コンタクトレンズ技術の進歩によって、使い捨てレンズが普及しました。異物感が強かったハードコンタクトも、以前よりも酸素をよく通すようになったため、装用感が改善されました。しかし、コンタクトを装用するということは目に異物を入れているということに変わりはなありません。裸眼の状態よりも角膜の負担は大きいため、目薬の出番も必然的に多くなります。コンタクト用目薬は、数多くの製品が販売されています。「多すぎてどれを選んだらいいのかわからない」というのが本音かもしれませんね。そんな方必見の、コンタクト用目薬の選び方をご紹介します。
市販目薬の種類を知ろう!
ドラッグストアなどに行くと、目薬コーナーにはたくさんの種類の目薬が並んでいます。一見どれも同じように見えますが、目薬は「目のかゆみ」「目の充血」「目の疲れ」「目の乾き」「コンタクトの不快感」など、用途別に分けられ、それぞれの症状に効果的な成分が含まれています。たとえば、目のかゆみや充血用の目薬には抗菌剤、疲れ目用に目薬にはビタミン剤が含まれています。
症状に合った目薬を使用しないと、余計に目への負担が大きくなってしまったり、ほかのトラブルを引き起こしてしまったりする場合があります。まず、自分の症状にはどの目薬が最適かをしっかりと見極めてください。
コンタクト用目薬の選び方、3つのポイント

コンタクト装用しながら目薬を使用する場合、次のようなポイントをチェックしましょう。
1.コンタクト装用時に使えるかどうか
必ず、その目薬がコンタクト装用時にも使えるものかどうかをチェックしましょう。市販されている目薬の外箱には、ほとんどのものに「コンタクトレンズにも使えます」「コンタクトレンズ装用時は使用しないでください」などというように注意書きがしてあります。
目薬によっては、コンタクトへ与える影響が大きいために使用不可としています。当然ながら、「コンタクトレンズにも使用できます」と書いてある製品を選ぶようにしてください。また、レンズ素材などによっても使用の可否が異なる場合があるので、説明をしっかり読むと良いでしょう。
2.防腐剤フリーのものを選ぶ
ソフトコンタクトレンズは水分を吸い込む性質を持っています。そのため、目薬に含まれる成分もため込んでしまいます。そして、多くの目薬には、殺菌や品質保持のための防腐剤が含まれています。
防腐剤の中でもよく用いられるものに、塩化ベンザルコニウムというものがあります。コンタクトレンズがこの防腐剤を吸い込んでしまった場合は角膜への影響が大きく、角膜上皮障害を引き起こす可能性があることがわかっています。
「コンタクトに使用できる」と書かれてある目薬は防腐剤が含まれていないか、目への影響や毒性の少ない防腐剤を使っています。目薬を購入するときには、防腐剤の有無についてもチェックするようにしましょう。
3.充血に効く!は要注意
コンタクトを使用していると、傷や炎症によって充血を引き起こす場合があります。充血があると充血用の目薬を購入すると思いますが、実は充血用の目薬には血管収縮剤が含まれている場合が多いのでこれには注意が必要です。
角膜は再生力が強いため、軽い傷ならば様子を見ていれば治ることも少なくありません。軽い結膜炎なども同様です。しかし充血は、傷や炎症だけではなくドライアイ(乾き目)でも起こります。特に、コンタクト装用時は裸眼の状態よりも目は乾きやすくなります。
コンタクトによるドライアイが原因で起こる充血の場合は、例え目薬で改善したとしても、コンタクトを使用している限りまた起こる可能性が高いです。血管収縮剤は白目(結膜)の血管を収縮させるため、角膜への酸素供給量が減ったり、涙の分泌が抑制されたりして、ドライアイ症状が余計にひどくなる恐れがあります。また、繰り返し使用していると点眼をやめた時にリバウンドして、かえって充血がひどくなってしまうこともあるのです。血管収縮剤入りの目薬は、コンタクト使用の有無に関わらず使用しない方がよいでしょう。
コンタクトにおすすめの目薬

コンタクト装用時に使用する目薬でおすすめなのは人工涙液型の目薬です。涙に近い性質を持った目薬なので角膜への負担も少なく、コンタクトに対する影響も少ないとされています。また、一回使いきりタイプの目薬もコンタクト装用時にはおすすめです。
ただ、注意したいのは、これらの目薬の効果は一時的だということです。点眼後、ドライアイなどの症状は改善しますが、やがてまた乾きの症状が現れるでしょう。症状が強い時は点眼の回数を増やすことで対応していきますが、あまりにも極端に点眼し過ぎると、大切な涙までも洗い流してしまうことになりかねません。市販の目薬を使ってもなかなか症状が改善しない場合には、必ず眼科医に相談してください。
まとめ
コンタクト装用時に目薬を上手に使用することで、不快感などの症状はある程度改善されるでしょう。しかしあまりにも症状がひどい場合や目薬を使用しても症状が良くならない場合は、必ず眼科医による診察を受けてください。時には、レンズの種類を変えることも症状改善に効果的でしょう。