ミネラルと呼ばれる成分の中でも、カリウムは特に有名で、ほとんどの人が名前を聞いたことがあるのではないかと思います。しかし実際にどのような働きをするのか、ということまでは知らないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、カリウムの働きや多く含まれている食品について詳しくまとめ、摂取に注意が必要な人についても解説していきます。
カリウムの働きは?
カリウムは主要ミネラルの一つで、成人では体内に約140g含まれています。そのうちの約98%が細胞内液中に、残りの2%が細胞外液中に含まれています。
体の中のカリウムとナトリウムの濃度差は、常に一定になるように保たれていますが、これはナトリウム・カリウムポンプの働きによるものです。これによって、細胞内と外のカリウムとナトリウムの濃度差が一定に保たれています。
また、食塩をとりすぎた時に、ナトリウムの尿中への排出を促す効果があり、高血圧の改善やむくみ予防にも有効とされています。
カリウムとナトリウムは深い関係にあり、浸透圧の調整や神経伝達、筋肉の収縮、ホルモン分泌などさまざまな働きに関与しています。
カリウムを多く含む食品と摂取基準
カリウムを多く含む食品
食品 | 1食あたりの量 | カリウムの含有量 |
里芋 | 80g(2個) | 512mg |
ほうれん草 | 80g(1/4束) | 552mg |
たけのこ | 80g | 416mg |
切り干し大根(乾) | 10g | 350mg |
サワラ | 80g(1切) | 392mg |
若鶏(もも・皮なし) | 80g | 304mg |
糸引き納豆 | 50g(1パック) | 330mg |
ひじき(乾) | 5g(大さじ1) | 320mg |
バナナ | 150g | 540mg |
グレープフルーツジュース | 200g | 360mg |
出典:「改訂新版 栄養の教科書」を元にいしゃまち編集部が作成
カリウムの摂取基準
単位mg
男性 | 女性 | |
1〜2(歳) | 900 | 800 |
3〜5(歳) | 1,100 | 1,000 |
6〜7(歳) | 1,300 | 1,200 |
8〜9(歳) | 1,600 | 1,500 |
10〜11(歳) | 1,900 | 1,800 |
12〜14(歳) | 2,400 | 2,200 |
15〜17(歳) | 2,800 | 2,100 |
18〜29(歳) | 2,500 | 2,000 |
30〜49(歳) | 2,500 | 2,000 |
50〜69(歳) | 2,500 | 2,000 |
70歳以上 | 2,500 | 2,000 |
出典:「改訂新版 栄養の教科書」を元にいしゃまち編集部が作成
カリウムをとり過ぎるとどうなる?
カリウムの体内での量を調整しているのは腎臓です。そのため腎機能が低下し、尿の排泄が困難になると高カリウム血症を発症する場合があります。高カリウム血症の症状は、疲労感、精神障害、徐脈、不整脈が挙げられます。
腎不全の場合は、進行具合に合わせてカリウム制限が指示される場合もあります。カリウムは腎臓との関連性が高いので、腎臓疾患を持っている人は必ずカリウムのとり方について医師に相談してみましょう。
一方欠乏症についてですが、普通の食事をしていれば、カリウムの欠乏症は起こらないとされています。起こりやすいのは、下痢や嘔吐などが見られる時で、脱力感や食欲不振、筋無力症、低血圧、不整脈などが見られるようになります。
また、高血糖の状態や糖尿病の人は尿中へのカリウムの排泄量が増加してしまい、体内のカリウムが不足することもあります。
まとめ
カリウムはナトリウムと相互に作用し、体のさまざまな働きを担う重要なミネラル成分です。高血圧の改善やむくみ予防にも効果があるので、塩分の摂取量が多い人は積極的にとり入れていきましょう。
ただし腎機能が低下している人は注意が必要です。高カリウム血症は死に至る危険性もあります。腎臓疾患を抱えている人は医師の指示に従い、状況に合わせて摂取を制限する必要があります。