9月9日は「救急の日」。語呂合わせにちなんだもので、昭和57年に厚生労働省が定めました。救急車の出動件数が右肩上がりで増え続けるなか、緊急性が低い症状での利用など、利用する私たちの“モラル”を問われるケースも多発しています。そこで、いま一度、救急車を呼ぶべき症状や呼ぶ際の手順などをおさらいしましょう。

目次

こんな症状のときは迷わず119番を

救急車の重要な役割の一つは、命を落とす危険がある人を1秒でも早く医療機関へ運ぶことです。しかし、現状は、入院の必要がない軽傷の人が約半数と、タクシー感覚で利用する人も目立ち、社会問題となっています。

119番通報するべきか判断に迷うケースも多いかと思いますが、迷わずに呼ぶべき症状をいくつか紹介します。

1.大人の場合

  • 呼んでも返事がない、ぐったりしている
  • けいれんが止まらない、止まっても意識が戻らない
  • 大量出血を伴うけが、広範囲のやけど
  • 食べ物をのどに詰まらせて、呼吸が苦しい
  • 交通事故で強い衝撃を受けた、高所から転落した

2.15歳未満の子どもの場合

  • 頭を痛がってけいれんがある
  • うんちに血が混じった
  • 全身にじんましんが出て顔色が悪くなった
  • くちびるの色が紫色で呼吸が弱い
  • 変なものを飲み込んで意識がない

上記以外にも、「救急車を呼ぶ前の相談ダイヤル「#7119」と、呼ばなきゃいけない症状の5つのポイント」のような症状がある場合も、迷わず119番に電話しましょう。

119番、何を伝えればいい?

救急車を呼んだ方がいいと判断したなら、「119番」へ電話します。気が動転しているかもしれませんが、指令員の指示に従い、「あわてず、ゆっくり」と答えましょう。

電話が繋がったら、まずは「救急です」と伝えます。次に、呼びたい住所を必ず市町村名から伝えましょう。出先などで、住所がわからないときは、目印になるものを教えるとよいでしょう。

症状については、「誰が」、「どうのようにして」、「どうなった」かをわかりやすく伝えましょう。最後に、通報した人の名前、必ず連絡が取れる電話番号を伝えます。場所がわからない場合など、消防からの連絡先となります。

救急車が来るまでにやっておくこと

チェックリスト

119番通報をしてから、救急車が到着するまでの時間は平均約8分とされており、現場での応急手当が重要です。消防署では、応急手当の講習を行っているので、AED(自動体外式除細動器)の使い方などを学んでおくと、安心です。また、人手があるときは外に出て救急車を誘導すると、到着が早くなります。

1.用意しておくと便利なもの

  • 保険証、診察券
  • お金
  • 普段飲んでいる薬(おくすり手帳)

乳幼児の場合は、

  • 母子健康手帳
  • 紙おむつ
  • ほ乳瓶
  • タオル

なお、気をつけていただきたいのは、緊急時には人命救助のための措置を最優先するということです。ここで紹介したのはあくまで「用意しておくと便利なもの」であり、「どうしてもなければいけないもの」ではありません。無理に準備をして遅れては本末転倒ですので、余裕がある場合に準備するようにしてください。

2.救急隊員に伝えること

  • 事故や具合が悪くなった状況
  • 到着するまでの変化
  • どのような応急手当をしたか
  • 持病やかかりつけ病院、普段飲んでいる薬など

特に、高齢者の場合は、持病、かかりつけ病院、普段飲んでいる薬などを日ごろからメモにまとめておくと、落ち着いて対応することができるでしょう。

救急救命士にできることとは?

救急車が受け入れ先の医療機関に着くまでの間、同乗している救急隊員が主に処置を行います。さらに、救急隊員のなかでも、国家試験に合格した「救急救命士」は、特定行為と呼ばれる高度な救急処置を行うことができます。

従来は、医師の具体的な指示を元に、呼吸や心臓が止まった場合のみ処置が行われていました。しかし、平成26年の法改正により、呼吸や心臓が止まる前でも低血糖が確認された場合はブドウ糖溶液を点滴から投与する、血圧が低下し、心臓が止まる恐れがあるショック状態の場合は点滴を行える、という新たな処置が加わり、命を救える可能性を広げています。

まとめ

救急車は、できれば乗りたくない乗り物かもしれませんが、命の危機に関わると判断したら、迷わずに呼びましょう。一方、緊急性が低い場合は自車やタクシーで医療機関へ行くといった配慮も重要です。いざというときに慌てないためにも、応急手当の方法を学んだり、メモをつくっておいたりするなど、日ごろの備えもお忘れなく。