「前は食べてくれていたのに…」「食事を作るのが大変」など、子供の好き嫌いに悩まされている方も多いのではないでしょうか。

ちょっとしたきっかけで今まで食べられていた物が苦手になったり、反対に急に食べられるようになったりと子供の嗜好は変化することがあります。

理想は子供のうちから良好な食習慣を築くことですが、すべての子がそう上手くいくとは限りません。この記事では好き嫌いへの対処法や考え方について解説していきます。

目次

好き嫌いはどうして起こるの?

子供に限らず大人でも好き嫌いは起こります。その要因は大きく分けて遺伝的な要因と環境要因の2つとされています。

遺伝的な要因

食べ物には、本能的に好きになりやすい物と嫌いになりやすい物があります。これは味を感じる細胞である味蕾(みらい)で感知する5つの味覚によるものです。

甘み・塩味・酸味・苦味・うまみと呼ばれる5つの味覚は、食べ物の美味しさを感じるためのシグナルであり、体にとって有益なものなのか、有害なものなのかを判別します。

甘み・塩味・うまみは自然と好きになることが多く、苦味と酸味は毒や腐敗物として認識されるため、本能的に苦手とする人が多いのです。

環境要因

食べ物の好みは食経験によっても作られていきます。初めてのものを食べたあとに、お腹が痛くなったり体調が悪くなるともう一度食べたいとはなかなか思えません。反対に、元気が出たり満足ができた食べ物はもう一度食べたいと思うようになります。

小さい頃からいろいろな食べ物を食べていた子供は、大人になってからも食の幅が広くなります。また、その影響は母親のお腹の中にいる時に胎盤を通じて感じる食べ物の味も関係することがわかっています。

苦手なものを食べてもらう工夫

せっかく用意したのであれば、たくさん食べて欲しいというのが親の気持ちです。しかし子供は本当に気分屋さんなので、思い通りにはいかないのが普通です。ただ単にその食べ物が嫌いというだけではなく、気分環境にも左右されて喫食率は変わります。

苦手なものでも「克服できればさらに食経験が広がる」という視点で考えると食べられるものは多い方が楽しみも多くなるかもしれません。苦手なものを食べてもらう工夫には次のようなものがあります。

1.苦手なものを目にする機会を増やす

絶対に食べなくてはいけないというわけではなく、苦手な食べ物を目にする機会を増やしてあげることで苦手度が緩和する可能性があります。親が美味しそうに食べている姿を見せることが「食べてみようかな」という気持ちを引き出すきっかけになるかもしれません。

2.食経験を増やす

食経験というのは「食べること」だけではありません。食べ物のことについて学んだり、料理を体験することも重要です。まずは食への興味を引き出してあげましょう。いろいろな経験をすることで自然と苦手を克服できるかもしれません。

3.食べ方や環境を見直す

ピーマンやナスなどの野菜なら細かく切ってハンバーグに混ぜたり、ブレンダーでペースト状にしてみるのもオススメです。食事の後に「実は〇〇が入っていたんだよ、食べられたね!」と褒めてあげると自然と自信がつきます。

また、お友達と一緒に食べる、外でピクニックをしてみるなど、普段と環境を変えてみるのも効果的です。毎日とはいきませんが、食事が楽しいと感じられる環境を作ってあげられると良いですね。

無理にでも食べさせた方がいいの?

大人にだって好き嫌いはありますよね。極端な偏食を除けば、好き嫌いがあって苦労したという方は少ないのではないでしょうか?食品の数は数え切れないくらい豊富です。絶対に食べられなければ困るというものはほとんどありません。

食べられないものがあれば、同じような栄養素を含む他の食品で補ってあげるという考え方でも大丈夫です。無理に「食べなさい」と怒ったりするのは恐怖体験をうえ付け、かえって逆効果になることもあるので気を付けましょう。

まとめ

人生を楽しむためには「食」は欠かせないものですよね。好き嫌いは絶対ダメというものではありませんが、食事を通して学ぶことや楽しい経験もたくさんあります。

さらに、大人になってから自分で正しい食事の選択ができるようになるためには、子供の頃からの食習慣が重要です。食体験を広げて食への興味を引き出し、自然といろいろなものを食べることができる環境を整えてあげましょう。