たばこは、喫煙者率は減少傾向にある(厚生労働省の最新たばこ情報より)ものの、今でも嗜好品のひとつとして愛好している方もいらっしゃるかと思います。一方で、さまざまな健康被害が懸念されています。
この記事では、たばこにより懸念される健康被害のひとつとして「スモーカーズフェイス」と呼ばれる症状について解説します。

目次

スモーカーズフェイスとは

スモーカーズフェイスとは、喫煙者に共通してみられる顔の特徴を表す言葉です。具体的には、

  • 深いしわ
  • くすみ
  • しみ
  • 白髪
  • 唇の乾燥
  • 歯に色素が沈着して茶色くなる

などがあげられます。これらは老化によっても起こるので、同年代の方に比べて老けて見られることもあります。そして、多くの喫煙者の顔にこうした特徴がみられることから、喫煙による影響が指摘されているのです。

命にかかわる症状・病気ではないものの、簡単に治すことができるわけではなく、また外見に影響が出る点で深刻かもしれません。

たばこに含まれるたくさんの化学物質のいくつかが原因なのではと考えられていますが、どのような物質がからだにどんな影響を与えているのでしょうか?

原因は、たばこに含まれる物質?

タバコの吸い殻

たばこにはどんな物質が含まれているのでしょうか?スモーカーズフェイスの原因として考えられる物質と、その特徴について見ていきましょう。

ニコチン

ニコチンは、血流の悪化とビタミンC不足を引き起こし、肌などの老化を促進します。

ニコチンには、交感神経系を刺激して末梢の血管を収縮させてしまうはたらきがあるため、喫煙をすると全身の血流が悪くなります。肌の老化を促進させるだけではなく、高血圧を招いたり、心血管系疾患のリスクを高めることも知られています。

またこれに加えて、ビタミンCの吸収を妨げたり分解を促進したりする作用も持っています。そのため、喫煙者はビタミンCが不足しやすくなるのです。

ビタミンCは、シミの原因であるメラニン色素が作られるのを抑えたりコラーゲンを作る手助けをする成分なので、これが不足しているときれいな肌を保つことが難しくなります

なお、たばこに依存性があるのもこのニコチンが原因です。

一酸化炭素

一酸化炭素を吸入することによる酸欠状態も、肌の老化を促進することが考えられます。

タバコの葉が不完全燃焼することで発生するのが一酸化炭素です。一酸化炭素はヘモグロビンと結合する力がとても強く、酸素の200倍以上の力があるといわれています。

肺から一酸化炭素が多く取り込まれると、酸素がヘモグロビンと結合できなくなり身体が酸欠状態になってしまうのです。

スモーカーズフェイスは治るの?

タバコに含まれるさまざまな化学物質はからだにとっては有害で、ときに肌の老化を促進させる可能性があり、スモーカーズフェイスの原因となります。では、スモーカーズフェイスは治るのでしょうか?

この点、一度できてしまったしわ・しみなどは、一般的な「肌の老化が進んでしまった状態」といえます。しわ・しみは美容外科的な施術である程度改善できるかもしれませんが、完全に治すのは難しいでしょう。さらに老化をすすめないために、早めに禁煙をすることが望ましいです。

禁煙成功のために、禁煙外来の利用

老化促進、健康被害を防ぐためには、できるかぎり早く禁煙に取り組む必要があります。それでは具体的に、禁煙成功のためのポイントはあるのでしょうか?

現在では、禁煙外来と呼ばれる禁煙を専門に取り扱う外来があります。たばこには依存性があるため、本人の意志だけで禁煙を成功させるのは難しい部分もあるのです。喫煙の習慣は「ニコチン依存症」として治療の対象になるので、条件を満たせば保険適用もあります。

禁煙外来では、医師によるサポートとアドバイスを受けながら、禁煙に取り組むことができます。

まとめ

スモーカーズフェイスは、たばこに含まれるニコチンや一酸化炭素が原因と考えられています。これらの物質の影響を受けるのは喫煙者だけでなく、喫煙者の周りの方も同様です(受動喫煙)。また普及しつつある電子タバコも、タバコの有害物質を完全に取り除けているわけではないので、肌への影響が全くないとはいい切れないでしょう。

喫煙をされる方は、周囲の人の迷惑にならないようマナーを守って喫煙を楽しみましょう。また、健康への影響を考慮して禁煙に取り組む方は、しっかりと医療機関にかかり治療を行うようにしましょう。また、禁煙に取り組む場合には周囲の協力があるとより心強いです。