ハッカ油と聞いて何が思い浮かびますか?飴、虫よけスプレー、歯磨き粉、たばこ、飲料…など、挙げればキリがないほど使い道が多岐にわたるハッカ油。

「ハッカ油って植物由来で安心なイメージだけど、実際はどうなの?」「ミントとは何が違うの?」など、ハッカ油を使って自分でもいろいろなもの作れそうだけど何に気をつけたらよいのでしょうか。

知っているようで知らないハッカ油。今回は、日本でも歴史深いハッカ油の使い方、気をつけるべき点について改めて見直してみたいと思います。

目次

ハッカ油はどうやって作られるの?どんな効果があるの?

ハッカはハーブの一種で英語ではミント、ラテン語ではメンタといい、ハッカは日本語になります。細かい成分に違いはありますが同じシソ科に属し、葉をもむだけでも特徴的な清涼感が感じられます。ハッカ草からハッカ油が様々な工程(数回にわたる水蒸気蒸留、成分含量の調整など)を経て精製されるのですが、10kgのハッカ油を作るためにはなんと300坪の畑が必要とのこと。本来は植物由来ですが実は現在使用されているハッカ油の多くはコスト面の改善などから人工的に合成されているものです。ハッカ油を購入する際、天然か合成かをこだわる方はしっかり商品説明を確認されることをおすすめします。もちろん合成だから安全ではないというわけではありません。

正確には合成ハッカ油というものは存在せず、合成するのはハッカ油の主成分であるメントールです。この成分が清涼感を持ち、香料としても使用されています。

では、具体的にどんな効果があるのでしょう。

メントールは冷感作用を持ち、古くから医薬品に限らず、日常生活の中でも利用されてきました。この冷感作用は神経に直接作用し、低温を感じるタンパク質(受容体)を通して、体は温度を下げた時と同じ応答を示します。お風呂に数摘ハッカ油を垂らすと夏の暑い日でも風呂上がりの清涼感を楽しめるというのはこのためです。

医薬品としては、内服することで胃腸薬(胃腸の運動を抑制する作用)として使用されています。消化管内視鏡検査の際に妨げとなる腸内のガスや胃腸の動きを抑えて検査をスムーズにする効果があります。また、湿布剤に含まれており、湿布を貼付した際のひんやりとした清涼感を感じることができます。

他に殺菌・消臭作用もあるため、食品・医薬品以外にも幅広く活用されています。

ハッカ油を使って家ではどんなことができるの?

ハッカ油-写真

ハッカ油の清涼感を考えると夏場に大活躍のイメージがあることでしょう。実際には、季節を問わず、様々な使い方ができます。

ハッカ風呂

すでに試したことがある方もいると思いますが、先述のようにお風呂に数滴垂らすと、夏場でもなんだかとっても爽やかなお風呂上りを実感できることでしょう。ただし、入れすぎには要注意です。寒すぎて凍えてしまうことにならないよう、気を付けましょう。

虫よけスプレー

キャンプやアウトドアスポーツ時、夏場に欠かせないのが虫よけスプレーです。ハッカ油を使うと、蚊だけでなくゴキブリなど害虫をも撃退する効果が期待できます。殺菌作用と併せて、台所周りの清潔を保つことができます。

芳香剤

どうしても匂いがこもりがちな玄関周りやトイレ、スリッパや部屋の気になるにおいをハッカ油は爽やかな香りに一変させてくれることでしょう。おしぼりに少量含ませるだけでリラックス、リフレッシュ効果も期待できます。それと同時に覚醒作用もあるため、眠気覚ましとしても効果が期待できます。長時間のドライブのお供にも、ぜひお使いください。

口臭予防

歯磨き粉にもハッカ油が含まれていることをご存じの方は多いかと思います。特徴的な爽やかな香りで、口臭が気になる方にもお使いいただけます。コップに水を入れて一滴ハッカ油を加えるだけで、お手軽なマウスウォッシュができあがります。

胃腸症状緩和

ハッカ油は医薬品としても使用されていますが、その効果を期待してハーブティーのように紅茶などに1滴ほど垂らして飲んでみると、リラックスできる香りとともに胃腸の調子を整えてくれる効果が期待できます。

