歯磨きやうがいで歯がしみる、冷たい水を口に含んだときに「ピリッ」と痛む、なんてことはありませんか?

歯が痛い時に真っ先に思い浮かべるのは虫歯かもしれませんが、刺激を与えると痛む場合には知覚過敏の可能性もあります。

この記事では知覚過敏の症状や原因について見ていきたいと思います。

目次

知覚過敏って何?どんな症状?

知覚過敏とは、虫歯でもないのに歯がしみたり痛みを感じたりする現象のことをいいます。

知覚過敏では、歯が痛むのはとても短い時間です。ほとんどは数秒、長くても1分以内には痛みが治まります。歯に刺激が加わったときにだけ痛みを感じるため、何も刺激が加わっていないときには痛みません。

知覚過敏では、下記のようなタイミングで歯がしみることがあります。

  • 歯ブラシの毛先が触れた
  • 冷たい飲食物を口にした
  • 熱い飲食物を口にした
  • 甘い物を食べた
  • 冷たい風にあたった  など

虫歯じゃないのになんでしみるの?

歯は外側からエナメル質、象牙質、歯髄(神経)という構造になっています。

知覚過敏とは

通常、歯の見えている部分はエナメル質という硬い層で覆われているため、刺激を与えても痛みを起こすことはありません。しかし、歯茎の下に隠れている歯根の表面にはエナメル質が存在せず、象牙質が露出していることがほとんどです。

この象牙質は無数の細い管の集合体で成り立っており、歯が刺激を受けるとその管の中を刺激伝達物質が外部からの刺激を神経まで直接伝え、痛みとして感じてしまいます。つまり象牙質が露出すると、ふとした刺激でしみるような痛みを感じるようになるのです。

ただし、象牙質を形成している細い管は加齢とともに少しずつ塞がってくることがあり、この場合には刺激を伝達しなくなってきますので知覚過敏も起こりません。また、歯自身が知覚過敏から身を守ろうとして防御機構として神経の周りに壁を作ることによってしみなくなってくることもあります。よって、象牙質が露出しているからといって必ずしもしみるわけではありません

知覚過敏を起こす原因7つ

それでは、虫歯以外で象牙質が露出する場合、一体どういった原因が考えられるでしょうか?

1.歯茎が下がって歯根が出てきた

歯周病や加齢により歯茎が下がってくると歯根が露出してきてしみるようになります。

加齢によるものはなかなか防ぎにくいですが、歯垢を溜めないように歯磨きをし、定期的に歯科健診を受けることで歯周病を防ぐことができます

 2.歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりや食いしばりをすると、歯茎との境目付近の歯がくさび状にえぐれることがあります。かつては歯磨きの力が強すぎて削れてできる、といわれていましたが、現在は歯ぎしりや食いしばりなどの過剰な噛み合わせの負担も原因になっていることが分かっています。

3.歯磨きの力が強すぎる

歯磨きの力が強すぎると、歯茎が下がりやすくなり歯根が露出してきます。また、露出した象牙質を削り取る原因にもなってしまいます。

歯茎の後退を防ぐためには、柔らかめの歯ブラシで力を入れずに磨くのがポイントです。

4.歯がすり減ってきた

毎日噛んで擦り合わせていることにより、噛む面はすり減ってきます。それにより中の象牙質が露出すると、しみることがあります。

5.酸により歯が溶かされた

酢や炭酸飲料、スポーツ飲料、ワインなど酸性の強い飲食物は歯を軟らかくする性質があります。酸で歯が溶かされる(酸蝕症)と、象牙質が露出してくるので摂り過ぎには注意が必要です。逆流性食道炎などで胃酸が上がってきたときも同様に歯が溶かされていることがあります。

すっぱいものを食べた後には、酸を中和する牛乳やチーズなどの乳製品を摂取したり、お茶を飲んだりすると良いでしょう

また、酸が含まれる食べ物・飲み物を口にした後の歯磨きでは、歯が削れてしまう可能性があるため食後30分以上時間をおいてから歯を磨くようにしましょう。

6.虫歯の治療後の知覚過敏

虫歯などの治療で歯を削った後は神経が過敏になっており、冷たいものや熱いものにしみやすくなっています。歯石を取った後なども知覚過敏になることがありますが、ほとんどのケースでは自然に落ち着きます

7.歯のホワイトニングに伴うもの

歯のホワイトニングに使う薬剤で知覚過敏が出ることが知られています。一時的なもので、処置をやめれば落ち着いてきます

まとめ

知覚過敏の原因として考えられることはたくさんあります。

加齢などの避けられない理由もありますが、生活習慣で防ぐことができるものも多くあります。知覚過敏の歯を増やさないため、悪化を防ぐためにも、できることから気を付けてみても良いでしょう。

すでに知覚過敏になってしまった場合にも、症状が改善する余地は充分にあります。

歯科医院で症状の悪化を防ぐためのアドバイスをもらい、症状を抑える治療を受けてみましょう。