日本では、「近視大国」と呼ばれるほど若年層の視力低下が問題となっています。それに伴い、視力矯正方法の一つ「コンタクトレンズ」も注目を集めています。さらに近年、使い捨てコンタクトレンズの普及により、コンタクトレンズ装用者は増え続けています。しかし同時に、コンタクト装用者による目のトラブルも問題になっているのです。ここでは、コンタクト装用者の皆さんにきちんと受けてほしい眼科検診についてみていきましょう。

目次

コンタクトレンズと眼科検診

コンタクトレンズは、購入のときに医師に相談したらそれで終わり、というものではありません。心臓ペースメーカーなどと同じ「高度管理医療機器」に該当するコンタクトレンズは、目に重大な影響を与える可能性があるため、医療機器の中でもリスクが高い分類になっているのです。

特に近年は、眼科医の検査や診察を受けなくても、インターネットや雑貨店などで簡単にコンタクトレンズを購入できます。しかし、こういった購入方法をしている人達の多くは眼科検診を受けておらず、目のトラブルも多いといわれています。コンタクトレンズのトラブルを防ぎ、目の病気を早い段階で発見するため、コンタクトレンズ装用者には定期的な眼科検診が欠かせないのです。

目の調子が良くても眼科検診は必要なの?

コンタクトレンズ

コンタクトレンズを使用していて、特に不都合がなく調子が良いから眼科を受診しないという人もいますが、調子が良い時でも、定期的な眼科検診は必ず受けてください。

コンタクトレンズには、硬いハードコンタクトレンズと柔らかいソフトコンタクトレンズの2種類があります。まずは、それぞれの特性を見ていきましょう。

ハードコンタクトレンズ

黒目(角膜)よりも小さくて硬いため、慣れるまでにはゴロゴロとした異物感を感じますが、酸素透過性に優れています。黒目(角膜)に傷がついたり目にゴミが入ったりした場合は痛くてすぐに気付くため、トラブルが起こった場合は早い段階で気付きやすいです。

ソフトコンタクトレンズ

黒目(角膜)全体を覆う大きくて柔らなレンズです。装用感が良いため、初心者でも慣れやすいです。しかし、黒目(角膜)に傷がついたり目にゴミが入ったりしても、ソフトコンタクトレンズが包帯のようなバンテージ効果をもたらすため、傷などに気付きにくく、目に起こったトラブルの発見が遅れる可能性があります。

人気の使い捨てコンタクトレンズは、全てがソフトコンタクトレンズです。自覚症状が出にくいソフトコンタクトレンズでトラブルを早期発見するためにも、眼科検診はコンタクトレンズ装用者にとって非常に重要なのです。

眼科検診で行われる検査

視力検査表

コンタクトレンズの検診ではどういった検査をして、どんな所を診ているのでしょうか。一般的な眼科検診では、以下のようなことを検査・診察しています。

視力検査

中学生・高校生の時期には、視力はまだまだ変動する可能性があります。視力検査では、今使用しているコンタクトレンズの度数が合っているかをチェックします。

また、老眼が入ってくる40代以降の世代では、遠くの視力をしっかりと合わせると近くが見えにくくなってきます。その場合は遠くを弱めに合わせて近くを見やすくするなど度数調整が必要になってきますので、定期的に眼科検診を受け、最適な見え方に合わせてもらいましょう。

フィッティング検査

角膜の大きさやカーブは人により異なります。自分の目に合っていないコンタクトレンズだと、ズレやすかったり異物感があったり、固着して角膜に傷をつけてしまたりする場合もあります。

コンタクトレンズは涙の層の上に浮いています。瞬きをすることでレンズが動き、その時にレンズの下の涙の交換が行われます。そのため、動きすぎると位置が安定せずズレやすくなり、逆に全く動かないと固着して涙の交換ができなくなってしまいます。眼科医は顕微鏡下でこの動きをチェックし、目に合っているかどうかを確認しています。

コンタクトレンズの検査

フィッティング検査と同時に、顕微鏡下でコンタクトレンズに傷がないか・角膜に傷が付いていないかも診ています。

また、診察時には調子はどうか・不都合はないかなど問診も行います。例えばゴロゴロすると訴えがあれば、コンタクトレンズに傷や破損がないか・ドライアイが原因のゴロツキなのか・汚れなどが原因のゴロツキなのかなど、細かくチェックします。

コンタクトレンズの汚れなどは自分では気付かない場合が多く、汚れが原因で目のトラブルを引き起こしてしまう場合もありますので、早期発見が大切なのです。

その他必要に応じた検査

40才以降に緑内障の発生率が高いことから、コンタクトレンズの検診と共に年齢に応じて眼圧検査を行うところもあります。またコンタクトレンズによる酸素不足が長期間続くと、角膜の一番内側の細胞「角膜内皮細胞」が減少していくことがわかっています。角膜内皮細胞は再生しないので、大事な細胞を守るためにも角膜内皮細胞の大きさや数を調べることもあります。

これらの検査や診察は当然ながら眼科でしか行えません。目に異常を感じた時には症状がひどくなっていることも多いので、自分では何も異常を感じなかったとしても、眼科検診を受けるのはとても大切なことなのです。

まとめ

インターネットなどで手軽に購入でき便利になった分、これらのコンタクトレンズの危険性や眼科検診の重要性を知らずにコンタクトレンズを装用している人が大変多くなっています。自分の大切な目を守るために正しい知識を持ち、定期的な眼科検診を受けましょう。