日本の透析患者さんの数は増えつつあります。腎臓病を患い、治療の選択肢として透析を導入しなければいけないとなった場合、たくさんの不安や心配があるかと思います。

しかし、最近の透析医療は進歩しており、透析をしながらでも仕事をしたり、元気に過ごしたりすることができます。今回は、人工透析の仕組みについて説明していきます。

目次

腎臓と人工透析

腎臓は、腰のやや上のあたり左右に1個ずつあり、大きさはこぶし大くらいです。

腎臓は、体の中の余分な水分や血液に含まれる老廃物をろ過し、尿を作り出すという重要な役割があります。血液中の成分を調整することや、他にも、ホルモンを作り出し血圧や貧血などを調整するといった身体のバランスコントロールも担っています。

この腎臓の機能が著しく低下してしまった時の一つの対処法として、人工透析があります。透析を行うことによって、体内の老廃物などの毒素が人工的に排泄され、生命活動を維持することができるのです。

透析が必要な場合って?

肝臓などの他の臓器と違い、腎臓は再生能力が低く、一度失われた機能は回復することが難しいです。

慢性的に腎臓への障害が続くと、腎機能が徐々に低下し、体の中に老廃物がたまり、尿毒症といわれる症状が現れます。

尿毒症の症状としては、吐き気、嘔吐、疲れやすい、食欲低下、倦怠感、記憶力の低下などが出現し、時には意識障害が起き、昏睡状態となることもあります。また、むくみ、呼吸苦、貧血、高血圧、不整脈など、全身のあらゆる症状が出現することもあります。

薬物や食事療法などの治療を行っても腎機能低下の進行が止まらず、そのままでは普通の生活を送るのが困難になってしまう場合、人工透析を考える必要があります。

人工透析の仕組み

手と手

人工透析は、本来の腎臓の代わりに、人工的に老廃物や余分な水分をろ過し、血液を浄化する治療法です。

透析療法には血液透析腹膜透析の2種類があります。血液透析は、人工腎臓の機械を使う方法です。腹膜透析は、自分の生体膜である腹膜を用いる透析です。

血液透析と腹膜透析のどちらを行うかは、腎臓の状態やライフスタイルなどを考慮して決められます。

血液透析

透析時に血管に針を刺し、血液を体外に取り出します。ダイアライザと呼ばれる透析器に血液を通すことによって、血液中の余分な水分や老廃物をきれいに取り除きます。浄化された血液は再び体内に戻します。

週に3回程度、医療機関で行います。1回につき3~5時間程度要します。

通常、血液透析では150~300ml/分の大量の血液を取り出さなければいけないため、透析が必要となった場合は、腕の血管の動脈と静脈をつなぎ合わせる(内シャント)手術を行うことがほとんどです。

内シャントをつくることで、静脈に多くの血液が流れるため、太い針を刺しやすく、大量の血液を取り出しやすくします。

腹膜透析

自分の腹膜を介して体内で透析をする方法です。腹腔に透析液を4~8時間入れておくと、自分の腹膜を通して血液中の余分な水分や老廃物が透析液側に移動します。その透析液を体外に排出することで血液は浄化されます。

腹膜透析をはじめるには、直径6mmほどの腹腔内カテーテルというやわらかい管を留置する必要があります。普段も留置したままで、そこから透析液の注液や排液を行います。20~30分の透析液交換を1日4回行います。

また、日中は交換せずに、夜間寝ているときに機械を使って透析液の交換をする方法もあります。血液透析より通院の負担が少なく、自宅や職場や学校などでも行えるのが利点です。

まとめ

血液透析と腹膜透析、それぞれの利点を生かして、医師と相談しながら腎臓の状態やライフスタイルなどを考慮して適切な方法を選択していきましょう。

透析に関して、良いイメージを持っている方は少ないかもしれませんが、透析をしていても、日ごろからしっかりと自己管理を行うことで毎日元気に過ごすことができます。

透析患者さんが気をつけるべき生活の注意点に関しては「人工透析の患者さんが気をつけなければいけないことって?食事や生活のポイント5つ」の記事をご覧ください。