健康のため、もしくは美容のため、痩せなきゃと思っていても、ついつい食べてしまう。
こんな経験は誰にでもあるでしょう。ヒトは他の動物と比べ、脳が発達していますが、これが、ダイエットを行う上で仇となっていることがあります。

動物は体に栄養が足りていれば、目の前に獲物が現れても、見向きもしません。
しかしヒトは体に栄養が足りていても、目の前に美味しそうなスイーツがあれば食べたくなりますし、ストレス解消のために食べるという行為に走ることもあります(エモーショナル・イーティング)。

また食事はコミュニケーションの手段でもありますので、お付き合いから食べざるを得ない場面もあるでしょう。
適切な食事と運動が大切であることは論を待ちませんが、こちらの記事では、ダイエットを目的に使用されるお薬やサプリメントにはどのようなものがあるのか紹介します。

目次

サノレックス(一般名:マジンドール)

食欲を抑えます。日本で唯一、厚生労働省が医薬品として認可した食欲抑制剤です。
保険診療で処方される場合と、自由診療で処方される場合があります。

保険診療で処方されるには、BMIが35以上で、食事療法と運動療法を行ってもなお肥満症が改善しない場合に限ります。

依存性があり、また徐々に効きづらくなる(薬物耐性ができる)ため、長くても3ヶ月間までとし、その後は一旦、休薬する必要があります。
副作用も比較的出やすく、便秘、不眠、のどが渇く、頭痛、動悸などがあります。

基本的には、食事療法・運動療法を行い、効果があまりみられない高度の肥満症の方にのみ使用が検討されるものなので、服用する場合には必ず医師の指導を受けるようにしましょう。

飲み方

1日1回で飲む場合は昼食前に、1日2回で飲む場合は朝食前と昼食前に飲みます。夕方や夜に飲むと眠れなくなる可能性があります。うつ病を持っている場合には、症状が悪化する恐れがあるため処方できません。

ゼニカル(一般名:オルリスタット)

ダイエット-写真
食事に含まれる脂肪分は消化酵素で分解された後、小腸で吸収されます。

ゼニカルは脂肪分の吸収を約30%減らしてくれます
吸収されなかった脂肪分は便として排出されます。そのため便がゆるくなります。
おならが出そうかと思ったら、水っぽい(というか油っぽい)便がジャーっと出てしまうこともあるため、注意が必要です。ナプキンを用意しておいた方が良いでしょう。

飲み方

食事の直前、食事の最中(食中)、食べ始めてから30分以内のいずれかのタイミングで1錠飲みます。毎回の食事の際に飲む方法と、脂肪分が多い食事の時だけ飲む方法とがあります。

毎回の食事の際に飲む場合には、脂溶性ビタミンであるビタミンA、D、E、Kやβカロテンの吸収も減ってしまうので、これらをサプリメントで補った方が良いでしょう。
ゼニカルを飲んでから2時間以上してからサプリメントを飲むと良いです。

保険は利かず、自由診療になります。

BBX

医薬品ではなくサプリメントです。医療機関専売品ですが、通販でも購入できます
ただし通販では偽物も出回っていることがあるようですので注意しましょう。

ダイエットに効果を及ぼす機序には様々なものがあるのですが、主だった機序は以下の2つです。

1.ストレスによる過食を抑える効果

ストレスを感じると体の中のホルモンの一つ、コルチゾールが必要以上に血液中の濃度が高くなり、これによって冒頭に述べたエモーショナル・イーティングが引き起こされます。
BBXのL-チロシンL-テアニンが、このストレスによってコルチゾールが増えるのを防ぎ、過食を抑えます。

2.糖質と脂肪の吸収を妨げる効果

白インゲン抽出物デンプンの消化を妨げます。
海藻抽出物糖と脂肪の消化を妨げます。オプンティア・フィカス・インディカ抽出物(サボテン科の植物の一種)が脂肪の吸収を妨げます。

飲み方

目安としては、1日1回または2回を食前または食後に1カプセル飲みます。
朝、昼、夕、どの食事のタイミングの前でも構いませんが、最もたくさん食べる食事の前に飲むのが効果的です。

便が多少緩くなります。普段、便秘の方が飲むと丁度良いとの声もよく聞きます。

ミトコリン

女性ダイエット-写真
医薬品ではなくサプリメントです。医療機関専売品です。
体内の赤血球以外の細胞にはミトコンドリアという代謝を行う部分があります。

ミトコリンはミトコンドリアの量を増やしたり、働きを向上させることによりエネルギー代謝を良くします
それによって脂肪の燃焼を図る訳です。

体の様々な細胞の代謝が向上するため、ダイエットのみならず、アンチエイジングや、疲れにくくなるといった効果も期待されています。

飲み方

1日2~4粒を目安に飲みます。

まとめ

ダイエット薬・ダイエットサプリといっても、「何をどれだけ食べても大丈夫!」というものではありません。
サプリメントは、厚生労働省が認可した医薬品に比べ、その効果はマイルドであることが予想されますし、医薬品ほどの確立したエビデンスがあるとはいえないのも事実です。

また、上にあげた薬には、重大な副作用も含まれています。使用の際のリスクをよく考慮しながら慎重に使用することが望まれます。

ダイエットは、やはり節度ある食生活と定期的な運動が基本であることは言うまでもありません。薬やサプリはあくまでそのための補助と捉えることが大切です。