サプリメントや健康食品は、使い方次第ではかえって害になることもあります。過剰摂取による副作用や薬との相互作用など、知っておいてほしいポイントや、正しい選び方について詳しく解説していきます。
品質について
サプリメントや健康食品を購入する時、どのような基準で選んでいますか?もちろん自分が不足していると感じる成分を基準に選ばれると思いますが、プラスαで惹かれる部分もありますよね。人気があるから、専門家が推奨しているからなど、何か決め手になるものがある場合が多いと思います。
しかし、勝手に安全と思い込んでしまうのは危険です。商品の体験談や口コミは誰にでも書くことができますし、特許や受賞歴などは必ず効果が得られるという証明ではありません。商品の広告は、事実は異なることや、メーカーにとっての有益な部分だけが掲載されていることがあります。
また、天然・自然といったキーワードは一見体に良さそうな印象を与えてくれますが、必ずしも安心・安全には繋がらないということを知っておきましょう。アレルギーを起こす可能性がある他、全ての有害物質・不純物が排除されているわけではない場合があります。
メーカーはもちろん商品を売り出したいので、さまざまな表現を用いてイメージアップを図ります。全ての情報をそのまま信じ込んだり、思い込みで良いと判断したりせずに、冷静に捉えることが必要です。
とればとるほど体に良い?
「健康食品は体に良いから、たくさん摂った方が良い」と考えるのは間違いです。サプリメントは食品に分類されていますが、特定の成分が凝縮されています。そのため、成分によっては副作用が出る場合もあります。
特に気を付けたいのが脂溶性のビタミンです。β–カロテンは過剰摂取によって喫煙者の肺ガンのリスクを高めることがわかっており、ビタミンEは出血性脳卒中の発症率が高くなるといわれています。
過剰症のリスクがない水溶性のビタミンは、排泄されてしまうので意味がないだけではなく、長く続けて摂ることでかえって体に負担をかけるものになります。
普段の食生活では過剰摂取が起こりにくいものでも、サプリメントを摂り続けることで摂りすぎとなり、何らかの副作用が起こる場合もあります。健康食品だからといって摂りたいだけ摂るのではなく、適度な量を正しい方法でとり入れることが大切です。
薬と一緒に摂るとどうなるの?
「病気を治したいから」という理由で健康食品を摂ることも間違いです。サプリメントや健康食品は、病気を治すことはできません。「これを摂ると病気が治ります」と記載されているものは法律に反しているので注意しましょう。
まず、病気で薬を飲んでいる人は、医師や薬剤師に飲んでも良いか確認するようにしましょう。組み合わせによっては、薬の効き目を弱めたり、副作用が強く出すぎる場合もあります。
以下に、過去に報告されている事例をまとめました。
健康食品の成分 | 医薬品 | 影響 | |
ビ タ ミ ン 類 |
ビタミンB6 | フェニトイン (抗てんかん薬) |
薬の効き目を弱める |
葉酸 | 葉酸代謝拮抗薬 (抗がん剤) |
薬の効き目を弱める | |
フルオロウラシル、 カペシタビンなど (抗がん剤) |
薬の効き目を強める | ||
ビタミンK (青汁・ クロレラ) |
ワルファリン (抗凝固剤) |
薬の効き目を弱める | |
ビタミンC | アセタゾラミド (抗てんかん薬) |
腎・尿路結石のおそれ | |
ナイアシン | HMG-COA還元酵素阻害薬 (高コレステロール血症治療薬) |
副作用の増強 | |
ビタミンD | ジギタリス製剤 (心不全治療薬) |
薬の効き目を強める | |
ミ ネ ラ ル 類 |
カルシウム | 活性型ビタミンD3製剤 (骨粗鬆症薬) |
腸管からのカルシウム 吸収を促進 |
ジギタリス製剤 (心不全治療薬) |
薬の効き目を強める | ||
ビスホスホネート系製剤 (骨粗鬆症薬) テトラサイクリン系抗菌剤 (抗生物質) ニューキノロン系抗菌薬など (抗生物質) |
薬の効き目を弱める | ||
マグネシウム | テトラサイクリン系抗菌剤 (抗生物質) ニューキノロン系抗菌薬など (抗生物質) ビスホスホネート系製剤など (骨粗鬆症薬) |
薬の効き目を弱める | |
鉄 | タンニン酸アルブミン (下痢止め) ビスホスホネート系製剤 (骨粗鬆症薬) メチルドパ (降圧薬) テトラサイクリン系抗菌剤 (抗生物質) ニューキノロン系抗菌薬など (抗生物質) |
薬の効き目を弱める | |
そ の 他 |
中性アミノ酸 | レボドパ (抗パーキンソン病薬) |
薬の効き目を弱める |
コエンザイム Q10 |
降圧薬、 糖尿病治療薬 |
薬の効き目を強める |
参照:健康食品の正しい利用法を元にいしゃまち編集部が作成
まとめ
多くの研究では健康的な大人を対象にして安全性が調査されているため、乳幼児や病気の人、妊婦・授乳婦など特殊な人への影響は明らかにされていないものがほとんどです。
食事が上手にとれないからといって簡単に健康食品に頼るのではなく、どのようにしたら食事から栄養が摂れるかをしっかり考えてみることも大切です。
健康食品やサプリメントは、イメージから「体に良いもの」と思い込みがちですが、自己判断で量を増やしたり、薬と併用したりすると症状を悪化させる場合もあります。信頼できる情報を選び、常に安全性を意識した選び方、使い方ができるように心がけましょう。