妊娠中の変化で気になるのが、体重の増加かと思います。約10か月の間に体重が10㎏近く増えるので、今までに経験したことのない、体型やフェイスラインの変化が起こります。
赤ちゃんの体重は3kgぐらいなのに、こんなに増えて大丈夫かと不安になるかもしれません。ここでは、妊娠中の体重増加や、産後の体重の変化などについてお話ししたいと思います。

目次

妊娠中の体重増加

妊娠中は、赤ちゃんの成長に伴い妊婦さんの体重が増加していきます。
個人差はありますが、普通の体格の妊婦さん(非妊時BMI値が18.5~25.0未満)が、妊娠40週の時点で赤ちゃんの体重が3kg前後の場合、必要な体重増加量はおおよそ8~10㎏とされています。

赤ちゃんの体重が約3㎏として、あとの5~7kgは一体なにが増えるかご存知でしょうか?
まず、赤ちゃんの成長に伴って胎盤が大きくなり、羊水も増えていきます。胎盤は約500g、羊水も同じく500g程度あります。
また、子宮や乳房、血液の量も増え、これが約4㎏増えます。
この時点で約5㎏分ですが、これらにプラスして脂肪や水分の量が増加し、それがだいたい1~2㎏ぐらいになり合計約5~7㎏になります。

体重増加量のめやす

体重増加量のめやすは、妊娠前の体重によって異なっています。厚生労働省が発表した「健やか親子21」では、下記の指標が示されています。

BMI <18.5(やせ):9~12

BMI 18.5~25(普通):7~12

BMI >25(肥満):個別対応

BMIの計算方法ですが[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]になります。体重50㎏・身長160㎝の方なら、50÷(1.6×1.6)=19.5になり、「普通」の範囲になります。

妊婦さんの体重と赤ちゃんへの影響

妊婦さんの体重は、赤ちゃんにさまざまな面で影響を及ぼします。

1.妊娠中の体重

妊娠中の体重増加量と赤ちゃんの体重には正の相関があります。
妊婦さんの体重増加量が多いと、赤ちゃんの体重も重くなり巨大児に、体重増加量が少ないと、赤ちゃんの体重も少なり低出生体重児となる傾向があります。

巨大児も低出生体重児も、極端だと出生後すぐに治療が必要になる可能性があるだけでなく、成長後に肥満や耐糖能異常(糖尿病予備軍の状態)などの生活習慣病を発症するリスクがあることがわかっています。

また、多すぎる体重増加量は、妊娠高血圧症候群との関連性が高いと言われており、状態によっては母子共に命に関わる危険があります。

2.妊娠前の体重

妊娠する前の体重が、妊娠中に大きく影響することはご存知でしょうか?
痩せすぎの場合、切迫早産、早産のリスクが高いほか、赤ちゃんが低出生体重児になりやすいと言われています。
肥満の場合、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、死産のリスクが高く、赤ちゃんが巨大児や神経管閉鎖障害(無脳症、二分脊椎など)になりやすいことがわかっています。

どちらの場合も、妊娠中から出産、赤ちゃんの一生に関わる病気のリスクを上げてしまいます。妊娠前から体重の管理が重要であることがわかります。

産後、体重は戻る?

産後の女性を対象にしたアンケート調査では、出産後半年までにほとんどの対象者が妊娠前の体重に戻っていたという結果が出ています

ですが、この調査対象者の平均年齢は30±4.1歳で、近年増えている35歳以上の高年齢妊娠の範囲の方はこの結果をそのまま信じて良いわけではなさそうです。

女性は40歳代になると、メタボリックシンドロームの疑いのある人が20歳代の約2倍に増加すると言われており、産後の非妊時体重への復帰は難しいと推測されています。
ですが、体重が増えることを恐れて、妊娠中の食事量を制限したり、妊娠中にダイエットをするようなことは絶対にしないで下さい
体重の増加量はめやすの範囲内に収め、体重は産後に徐々に減らしていきましょう。

まとめ

妊娠と体重の関係は深く、体重が少なすぎても多すぎても、赤ちゃんへ悪影響が及ぶ危険があります。
妊娠中の体重増加量だけでなく、妊娠前の体重も赤ちゃんに影響するため、妊娠前から体重管理には気を配るようにしましょう。

特に35歳以上の高年齢妊娠の方は、様々な合併症のリスクが高くなってきますので、体重の増加量はめやすの範囲内に収まるように注意しましょう。