三大栄養素と呼ばれている炭水化物・たんぱく質・脂質と違い、ビタミン・ミネラルは身体にとって必要な量はわずかであるため微量栄養素と呼ばれています。微量だからといって必要ないかといえばそうではなく、ビタミンやミネラルは私たちの身体の中で起こっている様々な働きを円滑に進めたり、機能を調整するためには必ずなくてはならないものなのです。
これらの栄養素が足りていないと色々な障害が起きるのですが、実はそれと同じように過剰摂取をしたときにも副作用が起こる場合があります。たくさん摂っているから良いというわけではなく、それぞれの栄養素にはちょうど良い量があり、過不足なく摂取することが健康のためには一番重要なことです。
それではビタミン・ミネラルを過剰摂取した場合、どのような副作用が起こるのかを説明していきます。
ビタミンの過剰摂取について
ビタミンには水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンがあります。
水溶性ビタミンは過剰に摂取しても余分なものは尿として排出されるので、副作用について心配になることはあまりありません。水溶性ビタミンにはビタミンC、ビタミンB群(B1・B2・B6・B12・ナイアシン・パントテン酸・葉酸・ビオチン)があります。
一方で脂溶性ビタミンはビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンKが挙げられ、水に溶けずに脂肪組織や肝臓に貯蔵されるため、過剰に摂取すると副作用を生じる場合があります。
主な脂溶性ビタミンの過剰摂取による副作用
過剰摂取による副作用 | |
ビタミンA | 脱毛・唇のひび割れ・皮膚の乾燥・骨の弱化・頭痛・脳圧の上昇 |
ビタミンD | 食欲減退・吐き気・嘔吐・乾き・脱力感・神経過敏・高血圧・腎不全 |
ビタミンE | 筋力低下・疲労・吐き気・下痢 |
ビタミンK | 大量に摂取しても毒性なし |
出典:メルクマニュアル|ビタミンの基礎知識を元にいしゃまち編集部が作成
ミネラルの過剰摂取について

ミネラルにはカルシウムやカリウム、鉄、亜鉛などがあり、身体の機能を正常に保つ働きや、代謝に関わる酵素やホルモンを構成する成分となっています。
人が健康な身体を維持するためにはミネラルは必要不可欠であり、摂取量が多すぎたり少なすぎたりすると栄養障害が起こることがあります。
主なミネラルの過剰摂取による副作用
過剰摂取による副作用 | |
カルシウム | 便秘・腎機能不全・血管の石灰化・高カルシウム尿症 |
マグネシウム | 悪心・下痢・嘔吐・顔面紅潮・抑うつ・倦怠感・呼吸困難 |
ヨウ素 | 口、喉、胃の灼熱感・発熱・腹痛・悪心・嘔吐・下痢・昏睡 |
鉄 | 嘔吐・下痢・冠動脈の損傷 |
亜鉛 | 吐き気・嘔吐・下痢・発汗・発熱 |
銅 | 吐き気・嘔吐・下痢・貧血・肝臓障害 |
出典:「統合医療」情報発信サイト|カルシウムを元にいしゃまち編集部が作成
各ミネラルの摂取上限量について
1日の摂取上限量が設定されているミネラルの1日の摂取上限量について、以下にまとめました。
食品だけでは上限量まで達することはあまりないかもしれませんが、サプリメントなどを利用するときには規定量を守り、過剰摂取がないように気をつけてください。サプリメントには有効成分の含有量が書かれていますので、それを必ず確認しましょう。
各ミネラルの1日の摂取上限量
1日の摂取上限量 | |
カルシウム | 2,500(mg) |
リン | 3,000(mg) |
鉄 | 40〜50(mg) |
亜鉛 | 35〜45(mg) |
銅 | 10(mg) |
マンガン | 11(mg) |
ヨウ素 | 3,000(μg) |
セレン | 350〜460(μg) |
モリブデン | 450〜550(μg) |
出典:日本人の食事摂取基準(2015年版の概要)を元にいしゃまち編集部が作成
まとめ
このように、ビタミンやミネラルは過剰摂取をすると副作用により様々な症状がみられることがわかります。
摂取不足も問題ですが、それと同様に過剰摂取についても配慮する必要があります。
過剰摂取が心配されるのはサプリメントや栄養補助食品の利用によるものが多いため、ラベルの表示をしっかりと確認し、少なすぎず摂りすぎず、適量の摂取を心掛けましょう。