何度も繰り返しできる。恥ずかしくてなかなか人には相談できないかもしれませんが、最近、内痔核(俗にいう「いぼ痔」)に対して効果の高い「ALTA治療法」という方法が注目を集めています。

手術とは異なり、注射によって痔核を小さくし、痔の症状の改善をはかるALTA治療法。ここでは、この治療法について解説します。なかなか治らない痔でお悩みの方は、ぜひご一読ください。

目次

ALTA療法が有効な「内痔核」ってどんな痔?

一般的に、痔には「痔核(いぼ痔)」「裂肛(切れ痔)」「痔ろう(あな痔)」の3種類があります。中でも、男女を問わず最も多く見られるのが痔核、特に歯状線(肛門上皮と直腸粘膜の境界部)を挟んで肛門の内側にいぼ状の腫れができる内痔核です。痛みはそれほど強くないものの出血は多く、排便時には便器が真っ赤になる程の出血を伴うこともあります。

進行すると、排便の際にいぼが肛門の外に出てきたり、炎症が起こって痛みを感じたりすることもあります。痛くないからとそのまま放っておくと、内痔核はどんどん大きくなって排便時に飛び出るようになり、指で押し込んでも元に戻らない状態(脱肛)になってしまいます。

ALTA療法ってどんな治療法?

この内痔核に有効な治療法が、ALTA療法です。

ALTA療法では、硫酸アルミニウムカリウム水和物タンニン酸(ALTAという2種類の薬剤を患部に注射します。

  • 硫酸アルミニウムカリウム水和物:出血症状・肛門脱を改善
  • タンニン酸:硫酸アルミニウムカリウム水和物の作用を調節

ALTA療法では、1つの痔核(いぼ)に対して4回に分けて注射を行います(四段階注射法)。複数の痔核がある時は、それぞれに対して4回ずつ注射します。注射の後は、薬液が患部にしっかり行き渡るようにマッサージをします。注射をして1週間から1ヶ月程経つと、出血が止まり、脱肛の症状も軽減するのです。

 

この治療法は、4回の注射でおよそ15という短時間で終了します。入院を伴わず、外来にて局所麻酔で行う場合もあれば、3~4日ほど入院して腰椎麻酔で行うこともあります。

注射というと痛そうだと思う方もいることと思いますが、ALTA療法で注射をするのは痛みを感じない箇所であり、術後も痛みを感じることはほとんどありません。従来の治療と比べ、大幅に苦痛を軽減できると考えられています。

 

ALTA療法は、かなり進んだ痔核に対しても効果がる、画期的な治療法です(肛門ポリープを伴うものや外痔核に対しての効果は認められていません)。ただし、治療を行うには高度な技術と専門知識が欠かせないため、一部の専門医しか行っていないのが現状です。受診の前に、医院のサイトなどで確認しておくと良いでしょう。

また、薬剤の特性上、妊娠・授乳中の方や、透析治療を受けている方はALTA療法が受けられないので注意してください。

ALTA療法を受けた後の注意点

首を傾げる女性-写真

効果の高いALTA療法ですが、以下のような副作用が起こる可能性があります。治療後、気になる症状が現れた場合は、すぐに医師に相談してください。

  • 発熱(治療後10~14日以内)
  • 頭痛
  • 吐き気・食欲不振など気分不快

この他、肛門部が重いような感じがしたり、注射を受けた箇所が固くなったりすることがありますが、これらの症状は通常短期間で治ります。

また、ALTA療法を受けた後に他の医療機関で直腸・肛門の診察を受けた場合は、「以前にALTA療法を受けた」ということを必ず医師に伝えてください。注射した箇所が硬くなるため、がんと誤診される可能性があるのです。

最後に

ALTA療法は、従来の痔核を切除する手術と比べると苦痛が小さく、画期的な治療法です。入院も短期間で済むため、現在はこの治療を受ける患者さんが増えています。

しかし、ALTA療法はすべての医師が行える治療法ではなく、またこの治療が向かない患者さんもいます。医師と相談し、自分にあった治療を受けて痔の治療に取り組んでください。