皆さんは、打ち身や関節痛などで湿布薬をお使いになったことはありますか?

パップと呼ばれる冷湿布や温湿布だけでなく、最近は貼り付きのよいテープ剤も出ています。湿布薬の使い分けなど、知っておいて損はありません。また、症状によっては湿布を使ってはならない場合もあります。今回はそんな湿布薬についてご紹介します。

目次

冷湿布と温湿布って何が違うの?

薬局の湿布コーナーに行くと様々な種類の湿布薬がありますが、まず目につくのは「冷湿布」「温湿布」ではないでしょうか。それぞれ、どのような症状に適しているのか見ていきましょう。

冷湿布

冷湿布は冷やすタイプの湿布です。主にぶつけた直後など、赤く腫れて熱を持ち、痛みがある急性症状に用います。特に打撲や捻挫、肉離れなどの急激な炎症に使います。

ひんやりとした感覚を与えているのは、サリチル酸メチルメントールハッカ油などの成分です。ただし冷湿布による冷却効果はそこまで大きくないため、冷却効果を期待する場合は湿布の上から氷嚢などで冷やすほうが効果的といわれます。

温湿布

温湿布は、温かく感じる成分を配合しています。患部の血管を拡げて血行を促進する働きがあるため、疲労や慢性的な腰痛・肩こりなど、患部が硬く冷たい症状で、動かすと痛みを伴うような状態の時に用います。

温湿布は、温感成分による皮膚刺激でかぶれやすいという特徴があります。そのため、お風呂に入る30分~1時間前にはがしておくことが必要です。貼ったまま、あるいははがしてすぐに入浴すると痛みを伴い赤くなることがあります。

温感を与えているのは、トウガラシエキスや合成トウガラシのノニル酸ワニリルアミド、及びニコチン酸エステルなどです。温感効果ははじめのうちだけで、数時間で温度は冷湿布と変わらなくなるため、温めることが主目的でれば、冷湿布の上から使い捨てカイロなどを使用する方が良いでしょう。

湿布剤とテープ剤って何がちがうの?

湿布

湿布剤について、外用製剤協議会は下記のように述べています。

鎮痛消炎貼付剤とは
一般に、パップ剤とテープ剤に分類され、パップ剤は水を含む基剤を用いる鎮痛消炎貼付剤であり、テープ剤は水を含まない基剤を用いる鎮痛消炎貼付剤でプラスター剤及び硬膏剤等も含まれます。
(参照:外用製剤協議会|剤形

さて、専門的な単語が出てきていますので特徴をまとめると以下のようになります。

パップ剤

パップ剤は水分を含むので肌への密着度が高く、薬効成分が効率的に浸透します。いわゆる「湿布」と言ったときに多くの方がイメージするのは、こちらの剤形でしょう。

肌がかぶれやすいなどの場合は、テープ剤よりパップ剤の方が適しています。

テープ剤

テープ剤は貼り付きをより良くしており、伸縮性も高いため関節周囲などの動きの大きい部位への使用に適しています。

消炎鎮痛効果が高いシップ剤として、非ステロイド性抗炎症剤NSAIDsの配合された湿布やテープ剤が販売されています。

湿布には「第一世代」「第二世代」がある

湿布は、以前は消炎鎮痛剤の成分が入ってない製品(第一世代)しかありませんでした。しかし現在、これにNSAIDsが含まれ「鎮痛・消炎」の面が強化された湿布が販売されています。これを第二世代と呼び、従来のものと区別しています。

湿布を使用するときの注意点

以下の注意点は、すべての湿布剤とテープ剤に共通していることです。

貼りっぱなしではなく、はがす時間をしっかり作る

湿布やテープ剤を長時間貼りっぱなしにしていると、副作用としてかぶれが起こりやすくなります。薬は、皮膚に浸透した後もしばらく効果が持続します。いったんはがした後は、数時間は貼らずに皮膚を休ませてください

貼る場所にも気をつけて

傷口、粘膜、湿疹、または発疹のあるところには貼らないでください。また、貼ったところがかぶれたり、かゆみがでたら、使用を中止して医師に相談しましょう。

汗などで皮膚がぬれている時は、よくふき取ってから貼ってください。そのまま貼ると、はがれやすくなるだけでなく、かぶれなどの原因になります。

妊娠中は要注意

妊娠している可能性のある方や妊娠中の方は、NSAIDs含有の湿布は使えない場合があります。医師または薬剤師へ相談してください。

他人には譲らないで

医療用の湿布やテープ剤など、処方された薬剤を他人へ譲るのは禁止されています。

光線過敏症に注意

光線過敏症は、通常は反応を起こさないような紫外線量でも敏感に炎症などの症状を起こしてしまう状態をいい、その症状から日光アレルギーとも呼ばれます(日焼けとは異なります)。日光に当った部位に蕁麻疹が出たり、赤くなってかゆみが生じたり、水ぶくれができたりします。

一部の湿布に配合されている成分によっては、この光線過敏症を誘発する場合があります。湿布を貼った箇所と一致して発疹が出るため、症状に気づいたら、日光を避け速やかに皮膚科医や主治医に相談しましょう。

最後に

ちょっとした腰痛や肩こりにも使用できる湿布は、とても身近な医薬品です。たかが湿布、と思うかもしれませんが、使い方次第では思わぬ副作用が生じる場合もあります。管理や使用には十分に気を配る必要があるでしょう。