朝起きると顎の関節が痛い、口の周りがだるい、などの症状はありませんか?もしかしたら歯ぎしりをしているかもしれません。「歯ぎしりしてるなんて言われたことないよ」と、いう人も多いかもしれませんが、ほとんどの人が日常のストレスの発散運動として歯ぎしりをしているといわれています。今回は歯ぎしりの治療法と家でできる対処法を紹介していきます。
歯ぎしりなんてしてないよ!
歯ぎしりの自覚のある人は少ないといわれています。これは必ずしも歯ぎしりをすると音が出るわけではないからです。
歯ぎしりは皆さんが思い浮かべるギリギリと音のするグライディングと、カチカチと咬み合わせるタッピング、強く食いしばるクレンチングの3つのタイプに分けられます。これらの歯ぎしり全てで必ず音が聞こえるわけではありません。そのため、歯ぎしりがあっても気がつかない人がとても多いのです。
歯ぎしりの種類とチェック法に関しては「音のしない歯ぎしり?歯ぎしりの4つのタイプとチェック方法」をご参照ください。
歯ぎしりの治療法って?
歯ぎしりを完全に無くすことは、実際の歯ぎしりのメカニズムが十分に解っていないため非常に難しいとされています。では歯ぎしりに対してはどのような治療法があるのでしょうか。
スプリント療法
個人の歯型に合わせたプラスチックのような素材で作ったマウスピースを装着し、咬み合わせの調整を行っていきます。これにより歯ぎしりの抑制と、顎の関節への負担を軽減することができます。歯ぎしりの治療法としては最も一般的な治療法になります。
薬物療法
ジアゼパムやメトカルバモールといった筋肉の緊張を緩める薬を使います。これにより咬み合わせに使う筋肉の緊張を少なくし、余分な力が働かないようにします。しかし、薬物への依存や副作用の問題から長期間使うことが出来ないという欠点もあります。
スポーツ用マウスピース
スポーツ時には皆さんの想像以上の力が歯に加わっています。その他に外傷から歯や口の中の粘膜(頬や舌)を守るため、柔らかいゴムの様なマウスピースを使用します。スポーツ時に加わる強い力をゴムに逃がすことによって歯や顎にかかる負担を和らげる効果があります。
噛み合わせ治療
よくない噛み合わせにより、歯に負担がかかっていたり、過度な歯ぎしりを引き起こしていたりする場合があります。この場合、噛み合わせ治療をすることで、歯ぎしりをコントロールし、生体に害のない歯ぎしりにすることもあります。
歯ぎしりのタイプによっても治療法が異なりますので、気になる人は歯医者さんと相談しましょう。
家でできる効果的な対処法は?
歯ぎしりは、睡眠時に行う歯ぎしりと覚醒時(目が覚めている時)に行う歯ぎしりがあります。
それぞれの歯ぎしりへの対処法をご紹介します。
睡眠時の歯ぎしりに効果のある対処法
- 枕を高くしない
- 横向きやうつ伏せで寝ない
- 過度の飲酒を控える
覚醒時の歯ぎしりに効果のある対処法
- 唇は閉じて上の歯と下の歯を合わせないように意識する
- 咬み合わせていることに気がついたらすぐに離す
- 唇や頬の周りの力を抜く
- 紙に「噛みしめない」と、書いて家の中に貼っておく
睡眠時、覚醒時の両方の歯ぎしりに効果のある対処法
- ストレスを溜めない
- リラックスをする
- 極端に固いものを噛むのを控える
- 食事で強く噛まずに噛む回数を増やす(1口で20回~30回を目標に)
- 左右均等に奥歯で少しずつ噛む
その他の注意事項
- 頬づえをつかない
最後に
残念ながら歯ぎしりを完全に無くす治療法は未だ見つかっていません。また、歯ぎしりは必ずしも悪いものではなく、ストレス発散のための生体反応で、適度な歯ぎしりをコントロールすることが大切だとも考えられています。
ただし、歯ぎしりのひどい人は歯が折れることや口が開かなくなってしまうこともあります。上に書いた対処法は歯ぎしりの無い方でも実行してみてください。心配な方や顎が痛い・歯がしみるなどの症状がある方は早めに歯科医院に相談しましょう。