秋も深まり、肌寒くなってきてだんだんと温かい物を口にする機会も増えてきましたね。そうするとどうしても経験しやすいのが口の中の火傷です。ピリピリしたり、皮がむけたり、水ぶくれができたりなど不快な症状が出てきますが、飲食しないわけにはいきませんので一刻も早く治ってほしいものです。今回は口の中の火傷について解説していきます。

目次

口の中の火傷によって起こる症状

口の中を火傷すると、いわゆるカタル性口内炎を引き起こします。

  1. 粘膜がピリピリしびれたような感覚、または痛みがでる。
  2. 火傷の部分が舌で触るとざらざらする。
  3. 水ぶくれができる。
  4. 口の天井の部分や頬、唇の皮がむける。
  5. 舌が赤くなったり腫れたりする。
  6. 味覚が鈍くなる。

5と6に関して、舌が腫れることによって、舌の表面に存在している乳頭と呼ばれる突起が消えてしまうことがあります。また、乳頭と乳頭の間にある味の受容体である味蕾がうまく味の情報をキャッチできなくなることにより、または味蕾そのものが破壊されることにより、味覚が鈍りやすくなります。

口の中の火傷はどのくらいで治るの?

通常、口の中の火傷や傷は治癒が早いのが特徴です。体の他の部位より数倍も治りが早いといわれています。その理由は口の中の唾液の抗炎症作用・抗菌作用などによります。ほとんどの場合は数日~2週間以内で治癒しますが、ひどい場合は1カ月以上かかる場合もあります。なお、味蕾は2週間ごとに再生するので、その後味覚は元に戻ります。

口の中の火傷のレベル

火傷のレベルは次の3段階に分類できます。舌の火傷を例にして症状を挙げます。

第1度

舌の粘膜の表層がダメージを受けた場合です。ピリピリ痛みを感じたり、赤く腫れたりします。

第2度

舌の粘膜の表層とその直下の層にダメージを受けた場合です。痛みはより強くなり、赤く腫れたり水ぶくれができたりします。

第3度

舌の最も深い組織である筋肉までダメージを受けている状態です。舌の粘膜の表面は白くまたは黒くなります。感覚がなくなったり強い痛みを感じたりする場合があります。

口の中を火傷した場合はどう対処する?

基本的に、火傷をした場合は、体の他の部位と同じようにまずは「冷やす」というのが一番大事です。

上の項目で挙げた、第1度レベルの火傷であれば感染予防、また痛みを和らげるために次の対処をします。

  • まずは火傷の部位に食べカスが残っている場合それを取り除く
  • 冷水を口の中に入れ数分間口の中をすすぐ
  • 氷を口の中に入れる
  • 痛みが強ければ鎮痛剤を飲む
  • 砂糖を少し舌の上に載せて口の中の天井部分に押し付ける
    →砂糖が痛みを和らげる効果のある快楽ホルモンのエンドルフィンという物質の生成を促すことにより痛みに効果があるといわれている。

ほとんどの場合は上の方法で治まってきますが、まったく改善がみられない、または次の感染の兆候がみられる場合は第2度、第3度レベルの火傷が疑われます。早めに医師、歯科医師に診てもらいましょう。治療としては抗生剤・抗炎症剤の投与などが行われます。

  • 赤みや腫れが増す
  • 熱が出てきた
  • 膿が出てきた

口の中の火傷でがんが起こりやすくなる?!

口の中のがんは長い間一定の刺激が続くことによって起こりやすくなるといわれています。その刺激の一つとして度重なる火傷も原因になっているとの指摘もあります。熱い物を好んで食べる傾向のある人は注意した方が良いでしょう。

口の中の火傷の予防法

ホットココア
  • 食べ物は口に入れる前によく温度をチェックし、よく冷ましてから口に入れる。
  • 特に空腹時のカップラーメン、鍋などは火傷をしやすい傾向があるので気をつける。
  • 電子レンジでの加熱は温めムラが起こりやすいため、口に入れる前にはよくかき混ぜて温度を十分に確認する。
  • 歯科治療における麻酔で感覚が分かりづらくなっている場合は火傷しやすいので気をつける。
  • 大きめのプラスチック製の義歯を使っている場合、温度が分かりづらい場合があるので気をつける。

まとめ

日本人は概して食べ物に関して欧米人に比べ、極端に冷たい物、熱い物を好む傾向があるといわれています。麺類や鍋類が料理として多いことでもそれが分かると思いますが、それだけ口の中を火傷するリスクが高いともいえます。多くの場合、口の中の火傷はすぐに治ってしまいますし、軽視されがちな傾向があります。ですが、頻繁な火傷は口腔がんのリスクも高めるといわれてもいますので、熱い物を食べる際には十分注意をしていきましょう。