「咳が続く」「痰が絡む」という症状が長引く人は気管支拡張症かもしれません。この病気の原因や症状については「咳、血痰…初期は風邪にも似ている「気管支拡張症」の原因・症状は」で詳しく説明していますので、まずは一読しましょう。この記事では検査法や治療法について説明しますので、悪化を防ぐために参考にしてください。

目次

気管支拡張症とは?

気管支の内径が大きくなり、そこに菌やウイルスが入り込み、炎症が原因で気管支の壁が壊れて、気管支の内径が大きくなったままになり、さらに菌やウイルスが入り込むという悪循環を起こしている病気を気管支拡張症といいます。

気管支拡張症の診断

画像診断

胸部X線(いわゆる胸のレントゲン)、CTなどで気管支の壁が厚くなっているか、気管支が袋の様に嚢胞状になっているか確認します。高分解能CT(HRCT)は、気管支拡張症の診断には必須の検査です。

培養検査

痰を採って培養し、何の菌に感染しているか特定します。菌の培養や特定には、通常2~4日、結核菌や抗酸菌は2ヶ月と時間がかかりますが、急に悪化したとき症状を抑える効果的な薬がわかるので、重要な検査です。

血液検査

白血球には好酸球や好塩基球など沢山種類がありますが、どの種類が増加しているか調べることで気管支拡張症に至る原因となった菌を推定することができます。また、血液検査ではアレルギー物質を特定することができます。

気管支拡張症の治療法とは

気管支の壁が壊れた部分や内径が広がってしまった部分はもとには戻らないので、これ以上悪くならないように、また急に症状が悪化しないように、生活の質(QOL)をあげる目的で治療します。

排痰

病変部(気管支が広がっている部分)を上にし、振動を与えたり、咳をしたりすることで、痰が出てくることを促します。嘔吐もしやすいので空腹時に行いましょう。早朝空腹時、昼食の30分前、就寝前に5分ずつ行いますが、風邪などをひいて痰がたまりやすくなっている場合は、回数を増やします。

振動の与え方に色々な方法があるので、専門家からのアドバイスを受けて行いましょう。

薬物治療

痰を出やすくする去痰薬、菌の感染による病態の悪化を防ぐ抗菌薬の使用が基本的です。気管支を広げる気管支拡張薬を用いることもあります。

マクロライド療法

エリスロマイシン400~600mg/日またはクラリス200mg/日のマクロライド少量長期療法(マクロライドという抗生物質を少量ずつ長期間にわたって服用する方法)は、急性増悪の頻度を減少させ、呼吸機能の改善QOLの改善が認められたという報告があります。増悪を繰り返す場合は、臨床で最も多く用いられる治療法です。

ただし、気管支拡張症の原因が非結核性抗酸菌(マック菌)と判明した場合、クラリス600mgを含めた多剤併用療法の標準治療を考慮するため、耐性菌の問題から、クラリス200mg/日のマクロライド少量長期療法は避ける必要があります。

外科手術

病変部が一箇所で、かつ病気が進行している場合、出血がある場合には外科手術で病変部を切除します。

予防接種

インフルエンザや肺炎球菌などのワクチンを必要に応じ接種し、感染による急激な悪化を防ぎます。

喀血・血痰の止血

血痰がある場合、止血剤で出血を止めます。

喀血が止まらない場合は、カテーテルを使って出血部位を直接塞ぎます。

まとめ

一般的に多くの咳は風邪を原因としますが、3週間以上続く場合は他の病気である可能性が高くなります。

気管支拡張症は一度発症すると完治が難しいので、進行を防ぎながら長く付き合っていくことになります。早めの治療スタートで予後が良くなりますので、長引く咳や痰が気になる方は呼吸器科を受診しましょう。