夏になって、プールの季節になると流行するのが水イボです。よく耳にするかもしれませんが、水イボの原因や治療法・予防法についてはご存知でしょうか。水イボは、自然に治る病気ではありますが、早く対応できれば早く治る病気でもあります。水イボの原因・治療・予防についてまとめました。流行してくる前に、参考にしてください。
水イボとは? 症状は?
水イボは伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)ウイルスが原因で起こる、皮膚の感染症です。幼児・学童期の子供がかかりやすい病気です。
症状としては、体を中心にイボ状の発疹(伝染性軟属腫)ができます。痛みやかゆみはほとんどありません。発疹の大きさは1~5mm程度で、表面は少し平らになっていて光沢があります。大きくなると1cm程度になることもあります。少し大きいものになると、発疹の中心部が少し凹んでおり、へそのように見えることから中心臍窩(ちゅうしんさいか)と呼ばれます。
掻いたりしてこの発疹をつぶすと、白色の物質(ウイルスとウイルス感染によって変性した細胞)が出てきます。これが皮膚につくことで、さらに感染が広がります。
伝染性軟属腫は胸・おなか・背中・手足にできますが、てのひらや足の裏にはできません。
診断は症状(発疹の様子)から診断することがほとんどです。
水イボはうつりやすい?
他の人への感染は、発疹の白色物質を直接触れることでうつることが多いです。ただし、感染力はそれほど強くはありません。
水イボになると、学校の先生などからプールに入ったらだめと言われることがあるかもしれませんが、塩素消毒されているプールで感染することはほとんどありません。日本臨床皮膚科医会・日本小児科皮膚科学会・日本皮膚科学会の統一見解(平成27年)でも、水イボがあっても「プール禁止」はしないように通達しています。タオルやビート板などを共用しなければ大丈夫です。ただ、実際にプールに入っていいかどうかは医師・学校の先生の指示に従うようにしましょう。
治療は?

水イボの治療方法としては、下記のようなものがあります。
- ピンセットなどでつまみ取る
- 液体窒素や硝酸銀などの薬品で処置をする
- 漢方薬の飲み薬を使う
- 塗り薬を使う
- 何もせずに経過観察する
最も確実で効果的な治療は、数が少ないうちにピンセットなどでつまみ取る方法です。
少し痛みはありますが、数が少なければ子供でも我慢できます。数が多くなると難しいです。取る時の痛みを和らげるために、取る前に局所麻酔薬の入ったテープや塗り薬を使用することもあります。数が多い場合には、一度では全部摘み取ることができないため、数回に分けて行います。
液体窒素や硝酸銀などの薬品で処置する方法は、摘み取る方法よりも確実性が劣ります。十分に処置をしたと思っても、ウイルスが残っていて再びイボができてくることがあります。
液体窒素での処置はヒリヒリとした痛みがあります。この方法も、数が多い場合には数回に分けて行いますが、近年ではその割合は低下しています。
漢方薬の効果ははっきりしていませんが、ヨクイニンを1か月程度投与して改善した報告もあります。また、水イボに対して用いられる塗り薬はありますが、あまり一般的ではありません。
水イボは、何もせずに経過をみていくだけでも治ります。ただし、治るまでに半年~2年程度(長いと3年程度)かかります。その間も感染が広がる あるいは 他の人に感染させるかもしれないことを考えると、数が少ないうちに確実に治療しておくことがおすすめです。
水イボ(伝染性軟属腫)の予防法は?
近くに水イボにかかっている子がいる場合には、直接触らないようにしましょう。それに加えて、普段から手洗いを心がけるようにしましょう。
プールの水から伝染することはほとんどありませんが、タオルやビート板などを共用することは控えましょう。プールから出た時にはしっかりとシャワーを浴びましょう。
また、アトピー性皮膚炎のある方が水イボになった場合、アトピー性皮膚炎のかゆみから掻いてしまうことでイボが広がってしまいます。また、アトピー性皮膚炎に対してステロイドを使用してもイボが増加してしまいます。
このようなことになるのを予防するために、ドライスキンやアトピー性皮膚炎のようなかゆみの出やすい状態を良くしておく必要があります。保湿剤などでしっかりとスキンケアをしておきましょう。
他の人へうつさないようにするには、イボのある部分を衣服などで覆っておくことも必要です。
まとめ
ここでは水イボ(伝染性軟属腫)についてまとめました。伝染性軟属腫は幼児~学童で多く見られる皮膚の感染症です。症状は発疹のみですが、いったん数が増えてしまうと治療するのが大変です。自然にも治りますが、どのくらいの期間で治るのか分かりません。プールの水から伝染すると思われがちですが、そのようなことはほとんどありません。水イボはよく見る病気ですが、ここで病気について・治療についてもう一度確認してみてください。