はじめに
関節リウマチは、日本では患者数が70~100万と多いかなりポピュラーな病気であるのにも関わらず、あまり実態が理解されていない誤解の多い病気であります。関節リウマチは30~50代の社会的にも家庭的にも重要な役割を担った方に多く発症し、20代で発症することも稀ではありません。
今の関節リウマチ治療には、メトトレキサートや生物学的製剤など素晴らしい効果を上げる薬が存在し、早期診断・早期治療によって「寛解(かんかい);治ったように症状が治まる」を維持する治療が現実のものとなっております。
しかし、インターネットをはじめ現在は様々な情報で溢れかえり、かえって戸惑ってしまうかもしれません。関節リウマチという病気を正しく理解して、様々な情報に振り回されず、落ち着いて対処するための一助になれたら幸いです。
関節リウマチは、病気が進んでしまう前の初期に発見し、速やかに治療を始めることが、良い経過へと導く重要なポイントです。関節リウマチでは、関節がこわばる・腫れる・痛むだけでなく、進んでしまうと関節が壊され、変形してしまいます。また、関節だけでなく様々な臓器にも合併症を引き起こす可能性があります。
関節リウマチの症状
関節リウマチの特徴的な症状は、両手・両手指のこわばり、左右対称性の関節痛、関節の痛み、関節の腫れでありますが、初期には微熱が続く、食欲がない、体重が減った、貧血気味、なんとなく気分が優れないなど多彩な症状がみられます。
このような症状があった場合、どこにかかれば良いか判断に迷ってしまうと思います。関節リウマチには、「この検査で陽性であったら間違いない」と言えるような、診断の決め手になるものがありません。例えば、RF(Rheumatoid Factor;リウマチ因子)が陽性であったからと言って、関節リウマチと断定することはできません。また、関節が痛む病気はほかにも数多くあり、関節リウマチの初期症状は多彩であり、見落とされてしまうこともあります。
ですから、このような症状があった場合、まず関節リウマチでないかとご自身で疑い、リウマチ専門医を早めに受診されるのが大切です。
リウマチ専門医を探すには?
「リウマチ専門医」は、なかなか聞き慣れない存在かと思います。いざリウマチ専門医にかかろうと思っても、近くの専門医の探し方が分からない方もいらっしゃることでしょう。そういった方々は、下記のサイトで専門医を検索してみてください。
関節リウマチではどんな痛みがみられるのか
関節リウマチは「関節の痛み」の病気ですが、痛風のように短時間のうちに激痛が現れるものではありません。また、初期では常に症状が持続するわけではなく、良くなったり悪くなったりしながら、じわじわと進んでいきます。
初期では、じっとしているときにはほとんど痛みません。腫れている部分を押すと痛んだり(圧痛)、雑巾を絞る・蛇口を捻るなど動かした時に痛み(運動痛)を感じます。その後、症状が進むとじっとしていても痛む(自発痛)ようになってしまいます。
関節の症状が出やすい部分
リウマチチェッカー(ひとつでもあれば受診してください)
転んだ、ぶつけたなどの明らかな原因がはっきりしない関節痛( 関節の痛み・腫れ・違和感)が続く時は、早めに受診してください。
- 手のこわばりが気になる
- どことなく気分が優れない
- 体がだるい
- 微熱が続く
- 食欲がない
- 体重の減少
- 貧血気味
- 朝食を作るとき動作に違和感を感じる
- 歯ブラシが使いにくい
- お箸が上手に使えない
- ドアノブが回しにくい
- 家のカギが開けにくい
- 靴ひもが結びにくい
- ハサミが使いづらい
- ホチキスが使いづらい
- パソコン入力がしづらい
- ペットボトルを開けづらい
- 電車のつり革を持つ手に違和感がある
- パジャマのボタンが外しにくい
- TVのリモコンが押しにくい
一つでも項目が当てはまれば、早期リウマチかもしれませんので早めの受診をおすすめします。
最後に
患者数の多さにも関わらず、その実態はほとんど理解されていない関節リウマチ。できるだけ早く発見し、治療を始めることが必要です。そのためにも、少しでも「関節リウマチかもしれない」と思われる症状があった場合、速やかにリウマチ専門医を受診してください。