妊婦さんが食べてはいけないもの、控えた方がいいものがあるのはご存知でしょうか?今まで普通に食べていたものを制限されるのは辛いことですが、赤ちゃんの成長・発達に影響が及ぶ可能性のあるものも存在するため、ぜひこの機会に知っておいてください。ここでは、妊娠中の食事の注意点についてお話ししたいと思います。

目次

食べてはいけないもの

妊娠中に絶対に摂取してはいけないものは、アルコールだけです。妊娠中にアルコールを摂取することで、赤ちゃんが胎児性アルコール症候群という病気になる可能性が高いためです。胎児性アルコール症候群は下記のような症状が出ます。

  • 子宮内での成長・発達、出生後の成長・発達に障害が出る
  • 精神遅滞や多動などの中枢神経の障害が出る
  • 特徴的な顔つき、小頭症などの頭蓋顔面奇形
  • 心奇形、関節以上などさまざまな奇形

たとえ少量のアルコールでも赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があり、この量なら安心と言われる量は確立していないため、妊娠中は禁酒するのが一番です。妊娠初期に妊娠に気付かずに、少量のビールやワインを飲酒をしてしまったという程度なら問題ないとされていますが、妊活中や、妊娠の可能性がある場合には早めに禁酒しておいたほうが安全です。

控えたほうがいいもの

寿司

妊娠中、絶対に食べてはいけないというわけではありませんが、食べるのを控えたほうが安全な食品は下記のとおりです。

生肉

生肉や加熱が不十分な肉を食べることで、トキソプラズマという寄生虫に感染し、赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症という病気になる可能性があります。先天性トキソプラズマ症は下記のような症状が出ます。

  • 流産、死産
  • 脳内石灰化
  • 水頭症
  • 脈絡網膜炎(視力障害、視力低下がおきます)
  • 精神運動障害

また、生肉を食べるとカンピロバクターや腸管出血性大腸菌などの食中毒菌に感染する危険もあります。妊娠中は、ユッケや馬刺し、鳥刺しなど生で食べるメニューは避け、バーベキューなど生焼けの肉を食べる可能性のある機会も控えましょう。

生の魚介類

刺身やお寿司など、生の魚介類にはノロウイルスや腸炎ビブリオ、リステリア菌などの食中毒の原因菌が付着していることがあり、妊娠中は免疫力が落ちているため、食中毒になる可能性が高くなります。

特にリステリア菌は、妊娠中に感染すると、胎盤や胎児にも感染し、流産や胎児への影響がでることがあります。他の食中毒菌も、お母さんに嘔吐や下痢などの症状が出るため、脱水や、流産・早産の引き金になる可能性があります。

生卵

卵の殻にはサルモネラ菌という食中毒菌が付着している場合があり、卵を割った時に菌が入ってしまう可能性があります。加熱すれば問題ありませんが、卵かけご飯などで生卵を食べると、食中毒を起こす場合があります。

生ハム、ナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)、肉や魚のパテ、スモークサーモンなど

これらの食品はリステリア菌による食中毒を起こす危険性があり、妊娠中は通常よりもリステリア菌に感染しやすいため、注意が必要です。

量を控えたほうがいいもの

妊娠中に食べる量を注意したほうがいいものは下記のとおりです。

カフェイン飲料

カフェインは、コーヒーや紅茶、緑茶類、コーラなどに含まれていて、カフェインの摂り過ぎによって赤ちゃんが低出生体重児となったり、将来の健康リスクが高くなったりする可能性があるとされています。

世界保健機関(WHO)では、コーヒーなら1日3~4杯までにすべきとしており、英国食品基準庁(FSA)ではコーヒーならマグカップ2杯程度にすべきと明言しています。

日本での明確な基準はありませんが、欧米人より小柄な日本人の体型を考えると、コーヒーなら1~2杯以下にするのが安全です。妊婦さん用にノンカフェインのものも多く販売されていますので、そちらを代用することをおすすめします。

しかし、少量のカフェインをとったからすぐに胎児に何らかの影響が出るというものではありません。カフェインは様々な食品に含まれていますので、過剰に神経質になるのも問題です。普段からコーヒーを1日に何杯も飲む習慣がある人は量に気を付けた方がよいという程度で考えるとよいでしょう。

水銀を含む魚

魚の中には、水銀を含むものが意外と多く存在します。妊娠中に水銀を摂りすぎると、赤ちゃんのからだに水銀が蓄積し、音を聞いた時の反応が1/1000秒以下のレベルで遅れるなど、神経系に影響を及ぼす可能性があります。注意が必要な魚と、摂取量のめやすは下記のようになっています。

1週間に2回までOK(1回あたり刺身なら1人前、切り身なら1切れ)

  • キダイ
  • マカジキ
  • ユメカサゴ
  • ミナミマグロ(インドマグロ)
  • ヨシキリザメ
  • イシイルカ
  • クロムツ

1週間に1回までOK(1回あたり刺身なら1人前、切り身なら1切れ)

  • キンメダイ
  • ツチクジラ
  • メカジキ
  • クロマグロ(本マグロ)
  • メバチ(メバチマグロ)
  • エッチュウバイガイ
  • マッコウクジラ

2週間に1回までOK(1回あたり刺身なら1人前、切り身なら1切れ)

  • コビレゴンドウ

例えば、本マグロの刺身を食べた週は、他の水銀を含む魚は食べないのが安全です。キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオなどは問題ありませんので、これらの魚でカルシウムやDHAなどの栄養をしっかり摂るようにしましょう。

妊娠初期に妊娠に気付かずに、水銀を含む魚を多く食べてしまった場合ですが、胎盤が完成していない時期なので摂取した水銀がそのまま赤ちゃんに取り込まれることはありません。お母さんのからだは水銀を少しずつ排出できるので、胎盤が完成して赤ちゃんに取り込まれる頃には水銀の量は減っているので、問題はないとされています。

まとめ

アルコールは少量でも赤ちゃんへの影響が懸念されますので、妊娠中は絶対に飲まないようにしましょう。

また、妊娠中は免疫力が落ちやすく、風邪や食中毒などの菌に対する抵抗力が弱くなっている状態です。いつも以上に食中毒には気を付けましょう。
生の食品はできるだけ避け、調理器具の洗浄や消毒はこまめに行い、洗った後はしっかり乾燥させるようにしましょう。賞味期限は守り、ちょっとでも危ないなと思うものは廃棄するようにすることが大切です。

妊娠中、赤ちゃんを守ることができるのはお母さんだけですので、食べてはいけないもの、控えた方がいいものはしっかり覚えておきましょう。