「腱鞘炎」といえば以前は、たくさん絵や文字を書く人や、楽器の演奏などで手指を酷使する人に特有の症状でした。しかし、スマートフォンやパソコンが普及した現代、手の痛みを感じる腱鞘炎や手指のしびれを感じる手根管症候群は、誰にでも起こりうる症状です(症状の詳細は「スマホやパソコンの使いすぎで手が痛い…これって腱鞘炎?」の記事をご確認ください)。これらの症状は、一度発症してしまうと治療には時間がかかります。そのため、仕事やプライベートでパソコン・スマホを多用する人は普段から予防を行うことが大切です。今回は、手の異常を防ぐために今すぐできる対策を、医師・菊地 淑人先生による監修記事でご紹介します。

目次

手の痛みやしびれの原因は手の使いすぎ

手の異常の多くは、手や指を使いすぎていることが原因で起こります。特定の指を使いすぎると、腱鞘が肥厚し狭くなったり、腱の表面が肥厚し通過が悪くなったりすることがあります。これが痛みを引き起こす原因です。

一度症状が出ると、完治までにはとても時間がかかります。ひどい場合は簡単な手術が必要になることもあるのです。

手の異常を予防するために今すぐできること

1.休憩をとる

休憩をとる

パソコンを使った作業は、集中していると長時間休みなしに続けてしまうことがあります。ですが、上にも書いたように手指の使いすぎは腱鞘炎や手根管症候群の最大の原因です。そのため、こまめに作業を中断し、手や指を休ませるようにしましょう。目安としては、1時間に1回は休憩が必要です。さらに、画面の文字を読むときや途中で考えたりするときには、一度マウスやキーボードから手を離すと良いでしょう。

休憩の際は、両手を上げて手指の屈伸を行ったり、肩をすくめるような軽い運動を行いましょう。これは腱鞘炎だけでなく肩こりの予防にも繋がるため、一石二鳥です。

2.姿勢を正す

腱鞘炎を防ぐためには、手指だけでなく全身の姿勢にも注意が必要です。パソコンを使って作業する時は、肘から手首が無理なく机の上に置けるような姿勢を心がけましょう。

背筋が伸び、両足の裏がきちんと床に付いている状態が理想です。足を組んだりしていると、余計な力が入りやすくなってしまうので気をつけましょう。机の高さやモニターの高さも重要です。あまり見上げたり、見下ろすような位置は避けるようにしましょう。

3.軽いタッチで作業する

軽いタッチ

気合を入れて作業していると、キーボードを打つときもマウスでクリックをする時も手指に力が入りがちです。
力強く押したくなる気持ちも分かるのですが、軽く押すだけでパソコンはきちんと反応してくれます。常に軽いタッチやクリックを心がけるようにしましょう。

4.スマホを両手で操作する

スマートフォンを使用する時は、片手で持って親指だけで操作して、という人もいると思います。ですが、実はこの持ち方は手に大きな負担をかけているのです。

腱鞘炎を防ぐのに適した方法は、片方の手にスマホを持ち、もう片方の手で画面を操作するというもの。つい片手で持ってしまうという人は、思い切って大きめの機種に変更してみるのも1つの方法です。

5.こわばりを感じたらまずは温める

作業をしていて手がこわばってきたなと思ったら、まずは手指を挙げて曲げ伸ばしをすることです。また温めると血行が良くなって、こわばった感じも取れますので、是非実践してみてください。

ただし、熱っぽさを感じたら手を冷やしましょう。よく、スポーツ選手が競技の後に筋肉を冷やしていますよね。それと同じで冷やすことで腱の炎症を抑えることができるのです。

どちらにせよ、違和感をおぼえたら放置せず、しっかりとケアを行いましょう。

最後に

腱鞘炎を防ぐための方法を5つ紹介しました。

どれも今すぐに始められることです。明日の仕事からでも、今パソコンかスマホから「いしゃまち」をご覧になっているこの瞬間からでも、ちょっとした心がけで腱鞘炎を予防することができます。便利な機械とうまく付き合って、健康な毎日を送りましょう!