サプリメントは使い方を誤らなければ、健康の維持に役立ちます。今回は正しいサプリメントの利用方法を紹介しますが、あくまで栄養摂取の基本は食事にあるということを忘れないでください。サプリメントだけに頼った生活は、それ自体が誤ったサプリメントの使い方です。

目次

正しい飲み方

サプリメントは基本的に、食後に飲みます。これは食べ物から栄養を吸収しているタイミングなので、成分を吸収しやすいタイミングといえるからです。

「正しいサプリメントの利用法」として挙げられるのはその他に、摂取量を守るという程度です。「これが正しい」という細かな決まりは、実はそれほど多くありません。なぜなら、サプリメントは食品だからです。

サプリメントは医薬品ではありません。ですから、「1日3錠程度を“目安”に…」という曖昧な説明書きが多いのです。医薬品であれば、食前や食後に何錠を飲む、などと指定されます。

「食品」といった見方をすると、サプリメントには食事程度の効果しか期待しないというのが、ある意味正しい飲み方です。例えば、「骨を強くするためにカルシウムをとる」という方がいます。よくあるのは牛乳をたくさん飲むという方法ですが、本当に骨が強くなるかは皆さん半信半疑なのではないでしょうか。それと同じような感覚が正しい飲み方です。

 

※この例ではカルシウムを取るだけでは意味がありません。なぜならカルシウムが吸収されるにはビタミンDがないといけないからです。また、ビタミンDは食べ物やサプリメントでの摂取に加え、1日10分程度日光に当たると体内で効果を発揮します。

さて、もし子供の背を伸ばしたいと思ったらあなたはどうしますか?お子さんにサプリメントを与えるだけで済ませますか?それとも食事をたくさん食べさせ、牛乳を飲ませ、外で遊ばせるでしょうか。お子さんの健康を考えたときには、自然にビタミンDを摂れる後者を選ぶ方が多いのではないのでしょうか。

自然に栄養を摂取した方が良いのは、お子さんだけではありません。上記のように思った方は、ご自身も同じように、できるだけ食べ物から栄養を摂るように心がけてください。それでもどうしても栄養が不足してしまったり、体に不調が出てしまったりした場合に頼ることが、正しいサプリメントの使い方です。

飲むときの注意点

Caution

サプリメントの中には一部、服用に注意が必要となるものがあります。

脂溶性ビタミン

過剰に摂取すると、肝臓に蓄積し、肝臓の働きを弱めることがあります。主に脂溶性ビタミン系のサプリメントで、A、D、E、Kが該当します。有名なのはビタミンAで、摂取し過ぎると脱毛や激しい頭痛、脳圧の亢進などを起こします。昔懐かしい肝油ドロップの成分がこのビタミンAで、1日1粒しか食べてはいけないとご両親から言われた経験のある方も多いのではないでしょうか。これは、脂溶性ビタミンはなかなか体外に排出されないのでどんどん蓄積されていってしまうためです。

妊娠中の摂取

妊娠中のサプリメントには、使って良いものと悪いものとがあります。

例えば、妊娠中に不足しがちな葉酸は、食品に加えてサプリメントから摂取することで、赤ちゃんの神経管閉鎖障害の発症リスクを減らすことが可能です。

一方、ビタミンAや、医療用成分と同様のものが入っているサプリメント、ホルモン系のサプリメント等は、胎内の赤ちゃんに良くない影響を及ぼすことがあります。葉酸以外のサプリメントについては、欠乏症などの場合を除き、摂取は推奨されていません。

薬との飲み合わせ

一部のサプリメントは、薬と同時に服用することで効き目を左右してしまうことがあります。

例えば、マーロックスという胃薬を服用していると、鉄剤の吸収が悪くなる場合があります。また、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)を含むサプリメントは、様々な薬の効き目を弱めることが知られています。サプリメントを使っている場合は使っている薬をメモしておき、薬局に行くときには必ず伝えるようにしてください。

まとめ

何度も繰り返しになりますが、サプリメントは薬ではなく、食品です。どうしても不足している部分を補うのが正しい利用方法です。「目安」とされた使用量は守りつつ、あくまで食事や普段の生活で足りない栄養素を補うためのものとして活用しましょう。

一部のサプリメントは、飲みすぎると危険を伴います。また、妊娠中の服用や、他の薬との飲み合わせについては、薬剤師に確認するようにしてください