低血糖と言われると、怖いイメージが湧いてきます。運転中に意識がなくなり事故を起こしたとか、ボーッとした感じで家の周りを歩いているのを近所の人が見かけたと言うけど自分ではそんな記憶がないとか。怖いですよね。でも、ちゃんとした知識を持ち対処法を知っていれば恐れるに足りません。ここでちょっと勉強してみてください。

目次

広告を読み込み中

低血糖が起こるのは、どんな患者さん?

まず、低血糖は糖尿病患者さんのすべての人に起こるものではありません。低血糖発作を起こす人は決まっています。

  • インスリン注射で治療を行っている人
  • 膵臓を刺激してインスリンを出させる作用を持つスルフォニルウレア(SU)薬※1グリニド薬2を飲んでいる人

まれにDPP-4阻害薬※3を飲んでいる人でも起こることがあります。インスリンは体の中で唯一血糖を下げる働きがある物質で、インスリンが血糖に対して過剰になった場合に低血糖は起きます。

次のような場合に、インスリンが血糖より過剰な状態になり低血糖が起こります。

  • 上記の注射薬や内服薬の量が多かった
  • いつもより食事量が少なかったり食べられなかったりした
  • 運動をして血糖を消費してしまった

※1 スルフォニルウレア(SU)薬:アマリール、オイグルコン=ダオニール、グリミクロンなど
※2 グリニド薬:グルファスト、ファスティック=スターシスなど
※3 DPP-4阻害薬:ジャヌビア=グラクティブ、エクア、トラゼンタ、テネリア、オングリザ、スイニーなど

広告を読み込み中

低血糖のサインとは?

低血糖のサインは、典型的には動悸、冷や汗、手の振るえなど血糖を上げようとする交感神経の刺激に由来するものと、強い空腹感、眠気のようなボーっとする感じ、眼のかすみなど脳のエネルギー(血糖)不足に由来するものがあります。他には、お腹が痛くなるという人もいました。

酷い低血糖になると、異常行動や意識の低下・消失が起こります。症状の強度も血糖の下がるスピードに関係していて、ゆっくり下がっていく場合は症状が軽く、急に下がっていく場合は強い印象です。

実際、低血糖を起こした患者さんに話を聞いてみました。

「内服薬の量」から低血糖に

内服薬の量を調節中の患者さん。朝食後にSU剤を飲んでいて、夕食前になると空腹感に襲われたり、頭が回らない感じがしたり、ちょっと汗ばむ感じがしたそうです。それで甘いものを食べると良くなるというので、夕方に来てもらって血糖を測ると70mg/dl以下の低血糖でした(薬の量が多かった→ゆっくりとした低血糖→脳のエネルギー不足+交感神経刺激)。

「食事の遅れ+運動による血糖の消費」から低血糖に

いつもは食事の直前に超速効型インスリンを注射する患者さん。ですが、その日は自転車で10分ほどの居酒屋さんで会合があったそうです。お店で注射するのも嫌だなと思い、家でインスリンを注射して行ってみたら道中で低血糖を起こし意識を失って救急搬送されたといいます(すぐ食事を摂れなかった+運動した→急な低血糖→意識消失)。

広告を読み込み中

低血糖になったときの対処法

では低血糖になったらどうすれば良いのでしょう。

低血糖のサインがみえたら、すぐに対処することです!甘いもの、すなわち糖分を摂りましょう。1回につき砂糖(ショ糖)であれば20g(ティースプーン4杯分)、ブドウ糖なら10gが目安です。甘くても合成甘味料ではだめです。その程度の糖質を含む食べ物を日ごろから見つけておきましょう。

低血糖が続くようなら、こうした食べ物を15分毎に摂取します。また、インスリンを注射している方やαグルコシダーゼ阻害剤(αGI※4を内服している方はブドウ糖の摂取が必要です。薬局に粉末状、タブレット状、ゼリー状のブドウ糖が売っているので、備えておきましょう。

※4 αグルコシダーゼ阻害剤(αGI:ベイスン、グルコバイ、セイブルなど

また、治療用のものでは当然ありませんが、お菓子やジュースの類でブドウ糖が含まれているものがあります。森永ラムネやコカ・コーラなどです。

森永ラムネはブドウ糖90%配合なので、16粒ほどで10g相当になります。赤色の普通のコカ・コーラはブドウ糖の含有量については公にされていませんが、他のブドウ糖を含むジュース同様1回につき150~200mlは飲んでください。

広告を読み込み中