一般的に、熱が出て節々(ふしぶし)が痛い場合には、風邪やインフルエンザなどの感染症を疑います。しかし、ダラダラと続く微熱と関節痛が出現した時には、別の病気が隠れているかもしれません。微熱の上に関節痛が起きる原因と、それは病院に行ったほうが良いのか説明します。
微熱が続き、関節痛が起きる病気って?
風邪のようで、風邪ではなく、体が何となく重だるいような感じが続く…心配になったので、病院に行ってはみたものの「もう少し様子をみましょう」と言われる場合があります。
その時には診断されなくても、こういう症状を訴える患者さんの中に膠原病(こうげんびょう)を発症している方がいます。
膠原病(こうげんびょう)とは、病気の名前ではなく様々な疾患をまとめた総称です。
関節リウマチ・全身性エリテマトーデス・強皮症・皮膚筋炎・血管炎・リウマチ性多発筋痛症などあり、内臓器の障害・皮膚症状・全身症状が出ます。
膠原病(こうげんびょう)患者さん共通の訴えは、発熱・関節痛・筋肉痛・倦怠感・易疲労性(疲れやすい)・皮膚症状・体重減少ですが、これだけで診断を行うことは難しく、検査等を行ったのちに専門外来で確定診断されるという場合が多くなります。
代表的な膠原病とは?
関節リウマチ
関節リウマチは、免疫の異常により関節の腫れや痛みを起こし、そののち変形をきたす病気です。30~50代の女性に好発し、男性と比べた時に約3倍という高率を示します。
関節リウマチでは、最初は手足の指の関節に左右対称に痛みや腫れ、こわばりなどの症状が出ます。
その後の経過には、いくつかのパターンがあります。約30%の方は1~2年で治ったような状態(寛解)になり、逆に約5~10%の方は症状が出始めてから短期間で強い炎症や症状が起こって関節の変形が進みます。それ以外の約60%の方では、症状が悪くなったり良くなったりすることを繰り返しながら、次第に関節の変形が進むといわれています。
全身性エリテマトーデス
全身エリテマトーデスは、自己免疫を原因とする慢性、多臓器性、炎症性の疾患です。思春期から青年期の若い世代に多く、女性は男性より10倍多く発症します。
よくみられる症状には、関節痛および関節炎、頬部などの発疹、胸膜炎または心膜炎、腎障害または中枢神経系障害、ならびに血液学的な血球減少などがあります。
強皮症
強皮症とは進行性全身性硬化症といい、皮膚の硬化および他の臓器を線維化(硬く)してしまう病気です。
日本の統計では20~50代の若い世代で圧倒的に女性に多く発症し、1:10程の比率ですが、欧米では1:2~4とされています。その違いは、人種の差によるものと考えられています。
強皮症の特徴には、以下のようなものがあります。
- レイノー現象(指先が冷たくなり色が変わる)
※レイノー現象とは、発作性の血管攣縮(けっかんれんしゅく)が起き、指先の血流が途絶えて、蒼白から更に薄紫色に変わった後、血流が戻り指先が充血する一連の過程(皮膚色の変化)をいいます。
- 指先から皮膚が硬くなりテカテカと光り、徐々に全身の皮膚に及び、顔は表情が乏しくなる。
- 関節痛や関節炎の他、肺線維症、消化器疾患、心疾患などの発病も起きる。
膠原病以外で、考えられる病気とは?
化膿性関節炎
何らかの感染経路により、ブドウ球菌やレンサ球菌等が関節内に侵入し、炎症を起こしたものをいいます。
化膿性関節炎の特徴は以下のようなものがあります。
- 激しい関節の痛み
- 局所の熱感と腫れ
- 関節内に膿(うみ)が溜まる
化膿性関節炎は、早急に治療を開始しないと、関節の変形や骨などの関節周囲組織にまで及ぶため、強力な薬剤を使い、局所(症状のある部位)の安静を保ちます。
痛風
痛風の特徴は、
- 中年以降の男性に好発する傾向がある
- 夜間もしくは早朝に突然発症する
- 60~70%の確率で足の親指の付け根の関節に起きる
- 関節に発赤、腫れ、熱感が明らかに出る
などが挙げられます。
痛風では、発作を5~10回以上繰り返すうちに、痛風結節(つうふうけっせつ)というコブのようなものが発作の起きた場所にできます。
痛風発作を起こさないためにできることとしては、肥満を解消する、適度な運動を行う、水分を多く摂取する、アルコールを控えるなどがあります。
痛風は、経験したことがある人でなければ分からない程の痛みに襲われます。日常生活を送る上で少し気を付けるだけで発作を起こす頻度が減りますので、今日から行えることをやってみましょう。
まとめ
今回、微熱が続き関節痛がある病気について主なものを紹介しました。ここに挙げたもの以外の病気が原因となる場合もありますが、どの疾患も、症状が長期間続いている場合には治療する必要があります。
関節は、痛みを感じやすい部分でもあります。おかしいなと思ったらお近くの内科、もしくは整形外科へ行ってください。