咳が長引く、呼吸をするときにゼーゼー鳴って苦しい
呼吸は無意識にしている人間の営みなので、ゼーゼー音がするときはなにかの疾患が関係していることが疑われます。

まっさきに思い浮かぶのはぜんそくですが、その他にも原因となる疾患があります。

今回はゼーゼーという音がしたときに考えられる病気について解説します。

目次

なぜゼーゼーするの?

私たちが呼吸をするときは、口や鼻から空気を吸い込み、喉に行き、気管から気管支を通って肺に届きます。
息を吐くときは、肺から気管支、気管を通って口や鼻から息がでます。通常呼吸をするときは、「スースー」という静かな音が聞こえます。

しかし、空気が通る道筋のどこかで、通り道が狭くなることによって、「ゼーゼー」や「ヒューヒュー」という異常な音が発生するようになります。

ゼーゼーするときはどんな病気が考えられる?

聴診器

喉頭(喉)、気管、気管支、肺、胸膜、呼吸の異常が疑われます。
重篤な病気の可能性もあるので、早めに呼吸器内科の診察を受けるようにしましょう。

気管支ぜんそく

気管支ぜんそくは、アレルゲンや身の周りにあるものが刺激となって、または風邪インフルエンザなどの呼吸器感染症を契機として、気道が過敏に反応して、発作性の咳・ぜんめい(呼吸をするときにゼーゼー、ヒューヒューという音がすること)・呼吸困難の症状が起こることが特徴です。

肺炎

肺に炎症が起きた病気のことを肺炎といいます。
肺炎の大部分は、感染源を吸い込んで発病する細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、真菌性肺炎などの感染性の肺炎です。

咳や、ぜんめいなどの症状がみられ、炎症の全身反応として、発熱して、食欲が低下し、水分も取れなくなって脱水症状を起こすこともあります。
ひどい肺炎では、呼吸困難をきたすこともあります。

好酸球性肺炎

アレルギーと関わりがある白血球の好酸球によって引き起こされるのが、好酸球性肺炎です。
一般的な肺炎と違って、細菌やウイルスなどの病原体の感染によるものではないので、抗生物質が効かないのが特徴です。

肺炎を起こす原因物質が不明であることも少なくありません。

咳、発熱、身体のだるさなどの症状が見られ、ぜんそくを合併することも多く、ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がすることもあります。

COPD(慢性気管支炎、慢性肺気腫)

息切れが主な症状で、気管支炎や肺気腫が原因となって肺への空気の流れが悪くなる病気です。

慢性気管支炎は、気管支がせまくなって頑固な咳と痰が続き、慢性肺気腫は、肺の組織が壊れて息切れや呼吸困難を起こします。

早期は無症状ですが、病気が進行するにつれて、咳、痰、ゼーゼーという呼吸、動いたときの息苦しさが出てくるようになり、悪化すると安静時でも呼吸困難を感じて日常生活に影響が出始めます。

どちらも長期間の喫煙が原因と考えられています。

気胸

突然の胸痛、呼吸困難、乾いた咳などの症状があれば、肺がパンクして縮んでしまった気胸が疑われます。

肺はスポンジのような形で空気によって膨らんでいます。
肺の表面は胸膜と呼ばれる薄い膜で覆われているのですが、何らかの理由によって肺の表面に袋ができて破裂してしまったことが原因と考えられています。

肺に病気を持っていない若い人が発症する原発性自然気胸と比較的高齢の人が発症する続発性自然気胸があります。

軽症の気胸では喘鳴を認めませんが、緊張性気胸と呼ぶ重症の気胸や肺気腫に合併した気胸ではゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴を伴った呼吸困難を呈することがあります。

肺がん

咳、痰の症状が続き、さらに血が混ざった痰が出たり喀血が見られるようになります。進行すると肺炎を起こして発熱や呼吸困難などの症状も起こります。

喫煙者に多い病気です。

肺がんの早期発見のためには、少なくとも年に1回の検診を受けることが必要です。

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

ぜんそくやアレルギー性鼻炎を患っている人の血液の中の好酸球が増えて、全身の血管に炎症を起こし、さまざまな皮膚、筋肉や内臓の障害がみられる病気です。

  • 呼吸困難
  • ゼーゼーヒューヒューした呼吸などのぜんそく症状
  • 鼻炎の症状
  • 2週間以上続く発熱
  • 体重減少

などがみられます。

血管炎なので、炎症を起こしている血管が担っている領域によって、神経の障害、筋肉の障害、皮膚の障害、腸炎、胸痛、意識障害などの様々な症状を起こします。

肺水腫、心不全

肺胞の中に血液の成分が貯まり、酸素の取りこみが障害される病気です。

主な症状は呼吸困難で、夜中に息苦しくて突然目が覚めたり、喉の奥でゼーゼーという音がするようになります。
進行すると皮膚、口や唇が紫色になり、冷や汗をかいて血圧が下がり、意識障害が起きることもあります。

左心不全に伴って、肺水腫となることが多く、心臓ぜんそくと呼ばれることもあります。

縦隔腫瘍

縦隔というのは、臓器の名前ではなくて胸膜によって左右の肺の間に隔てられた部分のことを言います。心臓、大血管、気管、食道、胸線、リンパ節、神経節などの臓器があり、それぞれの場所に応じてできやすい腫瘍があります。

症状は、

  • 胸痛
  • 肩痛
  • ゼーゼーヒューヒューという呼吸音
  • 声のかすれ
  • 呼吸困難
  • ものを飲み込んだときにつかえる感じ

などが見られます。

救急受診が必要なときはどんな場合?

救急車

激しい咳、ゼーゼーして呼吸が苦しい、顔色が悪いなどの症状が見られたら、ためらわずに救急外来を受診、状況によっては救急車を呼びましょう。重大な病気やけがの可能性があります。

まとめ

呼吸をするときにゼーゼーという音がなるときは、気管支ぜんそくをはじめとする、様々な病気の可能性があります。
頻度が多い病気は気管支ぜんそく、次にCOPD心不全などですが、上記の病気の他、小児のピーナッツの誤嚥などによる気道異物、喉頭(喉)の炎症として喉頭蓋炎喉頭蓋膿瘍、肺癌だけでなく良性腫瘍に伴う腫瘍による気道閉塞気管支結核などでも生じます。

重篤な疾患が疑われる場合もあるので、症状を感じたら早めに医療機関を受診するようにしましょう。呼吸不全となって重症となることもあります。