コレステロールには善玉コレステロール(以下HDL-C)と悪玉コレステロール(以下LDL-C)があり、HDL-Cは体内のコレステロールを減らしてくれますが、一方でLDL-Cは増えすぎると血管内に滞留し動脈硬化の原因となってしまいます。この二つのコレステロールは検査値からの比率も大切ですが、悪玉コレステロールは140mg/dL以上の検査結果が出ると「高い」と診断されます。
血液検査で高LDL-C血症と診断されたら?
基準値について
LDL-C値は毎日変動しているため、正常範囲内(140mg/dL)であれば少し高めでも気にする必要はありません。
しかしこの数値を超えてしまった場合は、高LDL血症と診断されることがあり、生活習慣などを見直し、治療をしていく必要があります。
原因は?
高LDL血症の原因は食事がほとんどだと思われていますが、実は食事からのコレステロールの摂取が原因で高LDL血症になる方はそう多くないと言われています。
2015年版の「日本人の食事摂取基準」においても、食事との因果関係が認められないことからコレステロールの摂取基準値の設定は取り外されました。これは食事からのコレステロール量よりも肝臓から作られるコレステロールの方が多いためです。
健康な人であれば体内で作られるコレステロールの量を調整できるので、食事からのコレステロールの摂取量はほとんど気にする必要はありません。
コレステロールの量の調整は主に肝臓で行われているため、肝機能が正常に働いているかどうかということが高LDL-C血症を考える上で重要になってきます。
しかし、何らかの基礎疾患があり健康な体を維持できていない場合や遺伝、過度のコレステロール摂取など様々な原因が絡み合い、体内でのコレステロールの調整が上手くいかなくなると高LDL-C血症を発症してしまうのです。
食生活について

高LDL-C血症には家族性高コレステロール血症といって遺伝が関係するものがあり、500人に1人の割合で存在します。
このタイプの人は血液中のLDL-Cを取り込む働きをする受容体が生まれつき少ないため血中のコレステロール値が高くなってしまいます。
しかし、脂質異常症が生活習慣病といわれているように、不規則な食習慣や生活によって引き起こされてしまうことも原因の一つであり、遺伝的な要素がない人でも高LDL-C血症になってしまう場合があります。
その時は次のようなポイントに気を付けて食事を見直してみましょう。
1.適正なエネルギー量を
身体が必要とするエネルギーよりも多くとらないことが大切です。
エネルギー量を見直して肥満を解消しましょう。
1日に必要なエネルギー量の目安は 標準体重{身長(m)×身長(m)×22}×25~30(kcal) です。
150cmの人であれば1.5×1.5×22×25~30の式で1240~1485kcalとなります。
2.肉類のおかずよりも魚介類や大豆製品のおかずを
LDL-Cを減らし、HDL-Cを増やすためには主菜の材料として肉類より魚介類や大豆製品の割合を多めにするとよいでしょう。
3.コレステロールを多く含む食品に注意
厚生労働省が発行する「日本人の食事摂取基準2015年版」では、コレステロール摂取量の制限は特に定められていません。ただし、これは「コレステロールをいくら摂っても平気」という意味ではない、ということに注意してください。コレステロールの摂取量がコレステロール値に与える影響には個人差がとても大きく、「どのくらいまでなら大丈夫」という基準を示すことが難しいためです。
健康な方であれば、食事においてコレステロールの制限を行う必要はありません。しかし、コレステロール値の高い方の場合は、摂り過ぎには十分に気をつけてください。特にLDL-Cが高い場合は、内臓類や卵に注意が必要です。
4.油を使った料理は1日2品まで
脂肪は種類に関係なくエネルギーが高いので、肥満予防のためにも油を使った料理は控えめにしましょう。
5.食物繊維は毎食しっかりと
野菜や果物、豆、きのこ、海藻類に多く含まれている食物繊維はコレステロールを減らす役割をします。
毎回の食事にたっぷりととり入れましょう。
まとめ
脂質異常症は遺伝や体質、生活習慣、運動不足など様々な要素が背景にあり、原因を特定することは難しいかもしれません。
検査の結果悪玉コレステロール(LDL-C)が高いといわれたら、慌てずに冷静に。正すべき生活習慣に気付けたら、是非上記の食生活のポイントを実践してほしいと思います。
自分の生活に問題はないかどうか、もう一度見直してみましょう。