口の中にできるがんのことを口腔がんといいます。口腔がんの中で最も多いのが舌がんです。初期の舌がんは痛みを伴わないことが多く、口内炎などと症状が似ているため見落としには注意が必要です。ここでは舌がんの特徴を確認しておきましょう。

目次

舌がんとは?

口腔がん(口の中にできるがん)は、がんができる部位によっていくつかに分類されます。舌がん、硬口蓋(こうこうがい)がん、口底がん、歯肉がん、頬粘膜(きょうねんまく)がんなどがあります。

口腔がんの国内の患者数は2005年時点で約6,900人、がん全体では約1%を占めると推定されており(口腔癌診療ガイドライン 2013年版より)、胃がんや肺がん、男性の前立腺がん、女性の乳がんなどと比較すると珍しいがんのように思えます。しかし、口腔がんの罹患数は高齢化にともない年々増加傾向にあります。この口腔がんの60%を占める(Mindsガイドラインセンターより)のが、舌にできる舌がんです。

舌の前方3分の2は動かすことができます。舌がんは、この動かせる部分にできます。舌の奥の3分の1にできたがんは中咽頭がんとよばれる喉のがんに分類されます。

舌がんが発生しやすい年齢は50歳代後半ですが(大阪国際がんセンターより)、若年者にもみられる病気です。

舌がんの生存率は?

舌がんの進行度合いを示すステージは1期~4期に分けられ、進行するほど生存率は低くなります。

  • 1…最大径が2cm以下で、リンパ節転移がない
  • 2…最大径が2cm以上~4cm以下で、リンパ節転移がない
  • 3…最大径が4cm以上、または4cm以下であっても小さな頸部リンパ節転移を1個認める
  • 4…舌の周囲や顎にがんが広がる、または広がりのある頸部リンパ節や遠隔転移を認める

舌がんの5年生存率は1期80.5%・2期72.8%・3期58.3%・4期34という報告もあります。がんがまだ小さく、リンパ節転移のない初期の生存率が高いことが分かります。

生存率についてはがん対策情報センターのサイトも併せてご覧ください→国立がん研究センターがん対策情報センター|東病院の治療成績

口内炎に似た舌がんの症状

口を開ける

初期の舌がんは、痛みを伴いません。しかし、粘膜が腫れたり、白斑ができたり、しこりができたりと、見て分かる症状が現れるのが特徴です。舌の状態は鏡を見れば確認できるので、「少し変だ」と気づくことは少なくありません。典型的なのは、歯の当たる舌の側面に、周囲とは色の異なる白っぽい部分が現れる白斑病変です。

問題は舌がんの症状には口内炎と共通するものがあり、がんだとは思わずに放置されてしまうことです。2~3週間たっても口内炎が治らない場合は舌がんの可能性を考慮しておく必要があります。正確な診断は、病院で舌の組織を採取して病理検査を行わなければ分かりません。舌に疑わしい症状が現れたとき、または、口内炎と思われる症状でもなかなか治らないというときは医療機関を受診することをおすすめします。

まとめ

舌がんは鏡で見える範囲にできることが多く、異変に気づくのは難しくありません。しかし、口内炎だと思って放置し、進行してしまうケースがあります。おかしいと感じたら医療機関を受診し、適切な診断を受けましょう。まだ進行していない初期から治療を始めることができれば生存率も高くなります