何だか皮膚がチクチクする、刺激を感じてかゆい、赤いぶつぶつが出ている。そんな症状が身体に出ていれば、接触皮膚炎をおこしているのかもしれません。

かぶれとも呼ばれているこの病気は、何によって起こるのでしょうか。今回は、かぶれの原因とそのメカニズムにせまります。

目次

皮膚はどんなしくみになっているの?

まずは、かぶれの起こる皮膚がどのような仕組みになっているのかを見てみましょう。

皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3層からできています。

表皮

一番外側にある薄くて丈夫な層です。

ウィルスや細菌などの異物が身体に入るのを防ぐとともに、体内の水分などが外に露出するのを防ぐバリア機能があります。皮膚の内側にある筋肉、神経や血管を外傷から守る働きをしています。

真皮

タンパク質のコラーゲンなどから作られていて、皮膚に強さと弾力性を与えます。

真皮には、血管、毛のう、神経終末、皮脂腺、汗腺があります。

皮下組織

皮下脂肪の層です。身体を暑さや寒さから守り、クッションのように保護する働きがあります。

エネルギーを貯蔵しています。

どんなときにかぶれるの?

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外部からの刺激や体質などの内面的な要素が入り混じって身体に炎症が起き、かぶれの原因となります。一概にかぶれといっても、いくつかの種類があります。

刺激性接触皮膚炎

刺激物が皮膚の許容量を超えたときに皮膚が炎症を起こします。

原因物質が触れた部分だけに症状があらわれます。かぶれるまでの時間は比較的早いのが特徴です。原因物質の強弱により症状の強弱が決まります。刺激が弱ければ、赤くならずに刺激感だけでることもあります。アレルギーとは無関係のため誰にでも起こりうる皮膚炎です。

刺激物は、物理的刺激化学的刺激の大きく2種類に分けられます。

物理的刺激

  • 日光
  • 温熱
  • 寒冷
  • 乾燥

など

化学的刺激

  • 化粧品
  • 洗剤
  • 薬物

など

アレルギー性接触皮膚炎

特定の物質に対して身体がアレルギー反応を起こすようになり炎症を起こします。

症状のあらわれかたは個人によって異なり、原因物質に少し触れただけで、強くアレルギー反応を起こす人もいれば、何度も触れることでアレルギー反応を起こす人もいます。原因の物質に接触してから1~2日後くらいから強い症状がみられ、接触していたところより広い範囲で炎症が見られます。

アレルゲンとなるもの

  • 金属
  • 花粉
  • ハウスダスト
  • 漆などの植物
  • ハチなどの虫

など

体質的要因

  • アレルギー体質
  • アトピー素因

など

光アレルギー性皮膚炎

肌についている物質と日光が反応することにより、接触皮膚炎を起こします。

顔、手、背中、首など紫外線を浴びやすい場所に皮膚炎が起こりやすいです。

よく見られるのは湿布や日焼け止め、化粧品による光アレルギー性皮膚炎です。

おむつかぶれ

おむつのあたる場所に起こる接触皮膚炎です。尿や便の刺激や密閉されて蒸れることが悪化の一因にもなります。

悪化すると患部に触れるだけでも痛いので、おむつを替えることを嫌がるようになります。

手湿疹

温水、石けんや洗剤の刺激などによって起こる手荒れのことです。

水仕事の多い主婦に多く発症するために、主婦湿疹とも呼ばれています。

どんなものにかぶれるの?

化粧品

皮膚が触れるもの全てがかぶれの原因となる可能性があります。

部位 かぶれの原因となるもの
シャンプー、染髪料、育毛剤、ヘアピン
化粧品、メガネ、
ピアス、補聴器
ネックレス、聴診器
体幹 下着、ゴム、ベルトバックル、柔軟剤
外陰部 避妊用品
腕、手 ブレスレット、硬貨、鍵
靴下のゴム、靴の接着剤

(日本皮膚科学会接触皮膚炎診療ガイドラインを元にいしゃまち編集部が作成)

日常生活の中で皮膚は化学物質と触れる機会が多く、日用品として使われている製品が接触皮膚炎を起こすことが多くあります。

かぶれのメカニズム

身体には、免疫システムといって、外部からの様々な刺激を防御する働きがあります。これが皮膚で起こったのが、湿疹皮膚炎です。

外部から刺激を受けると、白血球を呼び集めて追い出そうとします。白血球を呼び集めるために化学伝達物質が放たれ、毛細血管を拡げて血しょう成分が漏れ出し、皮膚の赤みと腫れを起こします。

かぶれるとどんな症状が起きるの?

 発疹

皮膚が赤くなったり、水ぶくれができたり、かさぶたができたり様々な発疹ができます。

初めに起こる症状を原発疹、続いて起こる症状を続発疹といいます。

原発疹

紅斑(こうはん) 皮膚面は盛り上がらず、色だけが赤く変わる
丘疹(きゅうしん) 皮膚面から5ミリ以下程度に丸く盛り上がる
小水疱(しょうすいほう) 水ぶくれが起きる
膿疱(のうほう) 水ぶくれの中身が黄色く濁っている

続発疹

びらん 表皮が赤くただれて欠ける。
か皮 皮膚に膿や血液などがくっついて固まる。かさぶたのこと
落屑(らくせつ) 角質層が白く浮き出ている
たいせん化 炎症が長引いて皮膚が厚く硬くなる

かゆみ

外部から刺激を受けたときに放たれる化学伝達物質が、知覚神経を刺激して脳に伝わり、かゆみとして認識されると考えられています。

どのように症状が進むの?

様々な症状が同時に発生し、治癒具合によってまた症状が変わります。

皮膚の赤み(紅斑)

ブツブツ盛り上がる(丘疹)

水ぶくれができる(小水疱)

膿ができる(膿疱)

ただれてジュクジュクする(びらん)

かさぶたができる(か皮)

かさぶたがはがれる(落屑)

治る

症状が慢性化すると、皮膚が厚くなりザラザラ(たいせん化)になったり、色素沈着が起きることもあります。

刺激性のかぶれとアレルギー性のかぶれは症状に違いがあるの?

発症する時期や炎症について比べてみましょう。

刺激性のかぶれ アレルギー性のかぶれ
発症する時期 原因物質と接触後、比較的早い時期に発症する 初めての接触では発症しない
かゆみの強さ かゆみはあまり強くない かゆみが強い
炎症の範囲 原因物質と接触した部分だけ 原因物質と接触した部分を超えて炎症がひろがる

かゆみの強さと範囲に違いがあります。

刺激性のかぶれは、初めての接触でも発症して、アレルギー性のかぶれは、二回目以降の接触で発症します。

まとめ

皮膚に触れたものが原因となって起こるかぶれは、身の周りにある全てのものが原因となる可能性があります。発疹が出たりかゆみがあったりと症状は様々ですが、身体の免疫システムが作動することによって起こります。外からの刺激で症状が起こり、原因がはっきりしている場合に「かぶれ」という病名が使われます。