咳喘息~メカニズムと早期発見のポイントとは?~


【監修】
大谷 義夫

日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本アレルギー学会専門医・指導医。1989年群馬大学医学部卒業。東京医科歯科大学第一内科および呼吸器内科で数多くの呼吸器疾患患者を診察した後、東京都豊島区池袋にて「池袋大谷クリニック」を開業。豊富な診療経験を生かし、地域の患者の不安解消と健康維持に務めている。
2016年1月29日、著書「長引くセキはカゼではない」がKADOKAWAより発売。
池袋大谷クリニックHP

咳をする女性

 

皆さんは「喘息」ときくとどのような症状をイメージしますか?咳が続き、ヒューヒュー・ゼーゼーと苦しそうな呼吸をしている様子が思い浮かぶのではないでしょうか。実はそれは「気管支喘息」といわれるもので、「咳喘息」の症状とは違います。呼吸は苦しくないけど咳だけが長引いている方、もしかしたら咳喘息かもしれません。咳喘息は放っておくと喘息に移行してしまうこともあります。今回は咳喘息について、医師・大谷 義夫先生による監修記事で詳しく解説します。

咳喘息とは?

咳喘息は、気管支喘息になる一歩手前の状態と考えられている病気です。その特徴は、気管支喘息でみられるような、ヒューヒュー・ゼーゼーといった呼吸音や呼吸困難がなく、3週間以上空咳の症状だけがつづくというものです。咳喘息の患者さんの3割が将来気管支喘息になるといわれており、早期に治療することが大切です。

早期治療が大切な理由

前項では、咳喘息は喘息の一歩手前の状態ということをお話ししました。でも、なぜ早期に治療することがそんなに大切なのでしょうか?そのことを理解していただくために、この項では喘息のメカニズムをお話しします。

<喘息のメカニズム>

喘息が起こるには、まずきっかけがあります。それはハウスダストや花粉、タバコの煙などの気道刺激物質、風邪などの感染症、気温・気圧の変化などです。これらの様々な刺激に対して気道に存在する炎症細胞が活性化されます。すると気道で炎症反応がおこり、気道の筋肉が収縮したり、気道粘膜に浮腫が起きたり、気道の上皮細胞がダメージをうけて破壊されたりします。

この反応は一時的なもので、しばらくすると炎症反応はおさまり、ダメージを受けた気道の上皮細胞も修復されます。このため、最初は特に喘息症状はでません。

しかし、症状がなくても慢性的な気道炎症はゆっくり進行しています。気道の筋肉は度重なる収縮により肥大し、上皮細胞が必要以上に再形成されてしまうため、気道がだんだん狭くなっていきます。

また、破壊と修復を繰り返していると気道上皮はもろくなってしまい、刺激に対して敏感になってしまいます。すると、ほんのちょっとした刺激に対しても気道が過敏に反応してしまい、気道狭窄が起こりやすくなります。

以上のように、

  • 慢性的な気道炎症
  • ダメージをうけた気道の度重なる修復
  • 気道過敏性の亢進

といった複数の病態が絡み合って咳や特徴的な呼吸音、呼吸困難などの喘息症状がでます。

咳喘息は、何度も言うように喘息の一歩手前の状態です。早期治療の重要性は、慢性的な炎症の進行を阻止することで、喘息への進展を防止することにあるのです。

早期発見のために

薬と水

早期治療のためには早期発見が不可欠です。以下に咳喘息の特徴を挙げます。もし、これらの条件があてはまるようなら、咳喘息の可能性がありますので、病院への受診をおすすめします。

  • 風邪のあとに咳だけがいつまでも残り、風邪薬や咳止めを飲んでも効かない
  • 3週間以上慢性的な空咳が続いている
  • ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音や呼吸困難はない
  • 気管支喘息にも使用する気管支拡張薬の吸入で楽になる
  • 咳は夜間から明け方にかけてでることが多い
  • 冷たい空気やタバコの煙などの刺激、会話中や運動中に咳き込みやすい
  • 胸部レントゲン検査で異常がない
  • アレルギーがある

 

最後に

いかがでしたか?咳喘息は、最近増加しているといわれています。喘息への移行を避けるためにも、咳喘息は早期発見・早期治療がカギとなります。ただの風邪だろうと思って放置せず、少しでも咳喘息を疑ったら、迷わず病院へ行きましょう。

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参考文献

イヤーノート2015 p.I-119~122

病気がみえるvol.4 p.122~126

参照リンク

気管支ぜんそく/咳ぜんそく|日本医科大学 呼吸ケアクリニック

美唄市医師会|明日の健康 長引く咳

インフルエンザ特集