身体に突然現れる蕁麻疹…一生のうちに15~20%の人が一度は経験するといわれるほど比較的よく起こる病気です(公益社団法人日本皮膚科学会より)。蕁麻疹の原因といえば、まず思い浮かぶのはアレルギー反応かもしれませんが、その他様々な要因によって起こることもあります。今回は蕁麻疹が起こる仕組みについて説明します。

目次

蕁麻疹とは?

蕁麻疹は皮膚の一部が突然赤く盛り上がり、かゆみを伴う病気ですが、数時間もするとその症状は自然と消えてしまいます。チクチクした違和感、焼けるような感じを覚えたりすることもあります。

赤みやぶつぶつは数十分から数時間以内に消えるのが一般的ですが、中には半日から一日くらい続くものもあります。ぶつぶつの大きさは1~2ミリ程度のものから手足全体位の大きさのものまで様々あり、ぶつぶつがつながって身体のほとんどが覆われてしまうこともあります。

形も人によって異なり、円形、楕円形、線状、花びら状、地図状などといわれています。蕁麻疹は大きく4つのグループに分けられますが、1つのタイプだけが現れることも、複数のタイプが現れることもあります。このうち、原因不明の特発性蕁麻疹が、蕁麻疹の8〜9割を占めます。

蕁麻疹のタイプ 特徴
特発性の蕁麻疹 明らかな原因がなく自発的に症状が現れる
刺激誘発型
の蕁麻疹
特定の刺激(アレルギー等)によって症状が現れる
血管性浮腫 目や口などの皮膚や粘膜が腫れあがる
蕁麻疹関連疾患 蕁麻疹様血管炎、色素性蕁麻疹など

蕁麻疹が起こる仕組みとは?

蕁麻疹が起きる原因のほとんどは、真皮にあるマスト細胞の活性化によるものと考えられています。

蕁麻疹では、皮膚の血管の周りにある「マスト細胞」という細胞が、中に詰まっているヒスタミンと呼ばれる化学物質を放出し、かゆみを感じる神経を刺激することにより起こります。ヒスタミンは皮膚の血管を拡げ、血液の中の血しょうという水分を血管の外に染み出させるため、皮膚が赤く腫れたりむくんだりするのです。蕁麻疹では、このようにして盛り上がった皮膚が特徴的です。

蕁麻疹を起こす原因は?

えび-写真

このように、蕁麻疹は何らかの原因でマスト細胞が活性化することにより起こります。そして、マスト細胞が活性化する原因は、アレルギーが原因となって起こるものとそうでないものに分けることができます。

アレルギー性

アレルギーの原因になる物質(アレルゲン:花粉、ソバなど人によって異なる)が侵入して、異物として認識されるとIgE抗体が産生されます(感作)。感作されると、再びアレルゲンが侵入した時にマスト細胞上のIgE抗体と反応してマスト細胞が活性化され、ヒスタミンなどが放出されて身体に蕁麻疹の反応が起こります。

食物では、エビ、カニ、ソバ、果物といったものがアレルギー性の蕁麻疹を起こすことが多いようです。特定の食品を食べたときに必ず蕁麻疹が現れるのは、アレルギー性蕁麻疹の特徴のひとつです。

非アレルギー性

アレルギー性とは異なる仕組みでマスト細胞が活性化されて、蕁麻疹を起こします。

例えば、抗生物質や痛み止めなどの薬は、IgEにアレルギーの原因物質がくっつかなくてもマスト細胞を活性化させられることが知られています。食物では、青魚、肉類、ほうれん草、タケノコなどで起こる蕁麻疹は、食品の中にヒスタミンに似たような物質が含まれています。これが血管に直接働いて、症状を起こしているのです(中にはアレルギー性のものもあります)。同じ食品を摂取しても、体調や材料によって症状が出たり出なかったりすることがあります。

その他

蕁麻疹が起こる原因や誘因は様々あり個人によって異なります。体質と外的要因が組み合わさったときに症状が現れます。

食物 魚介類(サバ、さんま、マグロ、エビ、カニなど)
肉類(牛肉、豚肉、鶏肉など)
卵・乳製品(鶏卵、牛乳、チーズなど)
穀類・野菜(小麦、大豆、ソバなど)
食品添加物 人工色素(赤色、黄色など)
防腐剤(パラペンなど)
薬剤 解熱鎮痛薬
抗生物質
咳止め など
植物・昆虫 ゴム
イラクサ
蜂 など
感染症 寄生虫、細菌(ピロリ菌など)
真菌(カビ類)
ウィルス
物理的刺激 圧迫
日光
寒冷
温熱
振動 など
運動・発汗 内臓・全身性疾患
血液疾患
血清病
膠原病 など
疲労・ストレス 精神的なもの
身体的なもの

まとめ

蕁麻疹は皮膚の一部が盛り上がり、赤みやかゆみを伴うことがある発疹です。蕁麻疹が起こる仕組みは、皮膚の血管の周りにあるマスト細胞の活性化と考えられていて、原因や誘因は人によって異なりますが、食物や薬剤、感染症、ストレスなどがあげられています。