腕を挙げた時に痛みやしびれを訴える胸郭出口症候群。
治療をする場合、どのような方法があるのでしょうか。この記事では、胸郭出口症候群の治療方法について説明していきます。

胸郭出口症候群の症状については「腕を挙げる時に腕がしびれる、痛い…胸郭出口症候群の症状と原因とは?」に記載していますので、そちらをご参照ください。

目次

胸郭出口症候群の治療法

胸郭出口症候群の治療法には、保存療法と手術療法の2つがあります。
まず保存療法が優先されますが、保存療法では改善がみられず、日常生活に支障をきたす場合に手術療法が検討されます。

保存療法

安静を保つ

症状を悪化させるような動作はしないようにします。
具体的には、手を挙げたままで行う作業や、重いものを持ち上げる動作は控えます。
また、首から肩での血流が阻害されてしまうと症状が悪化するため、重いリュックサックなどは背負わないようにします

薬による治療

まずは、消炎鎮痛剤(痛みと炎症をおさえる)を使用します。それでも改善度が低い場合は、血流を改善する薬やビタミンB1、ビタミンB12といった末梢神経障害に効果的な薬を使用します。

リハビリ

症状が軽い時には、腕や肩甲骨周辺の筋肉を鍛える運動を行うことで改善が期待できます。
医師の指導に従って、症状が強いときは無理に行わないように注意しましょう。

手術療法

保存療法で改善がみられない場合や筋・骨格の形成異常がある場合に、手術療法が検討されます。

胸郭出口症候群は、首から胸に通っている血管や神経が圧迫されることで起こります。
そのため、下記の血管や神経の圧迫原因を取り除く手術が行われます。

  • 頚から鎖骨に向かって伸びている筋肉(斜角筋)の1本を切除する
  • 第1肋骨の切除
  • 肩から胸部に伸びている筋肉の腱(小胸筋腱)を切り離す

このほか、稀に頚肋(胎児の時に存在する骨で、通常は成長につれてなくなる)が残っているために胸郭出口症候群になっているケースがあります。その際には頚肋を切除する手術が行われます。

まとめ

胸郭出口症候群の治療は、基本的には安静や薬といった保存療法を行います。
多くの患者さんは、これらの保存療法によって良くなっていくのですが、どうしても症状が改善されず、日常生活に支障をきたす場合には手術を行います。

胸郭出口症候群を疑った場合には、あまり肩に負担をかけないようにし、早めに整形外科を受診することをお勧めします。