風邪をひいた後もが長引く、だんだん咳がひどくなってきて、熱も出てきた。長引く咳の原因は、風邪に続いて気管支炎が起こっているからかもしれません。気管支炎は何が原因で起き、どんな症状があるのでしょうか。

目次

なぜ咳が出るの?

ホコリ・チリなどの異物や、冷たい空気が気道に入ったときの刺激を喉や気管支が感じると、咳が出ます。は気管や気管支などの粘膜から出た分泌液で、ホコリ、チリ、細菌やウイルスなどが混じっています。気道の中の分泌物や異物を取り除くための身体の防御反応が咳です。咳は健康な状態では出ないので、呼吸器になんらかの異常があったことの初めのサインなのです。

気管支はどこにある?

鼻や口から空気を吸うと喉から気管に入ります。気管は、喉の少し下にあり、左右の気管支に分かれて胸腔に入り、枝分かれしながらだんだん細くなって最後は肺胞という小さな袋になります。吸った空気は、気管を通りながら温度と湿度を調整して、肺に負担をかけない空気にして肺胞までたどり着くのです。

気管支炎とはどんな病気?

急性気管支炎と慢性気管支炎と分けて説明します。

急性気管支炎は、風邪をひいたあとに気道が炎症を起こして気管から気管支まで広がり、咳や痰が出るようになります。一方で慢性気管支炎は、痰を伴う咳が1年間に3か月以上続いている状態が2年以上に及ぶことが基本条件です(この症状が他の肺疾患や心疾患に起因する場合には、慢性気管支炎とは診断しません)。

慢性気管支炎は、成人・高齢の男性に多くみられ、冬に悪化する傾向があります。

慢性気管支炎はこのように臨床的な概念であり、病理学的に肺気腫と呼ばれていた概念とを統一して、慢性閉塞性肺疾患(COPD)として総称する疾患概念となりました。多くの部分でCOPDと慢性気管支炎はオーバーラップしますが、COPDは慢性気管支炎や肺気腫と同義ではありません。

さらに、慢性気道感染として、気管支拡張症に伴う慢性気道感染、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に伴う慢性気道感染、びまん性汎細気管支炎の慢性気道感染などの慢性呼吸器疾患に伴う慢性気道感染という考え方はありますが、慢性気管支炎の定義には入りません。

気管支炎が起こる原因は?

ウィルス

急性気管支炎は、細菌やウイルスが気管支の粘膜に感染して発症します。9割がウイルス性の気管支炎といわれています。

急性気管支炎を起こす主なウイルス

など

急性気管支炎を起こす主な細菌や病原体

など

慢性気管支炎を起こす主な原因

  • 喫煙
  • 受動喫煙
  • 大気汚染
  • 家庭や職場における刺激物質の吸入

 

どんな症状が起こるの?

細菌やウイルスが身体の中に入って喉や鼻が炎症し、続いて気管支の粘膜に感染して炎症を起こします。

など

このような症状に注意

聴診器

症状が急激に悪化したら、すぐに医療機関を受診しましょう。冬に多く発生する風邪やインフルエンザなどの感染症が原因となって状態が悪化することがあります。

咳が気になるときに疑われる病気は?

気管支炎の他にも咳の症状がある病気は様々あり、軽い咳だと思い込んでいても深刻な病気の初期症状の可能性もあります。

咳の他の症状 病気
高い熱 風邪インフルエンザ肺炎胸膜炎
微熱、疲労感がある、咳をしたときに胸が痛む 肺結核、胸膜炎
熱はあまり出ない、咳が長引く 肺がん
身体を動かしたときに息切れがする 肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)
咳をしたときに胸が痛む、呼吸困難を感じる 自然気胸、肺炎

気になる症状があれば、放置しないで呼吸器内科を受診しましょう。

まとめ

急性気管支炎は、風邪の後に続いて起こることが多く、細菌やウイルスなどが気管支へ感染したことが主な原因となって起こります。咳や痰が出て、倦怠感や食欲不振に繋がることもあります。咳が出る病気には、気管支炎の他に、肺炎、肺結核、肺がん、肺気腫や自然気胸など様々あるので、気になる症状があれば早めに医療機関を受診することが大切です。