スルピリドは、1973年に商品名「ドグマチールカプセル」として発売されて以来、長年使用されている薬です。うつ病、統合失調症に効果があるほか、胃潰瘍・十二指腸潰瘍への効果が認められています。
一見まったく関係なさそうな2種類の病気に効果が見られるスルピリドとは、どんな薬なのでしょうか?
ここではスルピリドの効果や特徴について、詳しく見ていきたいと思います。
スルピリドの効果
スルピリドは脳(中枢神経)に作用し、脳内の伝達物質であるドパミンの働きを抑制します。
ドパミンとは、脳から出ている神経伝達物質の一種で、神経を興奮させる効果があります。快楽を得たり、やる気、集中力を強化してくれる効果などがあります。それだと良いように聞こえますが、ドパミンが増えすぎると幻覚を見たり、精神分裂病の原因となります。
そのほか、胃腸にあるドパミンD2受容体をブロックすることで、消化管運動が改善し、胃の粘膜が修復され、不快感が改善される効果もあります。
ドパミンをブロックすることにより、スルピリドは、
- 胃薬
- 抗うつ剤
の2つの働きを持つのです。
また、統合失調症に対しても効果を発揮します。統合失調症は、ドパミンが過剰に出ることで起こるといわれています。
スルピリドは脳のドパミンD2受容体をブロックすることで、ドパミンを正常な量に戻します。しかし統合失調症の治療には高用量が必要になります。そのため副作用も起こる可能性が高くなります。
スルピリドを服用するメリットは

スルピリドのメリットとしては、胃薬の作用があるため、「食欲があがる」「心理的に服用しやすい」という点です。抗うつ剤と聞くと抵抗を感じてしまう方も、「胃薬としても使われている薬です」と言うと安心して服用できます。
また、他の抗うつ剤と比べて副作用が少ないことからも、安心して服用できるかと思います。
スルピリドの副作用は
抗うつ剤は吐き気や眠気、離脱症状、便秘などの副作用が起きることが多いですが、スルピリドはその他に、以下のような副作用が見られます。
- 手の震え
- 嚥下しにくさ の悪化
- 言語障害
- 流涎(りゅうぜん、よだれが垂れること)
- 両下肢のしびれや痛み
- 歩行困難・筋固縮
- 視力障害(目のかすみ)
ドパミンを抑制する薬ですので、使いすぎたり効きすぎるようなことがあると、ドパミンの不足がおこるパーキンソン病のような症状がみられることがあるのです。
これらの症状が見られたら、スルピリドを中止または減量する必要があるでしょう。必ず医師に相談し、判断に従ってください。
作用時間はどれくらい?

スルピリドの効果には即効性があります。
スルピリドは服用後2時間程度で血中濃度がピークになり、そこから徐々に濃度が低下していき、血中濃度がピーク時の半分になる半減期は6時間から8時間程度とされています。
血中濃度のピークは薬を服用してから効果が出るまでの時間、半減期は薬の効果がなくなる時間と関係があります。
よって、(明確な数字は人それぞれですが)1度飲めば1日中効果が持続する薬ではありません。
通常、1日2~3回服用することが多いです。
まとめ
スルピリドは胃薬、抗うつ剤としての効果が期待できます。一方で、たまにパーキンソン病に似た症状が見られることもあります。
もし副作用が見られた場合でも、自己判断で中止、減量するのはやめ、必ず医師や薬剤師に相談の上で中止しましょう。