2014年に行われた厚生労働省の研究班の調査によると、アルコール依存症で治療が必要な状態の人が全国に約109万人いるそうです。これは5年前の60万人という数字を大きく上回る数字です。この数字は、さらなる高齢化や女性の社会進出が進むことで、より大きくなると考えられています。

アルコール依存症は大きな社会問題になりつつあるためか、アルコールを飲みすぎるとアルコール中毒になる恐れがあることをご存知の方は多いと思います。しかし、自分がアルコール依存症になり得ると思っている方はどれくらいいるでしょうか。今回は誰にでも起こりうるアルコール依存症の症状を紹介し、アルコール依存とはどういうものか知っていただければと思います。

目次

アルコール依存症は誰にでも起こりうる!?

お酒を飲む理由は人それぞれで、その理由にはストレス発散や嗜好、付き合いなどがあります。

この中で、ストレスというものはアルコール依存症の重要な原因の1つであることが知られています。ストレスを発散するためにアルコールを飲み、それを繰り返していると、お酒を飲まないと気分が晴れなくなり、いつの間にかお酒に頼ってしまっています。また、遺伝的にアルコール依存症になりやすい人もいます。そのような人がお酒を飲み過ぎると、アルコール依存症になるリスクが高くなります。

このように、アルコール依存症の原因はストレスなどの環境要因と遺伝的要因に大別されます。この要因どちらかだけでも、アルコール依存症になることがありますので、お酒が強い人であってもお酒を飲み過ぎてしまえば、誰でもアルコール依存症になる可能性があります。

女性のアルコール依存症患者が増えている

近年増えてきているのが、女性のアルコール依存症患者です。女性は男性よりも少ない飲酒量や短い飲酒期間でも、アルコール依存症になりやすいです。男性がアルコール依存症になるまでには飲酒が習慣化してから10~20年程度かかるといわれていますが、女性の場合は6~9年で依存症を引き起こすといわれているのです。

加えて女性の場合、うつ病やパニック障害、摂食障害といった精神疾患を合併することが多いといいます。

アルコール依存状態で起こる症状

次にアルコール依存の状態になると起こる症状を紹介します。お酒を飲み過ぎている人は該当する症状がないか確かめてください。

アルコール依存症とは、お酒の飲み方を自分でコントロールできなくなった状態のことをいいます。「時間を問わず、飲みたくなったら飲みたいだけ飲む」というのがアルコール依存症です。

このため、仕事や家庭などに支障が出ることは言うまでもありません。さらに、アルコール依存症で飲酒を続けているとどんどんお酒の量は増え、悪循環に陥ります。また、アルコール依存症の患者は手の震えや幻覚などの離脱症状も見られるので、この離脱症状を防ぐためお酒をやめることが出来なくなります。

アルコール依存症の人が身近にいたら

アルコール依存症の人は自分が依存症であると自覚する人は少ないため、周りが気付くことが非常に重要になります。そこで特に重要なポイントとなるのが、次の2つです。

アルコールの量や飲む速さが増えた

先述の通りお酒の量は依存症が重症になればなるほど増えます。よって、量や速さの変化が見られたら注意が必要です。

お酒を飲んでいないとき離脱症状が見られる

この状態は非常に重症ですので、早めに相談することが必要です。

アルコール依存症の患者さんに対して、お酒を取り上げたり、隠したりすることは逆効果になる可能性があります。心配な症状がみられたら、アルコール依存症を専門にしている施設を受診するか、保健所、精神保健福祉センターなどに相談することをおすすめします。

まとめ

アルコール依存症の人を依存からの離脱に向かわせるには、禁酒を強制してはいけません。身の周りの人の異常に気づいたら、焦らずにまず医師に相談するのが肝要です。