自分の子が弱視と診断されたら、親としてはとても心配になるでしょう。弱視は「視力が弱い」と書くために、「見えない」「治らない」と勘違いしている人も多く、弱視の誤った知識を持っている人も少なくありません。弱視は早期発見・早期治療が行えれば治る可能性も十分にあります。弱視と診断された時に知っておきたいポイントをお伝えします。

弱視とは何かを知りたい方は、「弱視の見え方や、外から見た症状は?原因は遺伝ではないって本当?」を合わせてご覧ください。

目次

弱視は治る?

弱視の誤った認識として多いのが、「弱視は治らない」という思い込みです。

確かに弱視の治療開始が視力の成長が止まってしまった後だった場合、治療の効果があまり期待できないこともあります。その印象が強いのか、治療しても治らないと思われがちです。

しかし逆に言うと、治療を開始した年齢が早ければ早いほど治る確率も高くなるということなのです。

治療でどのくらいまで視力が発達するかどうかは、実際に治療を行ってみないとわかりません。弱視だった期間が長い・弱視の程度などによって治療効果も変わってきます。

例え1.5まで視力が出なかったとしても、治療を行ったことで1.0ぐらいまでは視力が上がるかもしれません。また逆に、0.7ぐらいまでしか出ないかもしれません。ただ言えることは、治療を行わないよりも行った方が視力が上がる可能性があるということです。

車の免許を取るためには、両目で0.7の視力が必要です。裸眼視力が悪くても、眼鏡やコンタクトレンズで矯正して0.7以上あれば良いのです。弱視だから視力がもう出ないと諦めるのではなく、子供のために少しでも視力が成長する方法を選択しましょう。

弱視の治療法

弱視の種類は屈折性弱視・斜視弱視・不同視弱視・形態覚遮断弱視など原因によってさまざまです。遠視や乱視などの屈折異常がある場合は、まずは眼鏡をかけて網膜にぴったりピントを合わせることが大切です。

まずは見えるように目の環境を整えてあげることが弱視治療の第一歩といえるのです。屈折異常がある場合は眼鏡を、斜視弱視の場合はさらに斜視手術も治療の一つとなります。

もう一つの治療法としては、視力の良い方の目をわざと隠してあえて悪い方の目でものを見るという遮閉訓練があります。視力の悪い弱視になっている目でものを見ることで、視力の成長を促すという方法です。

子供は飽きやすく集中力が保てる時間もまだまだ短いので、子供が楽しんでできるような工夫なども治療の重要なポイントとなります。

親のサポートも重要

小さな子供に弱視について説明し、理解を得ようとするのはとても難しいものです。

弱視治療の基本として眼鏡をはずさないということがありますが、子供にとって眼鏡はわずらわしいものです。

また良い方の目を隠す遮閉訓練も、子供からすると良く見える目を隠されます。見えにくい方で見なければならないため、嫌がったり集中力が続かなかったりなどということが考えられます。

そういう時は、アイパッチ(遮閉具)に子供の好きなキャラクターの絵を描くなど親のサポートがとても重要になります。まだまだ小さい子供なので、こういった親のサポートが弱視の治療には欠かせないものとなるのです。

家庭で気をつけたいこと

屈折異常がある場合、眼鏡をかけることで網膜にピントを合わせることができます。つまり、眼鏡をとってしまうと網膜上からピントが外れてしまうということになるのです。お風呂や就寝時以外はなるべく眼鏡をかけっぱなしにして、遠くが良く見える状態にしてあげておくことが必要です。

またアイパッチなどで遮閉訓練を行う場合は子供にとって見えにくく、目を隠されることがストレスになってしまう場合もあります。

弱視の治療は継続して行うもので、治療後すぐに効果が現れるというわけでもありません。子供が無理なく楽しく訓練できるということが大切で、そういった環境を作り上げていくのは親の役目となります。

「小さい子供に眼鏡をかけさせるのがかわいそう」と家では眼鏡をはずしたり、治療を途中でやめてしまったりする人もいます。ただ弱視について理解していれば、治療の必要性や継続することの大切さはわかると思います。

今はかわいそうに思えるかもしれませんが、数年先・十年先と考えると、見えない方がもっとかわいそうです。目先のことだけではなく、先のこともしっかりと考えて理解できるよう、弱視の知識を学んでおきましょう。

まとめ

まさか弱視になっているとは…というのが親の本音だと思います。3歳児健診を受けたけれど、「まだ3歳で視力検査ができるわけがない」「理解していないだけかと思った」という声があります。

そのため3歳児健診で引っかからず、小学校入学前に就学時健診で初めて弱視と診断されたという人も残念ながら少なくないのです。弱視の治療効果は8歳頃までと言われていますが、年齢により、効果は低下します。3歳児健診で弱視に気付き治療を開始できていたら、就学時健診頃には弱視が治ってしまったということも十分ありえるのです。

気持ちを伝えきれない子供だからこそ、親がより注意してあげることが大切だと覚えておきましょう。