うつ病はとても身近な病気です。子供からお年寄りまで世代を問わず発症し、およそ10~15人に1人が、生涯に1度はうつを経験するといわれています。さらに女性の方がうつ病になりやすく、その数は、男性のおよそ2倍といわれています。
今回は、そんなうつ病の治療法にはどんなものがあるのかについてご説明します。
うつ病治療の3本柱
うつ病の治療には、休養・薬物療法・精神療法の3つがあります。
これらを組み合わせて、患者さんそれぞれの症状に対応していく形となります。
1.休養
まずは何よりも休むことが大切です。
例えば足を怪我してしまった際にはできるだけ安静にするように、傷ついた場所をあまり使わないようにして回復を待つことは治療の基本となります。
うつ病は脳が疲弊している状態と言えるため、ストレスを感じにくい環境づくりをこころがけ、脳を休ませてあげましょう。症状の重症度によっては、残業をしないようにするだけで良い方もいますし、病欠をとって休むことに専念すべき方もいらっしゃいます。
休んだら他の人に迷惑がかかる、休むのは悪いことだと思ってしまうかもしれませんが、早期に受診してしまった方が、仕事をしながらの治療で済む可能性もありますし、たとえ休んでも復職のための職場復帰支援(リワーク支援)などがあります。必要になったら都道府県の障害者職業センターに相談するようにして、まずは治療のためにしっかりと休み、早く回復することを目指しましょう。
2.薬物療法
うつ病の治療の一つとして、薬はとても大切です。
うつ病の症状が出ているとき、脳内では、神経細胞の情報伝達にトラブルが生じ、脳の機能的不調がおきていると言われています。
セロトニンやノルアドレナリンといわれる、感情に関わる神経伝達物質の機能が低下し、情報の伝達がうまくいかなくなった結果、うつ病がおきるのです。
うつ病の治療に使われる抗うつ剤は、減少しているセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が、より多く放出されるよう体をサポートしてくれます。
抗うつ剤が効き目をあらわすには時間がかかり、服用初期には、吐き気、頭痛といった副作用が出ることもあります。しかし即効性がないから、副作用が出たからといって、自己判断で服薬を中止せず、医師の指示に従いましょう。
抗うつ剤の他にも、不眠などの症状がある方には睡眠導入剤が処方される等、症状によって使用する薬の種類は様々です。
3.精神療法・カウンセリング
うつ病の要因は様々です。そのため、自分の環境要因や、性格傾向などを見つめる精神療法・カウンセリングも並行して行うことで、早期の回復が期待できます。代表的なものに認知行動療法や森田療法、内観療法 などがあります。
いずれも患者自身による積極的な取り組みをうながすことより、患者本人にもともと内在する生きる力を引出し、今後の生きやすさに繫げていきます。
最後に…治療は長い目で見ましょう
上記のような方法で、うつ病の症状は治療することができます。
休養や服薬に抵抗のある方もいらっしゃるかもしれませんが、治療に励むことでうつ病のほとんどは快方に向かいますので、つらいことを我慢せず医療機関に相談してみてください。
また、うつ病の治療は始めればすぐ効果が出るというわけでもありません。
症状が良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら少しずつ治っていくものです。
あまり焦らず、根気強く治療していくことが一番の近道と言えるでしょう。