食べただけでは症状がでないのに、食後2時間以内に激しく運動をすることによってアナフィラキシー症状が起きることがあります。
食品と運動が組み合わさると症状が現れるので、注意が必要です。
2.医薬品

アナフィラキシーは、医薬品を投与することによって起こる場合もあります。
子供の場合は?
- 塩化リゾチーム
- タンニン酸アルブミン
- 乳酸菌製剤
- 結腸栄養剤によるもの
- インフルエンザワクチン
子どもの場合は、食物アレルギーと関連して、卵由来の成分や牛乳由来のたんぱくを含む医薬品に多く見られます。
3.ラテックス(天然ゴム)

ラテックス(天然ゴム)を触ったり、粉末を吸ったりしてアナフィラキシーが起こることがあります。
- 医療用手袋、カテーテル
- 炊事用手袋
- 避妊具
- 風船
- ゴム靴
- ゴム草履
など。
日用品にも使われているので、日ごろから接触する機会が多い製品です。
4.昆虫、動物

- ハチ毒
1回刺されただけでもアナフィラキシーを起こす危険があるので、もっとも注意が必要です。
スズメバチやアシナガバチなどの蜂の毒液によってアレルギー反応が起きます。
- クラゲ
海洋生物に刺されたときに症状が現れることがあります。
- ダニ、アリ、ハムスターなど
に噛まれたときも症状が現れる場合があります。
また、動物の毛やフケなどが原因でアレルギー症状が引き起こされることもあります。
どんな症状が出るの?
全身に急激に症状が現れます。
5つの症状を見てみましょう。
それぞれの症状が同時に、または組み合わさって進行していきます。
皮膚の症状 | 皮膚のかゆみ |
皮膚が赤くなる | |
じんましん | |
消化器の症状 | 腹痛 |
おう吐 | |
粘膜の症状 | 目のかゆみ |
まぶたのむくみ | |
くちびる、舌、口の中の腫れ | |
呼吸器の症状 | くしゃみ |
声のかすれ | |
息苦しさ | |
咳 | |
呼吸音がゼイゼイ、ヒューヒューする | |
ショック症状 | 蒼白 |
意識の混濁 |
「息苦しさ」が現れたり、ショック状態に陥ったときは、緊急医療の対象です。
すぐに救急車を呼んで医療機関を受診しましょう。
症状が現れるのはいつ?
人によって差がありますが、通常30分以内に症状が現れます。ときには5分以内に現れることもあるので、早期発見と早期対応がとても重要です。
- 医薬品や蜂毒:直接身体の中に入るため、早く症状が出る傾向があります。
- 食べ物:胃や腸で消化され吸収されるまでに時間がかかるため、医薬品や蜂毒よりも症状がでるまでに時間がかかることが多いようです。
また、一見症状が軽くても状態が変化することがたびたび起こり、急激に状態が悪化することもあります。一定の時間が過ぎても、何か気になる症状があればできるだけ早めに医療機関を受診してください。
子どもの場合は何に気をつければ良い?

子どもは大人のように症状がはっきり現れないことがあります。
また、自分の状態を正確に伝えられないため特に注意が必要です。
- いつもと様子が違っていないか
- 機嫌は悪くないか
- 元気はあるか
- 寝てしまっていないか
などを注意深く観察してください。アナフィラキシーの初期症状の可能性があります。
まとめ
アナフィラキシーの原因となるアレルゲンは日常生活で触れるものが多く、場合によっては生命の危険にも及ぶアナフィラキシーショックが起こることがあります。自分のアレルゲンを確認して、アナフィラキシーがどんなときにどんなことで発症するのかをしっかり理解しておきましょう。
また、子どもの場合は特に注意が必要なのでおうちの方がよく見るようにしてください。少しでも異常が現れたらすぐに医療機関を受診するようにしましょう。