日本では薬を正しく飲んでいる人は2〜3割と言われ、無駄になっている薬代は年間約500億円にもなるそうです(日本薬剤師会調べ)。

また、飲み残しや間違った飲み方をしたために病気が早く治らず、治療が長引いているケースもあるのではないでしょうか。自分の身体のためにも、正しい飲み方を知ることが大切です。

ここでは薬の飲み方について、5つのポイントに分けて解説します。是非参考にしてみてください。

目次

1.水以外で飲まない

チュアブル錠、口腔内崩壊錠を除いた飲み薬は原則としてコップ1杯の水か白湯で飲みます。

アルコール類や牛乳、ジュースなど水以外で飲むと、薬によっては効果に影響が出たり、副作用が出やすくなることがあるのでやめましょう。中でも、アルコールでの内服は絶対にしないでください

アルコールは多くの薬に影響を与えます。睡眠薬や抗うつ薬、抗てんかん薬、かぜ薬、花粉症治療薬などはアルコールにより薬の作用が増強して非常に危険です。

水なしで飲んでいいの?

錠剤をかみ砕いたり、水なしで薬をそのまま飲む人がいますが、薬がのど(食道)に引っかかったまま溶け出し、食道の炎症を起こして潰瘍になることもあるのでやめましょう。また、薬によっては、水なしで飲むと溶けずにそのまま排泄されることがあります。

2.正しいタイミングで飲む

飲むタイミングの目安は以下の通りです。必ず指示された時間通りに飲みましょう。

  • 食前:食事の30分前ぐらい
  • 食直前:食事を取る10分前ぐらい
  • 食後:食事が終わった後、大体30分以内
  • 食間:前の食事の約2時間後
  • 寝る前:寝る30分から1時間前
  • 頓服:症状が出たときに、必要に応じて。一度服用したら、6~8時間は間をあけてください。

食間を「食事中」と思い込んでいる人が多いですが、食間とは食事と食事の間のことで、食後2時間くらいのことです。

薬が入っている袋を見ていただければわかるように、「食後」以外にも飲むタイミングは色々あります。薬は食後と思い込まず、必ず確認するようにしましょう。

3.自分の判断で中止しない

「熱が下がったから」「症状がとれたから」といって、自己判断で勝手に薬をやめないようにしましょう。症状が治まっても、飲み続ける必要のある薬もあります。薬の減量や中止は、必ず医師の指示に従いましょう。

4.自分の判断で飲む量を変えない

薬には一回量が定められているので、自己判断で薬の量を増やしたり、減らしたりするのは避けましょう。

薬を飲み忘れてしまったら?

首をかしげる女性-写真
薬を飲み忘れてしまったときの対処法は、次のどちらかです。

  1. 忘れたことを気づいたときに服用する。
  2. 忘れた分を飛ばして、次回服用時から再び服用する。

注意していただきたいのは、飲み忘れたからといって、次回の服用時に2回分を同時に飲むことだけはしないでください。薬の効果が強くなり、副作用が出やすくなります。

1、2どちらが良いかというのは、薬の種類によって異なりますが、基本的には、1日に何回飲んでいるかで対応が異なります。

1日2~4回服用の薬の場合は、飲み忘れに気付いた時点で服用するようにしましょうただし、次の服用時点が3時間程度に迫っている場合は、前回の分を抜かして次の分から飲むようにしましょう。

1日1回朝服用の薬の場合は、飲み忘れに気付いた時点で服用するようにしましょう。ただし、夜中に気付いた場合は、その日の分を抜かして、次の日の朝から再度飲むようにします。

1日1回夜服用の薬の場合は、飲み忘れた分は飛ばすようにして、次の服用時点から再度飲むようにしましょう。

もちろん、薬によっては上記と異なる場合もあります。薬を処方された際に、医師・薬剤師に飲み忘れた場合の対処法について確認を取ってください。

5.残った薬を飲まない、他人に譲渡しない

医師に処方された薬を飲み切る前に体調も良くなり、残った薬を捨てずに残しておく…という経験もあると思います。この残った薬、また同様の症状が出たときに、飲んでも大丈夫なのでしょうか?

実は、残った薬を飲むことは、とても危険な行為の一つなのです。

薬は化学物質なので、温度や湿度、光によって変質しやすいものです。直射日光にあたる場所に薬を置いておくと、薬の有効成分が分解されて、薬効がなくなってしまったり、逆に有害な成分に変化してしまうものもあります。特に処方された薬は、簡易梱包ですので、変質に気をつけなければなりません。

また、残った薬を他人に譲渡する行為も危険ですのでやめておきましょう。薬の効き目には個人差があり、譲り受けた人にとっては効果が強くでてしまう可能性もあります。

医師はあなたの体格や体調、過去のアレルギー、副作用の履歴など、様々な観点から薬を処方しています。残った薬は他人に譲渡せず、破棄するようにしましょう。

まとめ

薬の飲み方ひとつでも意外と気をつける点が多いことを分かっていただけたかと思います。また、1つずつでは問題ない薬でも、薬と薬の飲み合わせ、または薬と食品(飲み物/嗜好品含む)の食べ合わせによっては、よくない影響が出る組み合わせがあります。この影響を相互作用といい、薬をたくさん飲んでいる方は注意して防がなくてはなりません。

そんなときは「お薬手帳」が役立ちます。何事も自己判断せず、必ず医師や薬剤師にお薬手帳を見せて相談するようにしてください。