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は生命に関わる疾患ではありませんが、放置しておくと悪化してしまう可能性があります。また、排便時に常に苦痛を感じるなど、QOL(生活の質)も著しく低下してしまいます。ここでは、進行してしまった痔に対する手術療法について、医師・草間 香先生による監修記事で見てみましょう。

「痔核」の手術

痔核は、一般的に「いぼ痔」とも呼ばれ、最も多く見られる痔として知られています。主な症状は出血のみで、痛みが伴うのは稀です。最初は肛門の内側に収まっていた痔核(肛門を閉じるクッッションの役割を持つ組織がこぶ状に膨らんだもの)が、悪化するに従って肛門の外に飛び出し、やがて指で押しても戻らなくなります。こうなると手術を検討する必要があります。痔核の手術には主に次の2つがあります。

結紮(けっさつ)切除術

あらかじめ痔核に侵入している動脈を縛り、出血を防いだ上で痔核を切除する方法です。傷口が治りやすいといわれています。

手術を受けてからしばらくは、排便の際に痛みが生じます。また、以前は手術後は7~10日程度の入院が必要でしたが、最近では日帰り手術も行われています。

PPH法

PPH法は、特殊な機器を用いて痔核を吊り上げ、同時に痔核に流れ込む血流を遮断する方法です。手術後の痛みが少ないのが特徴です。

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「裂肛」の手術

裂肛は「切れ痔」のことです。肛門の出口付近が切れる痔で、排便時に痛みを伴うのが特徴です。裂肛によって肛門が傷つき、やがて治るというプロセスを何度も繰り返していると、次第に肛門が狭くなっていき、排便が困難になることがあります。こうした場合は手術を検討します。

スライディング・スキン・グラフト法という手術では、裂肛で傷ついた部分を切除した後、正常な肛門の皮膚をスライドさせます。これによって肛門の狭さを解消し、柔軟性のある肛門の状態に戻すことができます。

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「痔瘻」の手術

痔瘻(じろう)は「あな痔」とも呼ばれています。腸と肛門の境目には5~8個程度の小さな穴が開いている部分があります。体の抵抗力が弱くなっているときに、この穴に便中の細菌が入ると感染が生じ、膿がたまります。膿を排出するために、感染が起きている場所から肛門近くの皮膚まで膿のトンネルがつくられます。

トンネルを放置しておくと枝分かれし、稀にがん化することがあります。有効な治療方法は外科手術のみで、手術方法には切開して管を取り除く方法と、ろう管に輪ゴムを通して3~12か月程度かけて少しずつ管を締めていく方法があります。

痔瘻の手術は高度な技術を必要とするため、専門病院を受診することをおすすめします。

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まとめ

痔の治療のために、必ず手術が必要になるわけではありません。軽度の痔であれば、生活習慣の改善と薬を用いた保存療法によって改善することもあります。また、重症化してしまった場合でも、「できれば手術は避けたい」と考える人もいるでしょう。一方、手術には、苦痛からの解放、悪化の防止といった利点があります。また、痔瘻のように、放置していると深刻な事態を引き起こすものもあります。どのタイミングで手術を行うかについては、担当の医師とよく相談して決めることが大切です。