妊娠中は食事に関してデリケートになりがちです。それ故に神経質になりすぎて、食事を楽しめなくなってしまうことも…。ここでは、妊娠中に気を付けるべき食事のポイントについて解説していきます。

目次

バランスのよい食事ってどんなもの?

数値にこだわりすぎて神経質になるのはお腹の中の赤ちゃんにとってもよくありません。そんな中、どんなライフステージであっても重要なものがバランスのよい食事です。負担のない範囲でバランスが偏っていないか見ると良いでしょう。

しかし、「バランスのよい食事ってなんだろう?」と疑問を持つこともありますよね。それでは具体的に、どのような栄養素をどのくらい摂ればよいのか、詳しく見ていきます。

・炭水化物

エネルギーとなる栄養素は炭水化物、たんぱく質、脂質の3つです。そのなかでも大きな割合を占めるのが炭水化物。ごはんやパン、麺類を中心にして、エネルギーをしっかりとチャージしましょう

妊娠中のエネルギー付加量(妊娠していない時より多く食べるべき量)は、初期(16週未満)が50kcal、中期(16〜28週)が250kcal、後期(28週以降)が450kcalとされています。最低でも、毎食茶碗中盛り1杯のごはんを食べ、間食におにぎりやパンで追加するというイメージです。後期にはさらにごはんの量を増やしましょう。

・たんぱく質

たんぱく質は、肉や魚、大豆製品、乳製品、卵といった主に主菜となるおかずから摂取できます。

非妊娠時の目標量がおよそ50gとなっており、妊娠中の負荷推奨量は初期が0g、中期が10g、後期が25gです。

卵1個で考えると中期は1個半、後期は3個半ほど増やすことになります。

たんぱく質源として肉ばかりを選んでいると、同時に飽和脂肪酸の摂取も多くなるので、主菜に使う食品は偏らずに色々な食材を使いましょう。

・脂質

脂質は量だけではなく、「どんな脂質を摂るか」と質を考えることも大切です。妊娠中に限らず、積極的に摂りたい脂質は、n-3系不飽和脂肪酸と呼ばれる魚の油です。n-3系不飽和脂肪酸の摂取が少ないと、早産や低出生体重児のリスクが高まるとの報告もあります。n-3系不飽和脂肪酸が多く含まれるのは、サバやいわしなどの青魚です。

・ビタミンミネラル

ビタミンやミネラルは、野菜や海藻、きのこ類に多く含まれています。1日の野菜類の摂取目標量は350gとなっていますが、妊娠適齢期の20〜30代の女性は慢性的に下回っています。まずは毎食野菜のおかずをとりいれた食事を心がけましょう

一方で、ビタミンといっても注意が必要なものもあります。レバーやうなぎに含まれるビタミンAは過剰摂取による先天奇形が報告されています。妊娠中に必要な栄養素であることには間違いないのですが、サプリメントからの過剰摂取には気を付けましょう

また、骨を形成する成分となるカルシウムは、妊娠中には吸収率が高まることから付加量は設定されていません。しかし、日本人のカルシウム摂取量は目標値に対して低く、日頃から乳製品や小魚などから積極的にカルシウムを意識して摂ることが大切です。

妊娠前から葉酸の摂取を!

厚生労働省では、妊娠の可能性のあるすべての女性に対して、妊娠前からの葉酸の摂取を促す旨の通知を出しています。葉酸は造血に必要なビタミンであり、妊娠によって必要量が増加します。

また、葉酸は胎児の神経管閉鎖障害を予防することから、胎児の細胞分裂の盛んな妊娠1〜3ヶ月までの間は積極的な摂取が必要です。葉酸の摂取は、通常の食事からの葉酸摂取に加えて、サプリメントなどの栄養補助食品から、1日400μg (0.4mgの摂取が望ましいとされています。

ちなみに、葉酸の多く含まれる食品には、ほうれん草やブロッコリーのほか、納豆、いちご、オレンジといった野菜以外のものもあります。妊娠1〜3ヶ月は妊娠に気付かないケースもあるので、妊娠を考えている人は普段からとり入れる習慣をつけておきましょう。

妊娠中に気をつけたいアルコールと魚!

妊娠中のアルコール摂取は、赤ちゃんに大きな影響を与えてしまう可能性があります。胎児の形成異常、脳萎縮、発育不全、また母体のうつ症状の悪化との関連も報告されているので禁酒しましょう。

魚は健康効果が高いとされる食品ではありますが、食べ過ぎは注意しなければならない種類もあります。魚の種類によっては食物連鎖によって水銀が多くとり込まれているものがあり、音への反応が遅れるなど胎児に悪影響を与える可能性があります。魚を食べるときは、種類と量に気をつけましょう。

・特に気を付けなくてもよいもの

キハダ、アジ、サンマ、サバ、鮭、ツナ缶、ブリ、いわし、タイなど

・1週間で160gまでの制限があるもの

キダイ、マカジキ、ミナミマグロ、ユメカサゴ、クロムツなど

・1週間で80gまでの制限があるもの

キンメダイ、メカジキ、本マグロ、めばちなど

・1週間に40gまでの制限があるもの

コビレゴンドウ

・控えたほうがよいもの

バンドウイルカ

量が決まっているものは、組み合わせにも注意が必要です。特にマグロは種類によって食べられる量が違うので、お刺身を食べるときには量に気を付けましょう。

まとめ

妊娠中は、いつも以上に体重増加や食生活に気を配らなくてはならなくストレスを感じるかもしれません。可能な限り、主食・主菜・副菜の揃ったバランスのよい献立を意識して、お腹の中の赤ちゃんに十分な栄養素を届けてあげましょう。