テレビを見ていると、痔のCMをご覧になることがあると思います。
CMに出ているのは、お父さん世代だったり、女性だったり、高校生だったり…実に様々な世代です。その出演者が示す通り、痔は赤ちゃんからお年寄りまで、老若男女問わずすべての世代に見られるものです。
本記事では、痔の治療に用いられる薬について解説します。
痔の種類
痔には、大きく分けて痔核(いぼ痔:場所により内痔核と外痔核とに分けられる)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)の3種類があります。痔瘻の治療には病院の受診が必須ですが、痔核や裂肛については、軽い症状であればセルフケアで対応することができます。
痔の種類やそれぞれの症状・特徴については、詳しくは「開放されたいおしりトラブル!痔の基本」をご覧ください。
痔の外用薬にはどんなものがある?

痔の薬と聞いて、真っ先に思い浮かぶものは外用薬でしょう。痛みや炎症を抑える成分や、殺菌作用のある成分が含まれています。
症状に合わせて、軟膏・坐剤・注入軟膏といった種類を使い分けることができます。
ここからは、市販の外用薬をいくつかご紹介します。それぞれの薬を実際に購入・使用する際は、医師や薬剤師によく相談し、用法・用量をよく確認してから用いるようにしてください。また、使用に際しては必ず「添付文書(薬の説明書)」を参照してください。
プリザシリーズ(大正製薬)
外用薬にはプリザエースシリーズ(坐剤T、軟膏、注入軟膏T)、プリザSシリーズ(坐剤、軟膏)、プリザクールジェルの3種類があります。プリザS軟膏およびプリザクールジェルは、15歳未満でも使用可能です。
プリザエースシリーズ・プリザSシリーズには、炎症をおさえるヒドロコルチゾン酢酸エステル(ステロイド成分)をはじめとした有効成分が含まれています。プリザクールジェルにはステロイド成分は配合されていません。
ボラギノールシリーズ(天藤製薬株式会社)
外用薬にはボラギノールA(注入軟膏、坐剤、軟膏)、ボラギノールM(坐剤、軟膏)の2種類があります。どちらも、15歳以上の方が使用できる薬です。
ボラギノールAは炎症をおさえるステロイド成分や、血行をよくするビタミンE酢酸エステル、痛み止めのリドカイン、傷の治りを助けるアラントインが配合されています。
ボラギノールMには、ステロイド成分が含まれていません。上記のビタミンE酢酸エステル、リドカイン、アラントインに加え、炎症をやわらげるグリチルレチン酸という成分が入っています。
痔は飲み薬でも改善できる
鎮痛効果や止血作用、炎症を抑える作用のある成分を配合しています。生薬を配合したものは、便通改善の効果もあります。
市販薬で代表的なものを紹介します。
- 内服ボラギノールEP:15歳以上の方が服用できます。牡丹皮や紫根などの生薬を配合しており、直腸肛門部の血の巡りの改善や、痔による症状を緩和する効果を持ちます。
- プリザ漢方内服薬:基本的に1歳以上から使用できる薬です。乙字湯という漢方が配合されています。痔の原因の一つである便秘を改善しつつ、痔の症状を緩和します。
痔の薬を使用する際のポイントは?

症状を早く改善させるために、薬は正しく使用する方法があります。ここからは、3種類のタイプの薬の正しい使用法を解説します。
軟膏
- 塗る前に、手をしっかりと洗ってください。
- 軟膏を指に直接押し出します。このときの量は、薬のパッケージなどに書かれているものに従ってください。
- 患部に直接塗ります。
坐剤
- 挿入時は、しやすい体勢(中腰や横になったりどんな体勢でも)でゆっくり挿入しましょう。
- 挿入は坐剤の先端(丸い方)を肛門につけて入れ込みます。
- 挿入後は、坐剤を持った指の第一関節くらいまでしっかりと押し入れてください
(坐薬がすっと入り込んでいくところまで挿入すると、戻って出てくることを防げます)。 - 挿入後は、軽く肛門を締めてください。
注入軟膏
肛門の外側に塗る場合は、軟膏と同じように使用してください(一度使用したものは、中身が残っていても注入での使用は控えましょう)。ここでは、肛門の内側に注入する方法を解説します。
- 薬のキャップを外します。
- すべりをよくするため、軟膏を少し出してください。
- 容器の先端をゆっくりそっと、肛門に挿入します。
※このとき、ノズルの付け根までしっかりと入れます。 - 軟膏を容器からゆっくり全て押し出します。
- そのままの状態(押し出した状態)で引き抜いてください。
市販薬を使用してもよくならない場合は病院へ!
痔の症状がひどい場合には、市販薬を使用してもなかなか改善されない場合があります。市販薬を10日程度使用しても症状が改善されない場合は、医療機関を受診してください。痔の治療は、肛門外科や消化器外科で行います。
まとめ
痔の薬は、様々な種類が市販されています。自分の症状にあった薬を選び、正しく使用することが大切です。また、しばらく薬を使用しても症状が改善されない場合は、肛門外科など病院での治療を受けることをおすすめします。