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糖尿病って?

読んで字のごとく、オシッコに糖(ブドウ糖)が出てくる病気です。古くは紀元前、インドのアーユルベーダの医学書に糖尿病らしい記載がありました(私の恩師がアーユルベーダに興味がありその医学書を読む会で知りました)。

実際の病気の成り立ちは、膵臓から出てくるインスリンという血糖値を下げるホルモンの製造不足、作用不足によります。糖尿病の9割方はこれが遺伝によって起こってきます。これを2型糖尿病といいます。残りは、子供や若い方に多いのですが原因不明でインスリンが全く作られなくなる1型糖尿病です。

糖尿病になるとどうなるの?

軽い糖尿病は無症状です。進行するとオシッコの量や回数が増えます。それに伴って喉が渇き水分をよく摂るようになります。さらに酷くなると、体がだるく疲れやすくなり、体重も減ってきて1~2ヶ月で5~6kg落ちます。

体重計

糖尿病を放っておくとどうなるの?

ひどい人は正常の人の10倍近い血糖値にもなり、高血糖で意識がなくなります。これを糖尿病性アシドーシスといいます。

そこまでいかなくても、糖尿病による高血糖はじわじわと血管を傷害していきます。体のあちこちの細い血管が痛めつけられて動脈硬化が進み、詰まったり破れたりします。慢性的な高血糖を7年間放っておくと眼の奥の細い血管障害されて失明します(糖尿病網膜症から網膜剥離に)。20年近く放ったらかすと、腎臓の細い血管が障害されてオシッコが作れなくなって人工透析糖尿病腎症から腎不全)に、血行不良や神経の感覚障害(糖尿病神経障害)で足の壊疽(腐ってしまうこと)が起こり、足を切断することになったりします。恐い話ですが事実です。

糖尿病かどうか知りたいけど、どうすればいい?

口渇・多飲・多尿がある方は主治医やご近所のかかりつけの先生に相談してください。さらに体重減少も加わっている方は至急受診してください。

軽い糖尿病では症状がありませんから、1年に1度は職場や地域の健診を受けることをお勧めします。採血をして血糖値とHbA1cを調べるだけで分かります。特に、家系に糖尿病の身内がいる上に、肥満があったり痩せていても大酒飲みであったりする人は発病しやすいので注意が必要です。

糖尿病になったらどうするの?

糖尿病は、良くなることはあっても治らない病気です。通院を始めたら途中で止めないようにしましょう。生活習慣病の代表ですから食事や運動の改善が第一です。肥満の解消や飲酒の制限、できる限り運動習慣をつけるように指導したうえで、改善が見込めない場合に内服薬を開始します。複数の内服薬を使っても良くならない場合はインスリンの自己注射での治療になります。

1型糖尿病ではインスリンが作られないので、インスリン自己注射が唯一の治療となります。

まとめ

糖尿病は症状がなくついつい放置しがちな病気ですが、放っておくと10年後、20年後に後悔することになる怖い病気です。しかし、早期発見と早期からの治療で健康な人と同じ生活が可能な病気でもあります。できるだけ定期健診を受けて早期発見に努め、通院加療中であれば良くなったからといって自己中断せず定期受診を心掛けてください。