夏や冬など屋外の気温差が激しくなる季節に、くしゃみ鼻水などの症状が出て止まらなくなることがあります。寒暖差アレルギーという名前がついているものの、正式名称は血管運動性鼻炎といい、身体のアレルギー反応とは関係がありません。今回は寒暖差アレルギーを発症したときの対策方法についてご紹介いたします。

目次

くしゃみや鼻水が出て鼻づまりが長く続くと…?

人間は、呼吸をするときに、口と鼻を使います。正常な状態では鼻呼吸をして、冬の冷たく乾燥した空気が鼻の中を通ることで、温まり湿った空気に変わり肺へ入ります。また、外気にはホコリ、細菌や花粉などの異物が混じっているので、くしゃみをすることによって鼻から身体の外へ追い出す役目もあります。何らかの問題があって口で呼吸をしていると、細菌などの異物が直接身体の中に入ってくるので、喉や肺に刺激を与えることになります。

寒暖差アレルギーの症状について詳しくは、「温度差で体調が変わる?!寒暖差アレルギーってどんな症状?」をご覧ください。

鼻の症状と自律神経の関係とは?

鼻の症状は、自律神経が影響を及ぼしています。自律神経とは、身体のバランスを整える神経で、興奮しているときは、交感神経が活発になり、睡眠中など休んでいるときは副交感神経が活発に働いています。

副交感神経が活発に働くと鼻粘膜の毛細血管が広がり、鼻の粘膜がむくみます。鼻水とくしゃみも多く出るようになります。反対に、交感神経が活発になると、鼻の通りがよくなります。自律神経のバランスを整えて、鼻の不快な症状を改善しましょう。

寒暖差アレルギーの対策方法

寒暖差アレルギーとよく似た症状を起こす病気に、アレルギー性鼻炎があります。アレルギー性鼻炎は、アレルギーの原因となるものを取り除きますが、寒暖差アレルギーは身体のアレルギー反応によって起こる病気ではないので、対症療法が行われます。また、鼻の症状には自律神経が影響を及ぼしているので、自律神経のバランスを整えることも大切です。

耳鼻咽喉科で行う治療

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1.薬物治療

一般的に、アレルギー性鼻炎に準じて治療が行われます。刺激となるものを避けましょう。症状を抑える対症療法が主体となります。

2.手術療法

薬物療法を行っても効果が現れない場合は、手術療法を行うことがあります。副鼻腔炎(蓄膿症)などの他の病気がないか確認してから行います。

  • レーザー治療、電気凝固術
    レーザーや電気で鼻の粘膜を焼いて、腫れている粘膜を固まらせて鼻の通りを良くします。
  • 鼻粘膜切除術
    鼻の中で腫れている粘膜の一部を切り取り、鼻づまりを解消します。
  • 後鼻神経切断術
    後鼻神経とは、鼻を通っている副交感神経で、鼻水やくしゃみを出しています。神経を切断することで症状を和らげることができます。適切な場所で切断すれば、鼻以外の場所へ行く神経を傷つけることはありません。

主治医とよく相談をして、最善の治療を探していきましょう。

生活上の注意点

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自律神経のバランスを整えるためには、不規則な生活を改善して休養を取り、ストレスをコントロールするようにしましょう。

1.生活のリズムを整える

交感神経は、身体を活発に動かす日中に主に働き、副交感神経は身体を休める夜間に主に働いています。夜型の生活が続くと、副交感神経が働く時間に交感神経が働いてしまうので、身体のリズムが崩れやすくなります。本来の身体のリズムに戻すために、就寝時間を早めて、朝早く起きるようにしましょう。

2.バランスの取れた食事を心掛ける

肉体と精神の健康を保つには、栄養バランスの良い食事をとることが必要です。欧米型の食生活は、肉類と卵が多く、たんぱく質と脂肪の取りすぎに繋がります。それに対して、日本食は穀物や野菜を中心とした献立で、味噌や醤油などの発酵食品が多く使われるので、健康な身体を維持する栄養が豊富に含まれています。外食が多い人は、野菜類が多いメニューや品数の多い定食にするなど、ストレスにならない範囲で工夫をしましょう。

3.運動をして体力をつける

適度な運動は身体の筋肉をつけて、代謝機能を改善させます。体質改善のために、水泳、ジョギング、ウォーキングなどの運動を楽しみながら行いましょう。ストレス解消のためには、楽しむ気持ちが大切です。手軽にできて自分が好きな運動を続けることで、心身ともにリフレッシュできます。

4.鼻うがいをする

鼻水が沢山出て、鼻がむずむずするときは、「鼻うがい」を行ってみましょう。プールの水などが鼻に入ったときと違って、痛くありません。鼻の中がすっきりとして症状が和らぎます。鼻うがいの仕方は、「手術が必要?蓄膿症の治療法とは」をご覧ください。

5.タバコを吸わない

タバコの煙は鼻の粘膜を荒らし、炎症を招きます。また、鼻に侵入した異物などを外に出す働きをしている鼻粘膜の線毛の動きを弱めるので、花粉や細菌などを排除することができなくなります。さらに、タバコに含まれるニコチンが血行を悪くするので、鼻炎の悪化に繋がります。

まとめ

耳鼻咽喉科では、寒暖差アレルギーの治療として対症療法が行われます。薬物治療や手術療法で、鼻水やくしゃみを抑えて、鼻づまりをなくす治療が行われます。また、寒暖差アレルギーには自律神経が影響していると考えられているので、規則正しい生活を送ることで症状の改善を目指しましょう。夜型の生活を送っている人は、朝型の生活へ徐々に変えていき、栄養バランスの取れた食事を取り、適度な運動と禁煙を行うことで、自律神経のバランスが整います。