鼻づまり

冬場、風邪をひくと鼻づまりで苦しいことがありますよね。そんなとき、マスクにハッカ油を少量含ませると鼻の通りが改善され呼吸が楽になります。

 

夏場だけでなく季節を問わず色々な使い方があるので工夫して1年中楽しむことができそうですね。他にも様々な用途がありますが、自己判断で使用しないことが大切です。

手作りでハッカ油を作る際に気を付けたいこと

食品添加物としても使用されているため、ハッカ油は安全だというイメージが強いかもしれません。しかし、ハッカ油は医薬品としても使用されていることを念頭に置いて使用しましょう。

ハッカ油をそのまま原液で使用してしまうと、刺激が強すぎる傾向にあります。口に入れる以外の使用目的でハッカ油を使用する場合、基本的には薄めて使用することになります。ハッカ油は水と容易に混合できませんので、水だけで薄めるのではなく、エタノールも必要になります。

さらに、ハッカ油に含まれるリモネンという成分はポリスチレンを溶かす性質を持ちます。スプレーで使用したい場合、容器の材質には注意しましょう。

薄める際に使用する水は精製水、エタノールは無水エタノールが望ましいですが、消毒用エタノールを代用しても問題はないでしょう。いずれもドラッグストアなどで入手できます。

ハッカ油をハーブティー代わりに摂取する場合、食用として使用してよいかどうかの表示を確認することをおすすめします。外用(皮膚などに使うもので飲んだりしない)、内用(体内に摂取してよい)、または香りを楽しむための製品なのか、用途をしっかり確認し、より安全に使えるよう意識しておきましょう。

ハッカ油を使用するときに気を付けたいこと

安全だと言われているハッカ油ですが実際はどんな点に気を付けて使用したらいのでしょうか。以下に注意点をまとめました。

1.入れすぎない

飲み物に入れる場合、なんでもそうですがハッカ油も入れ過ぎはよくありません。どこの会社の製品でも数滴など説明書きがありますので用法、用量は必ず守りましょう。刺激がある成分なので、人によって感受性が異なります。初めは指定された用法用量より少量から始めるのがよいでしょう。

2.塗りすぎない

皮膚に対しても注意するべき点は同じです。刺激も強く、人によって適性濃度は異なります。低濃度から試してみるのが無難でしょう。

3.目に入らないようにする

刺激性があるので目に入るととても痛みます。目を洗ってもしばらく刺激は消えにくいでしょう。スプレーで使用する場合は目に入らないよう、また吸い込んでしまわないよう注意しましょう。

しばらくたっても痛みがおさまらない場合は、必ず受診しましょう。特に小さなお子さんがいる家庭では手の届かないところに保存したほうがいいでしょう。

4.猫に注意

猫は犬と違ってグルクロン酸転移酵素という酵素が不足しています。ハッカ油はこの酵素で分解されますがこの酵素がないとハッカ油の成分は毒素として猫の体に残ってしまいます。ハッカ油に限らず精油は猫にはNGになります。猫を飼われているご家庭ではハッカ油を多用することは避けた方がよいでしょう。

 

最後に、一番気を付けてほしいことをお伝えします。ハッカ油をハーブティーなどで体内に摂取、または皮膚に塗布するような使い方は、健常な成人であれば大きな問題はないと思われます。しかし、乳幼児や高齢者、妊婦や授乳中の女性は注意が必要です。ハッカ油の成分であるメントールは胎盤関門を通って母親から胎児に伝わるため、胎児に影響を与えることがあります。

 

誰にでも使えるようなイメージの天然ハッカ油ですが、自然のものだからこそ様々な成分を含有していることを認識していただければと思います。ハッカ油という商品名で販売する場合、主成分であるメントールの含有量が30%以上であることが条件となっています。主成分以外には何が含まれているのか、それがどんな作用を持つのか、正しい知識をもってより安全に使うようにしましょう。

まとめ

安全性が高く、用途も幅広いハッカ油ですが、実際に取り入れやすい使い道や気を付けるべき点をご理解いただけましたでしょうか。正しい知識を持って安全に使用するために、専門家に相談しながら様々な用途で楽しめるハッカ油。日常生活で有効に活用してみてはいかがでしょうか。